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ウィリアムス・モリス主義者 小野二郎
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ウィリアムス・モリス主義者 小野二郎

ウィリアム・モリス研究 小野二郎著作集1

小野二郎

小野二郎という人を知っていますか。編集者として活躍し、晶文社の設立に参加。ウィリアム・モリスの研究に傾倒し、多くの関連書籍を出版しました。

その中でも『ウィリアム・モリス研究』は、小野二郎の執筆がまとめられた著作集の第1巻です。19世紀イギリスでアーツ・アンド・クラフツ運動を提唱し、後世に多大な影響を残したウィリアム・モリス。小野二郎はデザイナーとしてだけでなく、社会主義者としての氏の姿勢に強く感銘を受けました。

その情熱は熱く、惜しまれながら急逝してしまった小野の墓石の裏には「ウィリアムス・モリス主義者」と刻まれているそう。

そこまで一人の人物を追い続けられたのは、自身も生涯を通して"ユートピアの思想"を追い求めていたからではないでしょうか。芸術・教育・生活・労働をより良くしたいというモリスの想いは、小野二郎を通して、私たちに気づきを与えてくれるのです。

ちなみに、この本を手に取られた際には、ぜひ挟まっている晶文社の月報にも目を通してください。交友のあった木田元、春名徹が小野二郎と過ごしたエピソードを語っているのですが、周囲に愛される人となりだったことが伝わってきます。実際にお会いして、ウィリアム・モリス談義を聞いてみたかったなぁ。

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故郷・広島県で雑貨のお店をしていた影響で、器に目がない。盛り付ける料理は修行中。ノストスブックスの雑貨担当として奮闘します。暮らしにまつわる本、民藝本、画集が好きです。