ヨーロッパのデザイン史とともに育まれ、第二次大戦後に独自の発展を遂げたたポーランドのポスターデザイン。大戦に翻弄され、ポーランド独立後は政府による厳しい検閲と戦い、20世紀半ばに活動していたポーランドのデザイナーはまさに受難続きだったといえます。ですが、戦後の荒廃したワルシャワで、市民に寄り添い、悲しみを慰め、勇気と希望を与えたのは街角に貼られたポスターでした。
そんな高い芸術レベルを誇るポーランドのグラフィックデザイナーの中で、草分け的存在とされる人物がヘンリク・トマシェフスキです。
本書はトマシェフスキの生誕100周年を記念した展示にあわせて出版されたもの。
明るい色彩とその組み合わせ、デフォルメされた抽象的なモチーフ、知性とユーモア、トマシェフスキのポスターはわたしたちにとても多弁に語りかけてきます。
シンプルで肩の力が抜けているのに、心に響くデザイン。きっと一生好きでいられるデザインです。お手元にぜひ。