師である芹沢銈介も、その類稀なる色彩感覚とモノを模様として捉える才能で人々をあっと驚かせましたが、その眼は柚木作品に確かに受け継がれていると感じます。連続する縞模様はやがてさざ波に、小さな丸模様は優しい春の木漏れ日にも見えてくる。
“おお 神 ベン・シャーン 我に もの皆全てが絵に見える目玉を与え給え”そんな氏の言葉には仕事にかける情熱と強い願いが宿り、それを経て生まれた作品には、目に映るすべてのものへの敬意に溢れているのです。
1922年生まれの柚木氏は、今年10月で97歳を迎えたそう。現在も精力的に活動されている、そのチャレンジ精神を思うだけで、喜びに胸が熱くなります。ひとつひとつ豊かな表情をみせる美しい布の歌声に、いつまででも耳をすませたい。