1923年、エル・リシツキーが33歳でデザインした、マヤコフスキーの詩集『声はどこから』。その復刻版『声のために』が店頭に入荷し、氏が残した偉大な仕事を実際に手に取ることができるようになりました。この詩集は、読み手が声を出して読むことを前提に作られています。
その源流となったのは、1919年〜1924年に取り組んだ「プロウン」シリーズです。
プロウンは、マレーヴィチが提唱したシュプレマティズム絵画の影響も受けつつ、建築教育を受けていたリシツキーならではの視点でつくられた絵画作品。壁にかけて鑑賞する絵画への疑問から生み出されており、上下逆に、あるいは回転させることができるので、見るものは動き回って(動的に)絵画を眺めることとなります。
『声のために』の、読み手が声に出して読むという、動的な動きをうながすデザインとの繋がりが見てとれます。
そのほかにも、グラフィックデザイン、タイポグラフィ、写真、建築、展示空間デザイン、初期のスケッチや創作絵本など、リシツキーの幅広い仕事を網羅している貴重な作品集『EL LISSITZKY 1890-1941』。
『声のために』の近くに置いておきますので、ぜひあわせてご覧ください。