「ほんの小さな棒切れや石のかけらも詩にしてしまう」カルロ・スカルパについて、同世代の建築家・フィリップ・ジョンソンが語った言葉です。
人工的で華やかな建築が流行となったミッドセンチュリー期のイタリアで、歴史ある建造物への尊敬を忘れず、自然の繊細さや時の移ろいを感じる建築を生み出した、カルロ・スカルパ。
コンクリート、石、木、鉄など、有機的な素材と無機的な素材を組み合わせたスタイルは、安藤忠雄やマリオ・ボッタなど多くの建築家へ影響を与えています。
しかし、氏がガラスの世界でも才能を発揮していたことはあまり知られていません。17歳から建築を学び、建築事務所に就職したスカルパは、ある期間ヴェネツィアにてガラスデザイナーとして活躍しています。
それまでのヴェネツィアン・グラスのイメージとは違う、シンプルでモダンなフォルム。あざやかな作品に加え、貝殻を彷彿とさせる乳白色の花瓶、流れる水のような模様の作品など、まるで自然物のような美しさがあります。
その後手がけた建築にもガラスを多用したスカルパ。ガラス作品と建築物を見比べてみても面白いかもしれません。