これはもう自分のために作ってくれたに違いない最高のガイドブック。
グラフィックデザインのDTP以前を知らない自分としては、猛烈に憧れる「文字を描く」という技術。古書が不思議な魅力と強さを発しているのは、経年変化もあるが、描き文字も大きな要因だと思う。
本書は描き手別、さらに年代ごとに分かれている構成が素晴らしい。
パラパラとめくりながら好きな描き手の手がけた装丁本を集めるというコレクターのためにも役立つし、「なんか最近ちょっとマンネリ化してるな」とモヤっと考えているデザイナーにも新鮮な発見があると思う。
恩地孝四郎の明朝体とゴシック体はどれも抜群にカッコ良いし(なんだこの人のセンスは…)、プラトン社のPR誌「女性」のタイトルロゴを描いた山六郎の描き文字なんて、大正時代におけるヨーロッパの空気感と漢字を見事に融合させている。田村義也の装丁は手癖が強いので実際何冊も古本屋で手に取ったことを思い出した。全く知らなかった人だと綿貫宏介。この人はこれから掘りたい一人。
というか、ここに掲載されている書籍の現物が全部欲しい。
破産するに違いない。