先日、ノストスの本棚の書籍を年代順に並べ替えたんです。そしたら、「この作家とこの芸術家って同じ年代なんだ」「20年代のこのデザインって今見ても新鮮だよね」などという意外な気付きがたくさんありまして。ただこの人は60年代、この作品は80年代、と丸暗記するのには限界があるし、なにより知識は増えても面白みに欠けるんですね。
そんなタイミングで入荷した本書。「雑誌広告は時代を映す鏡」とはまさにそのとおりで、広告デザインだけでなく、日本社会の動きを知るのにすごく参考になるのです。
はじまりは「もはや戦後ではない」の言葉とともに、高度経済成長を突き進む昭和30年代。1958年から2007年まで、全50回分の日本雑誌広告賞受賞作品が紹介されているだけでなく、国内外の社会情勢や歴史的な出来事も分かりやすく紹介されています。
「日本雑誌広告賞」が創設された1958年は、テレビ媒体の台頭によって広告主の関心が移りはじめ、雑誌業界が危機的状況を迎えた時代。広告賞は、雑誌広告自体の水準を高めるとともに、広告主や制作者の意欲を高める目的も担っていました。
ソ連の人工衛星打ち上げから、消えた年金問題が話題になるまでを駆け抜けた雑誌広告の半世紀。その時代に生きる人々の姿を浮かべながらご覧ください。