チャマイエフ&ガイスマーを知らずとも、彼らが手がけたロゴデザインはどれか一度は目にしたことがあるはず。NBC、チェース銀行、バーニーズ・ニューヨーク、モービル、ナショナルジオグラフィック...代表作を紹介しはじめたらきりがありません。
本書のなにが素晴らしいって、チャマイエフ&ガイスマー社によるデザイン以前のロゴも掲載しているんですよ。比較して見てみると、これまでのものは細かな線で描かれたイラストレーションに近いものや、社名をフルネームで収めたものが多かったりするんですね。
無駄を削ぎ落としたシンプルさと、ひと目で記憶に残る個性を兼ね備えたチャマイエフ&ガイスマー社のロゴマークが、当時いかに新鮮だったか。そしてこうしたロゴが長きに渡り使い続けられていることから、同社がそれぞれの組織の特質を深く理解したうえでデザインしていたということがわかります。
さらに、本書にはロゴマークが実際に街なかや広告上で使用されている写真も収録されています。ロゴ単体のデザインだけでなく、それらが社会でどのように機能しているのかを知れるのは嬉しいですね。
ちなみに本書が出版された2年後の2013年、チャマイエフ&ガイスマー社は新たにサギ・ハヴィヴ氏をパートナーに迎え、「チャマイエフ&ガイスマー&ハヴィヴ」と社名を改名しています。"ロゴの神童"とも呼ばれるハヴィヴ氏の作品は「Logomotion」という動画にもなっていますのでご覧になってみては。