ブックレビューBOOK REVIEW

日本とイギリスを結ぶ 陶芸界の架け橋
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日本とイギリスを結ぶ 陶芸界の架け橋

バーナード・リーチ

「リーチの作品は、優しく温和なものが多い。力んだものや、いばったものや、強さ、荒さを表にしたものはない。」

民藝運動家の柳宗悦がバーナード・リーチの作品に寄せた言葉です。本書ではそのほかに陶芸家の浜田庄司、白樺派を代表する小説家、志賀直哉のテキストも掲載されていますが、それぞれの言葉からもリーチが誠実で素直な人柄だったということがよく分かります。

リーチは幼少期を日本で過ごし、22歳で再来日します。その後民藝運動をともにする柳宗悦らと交流し、富本憲吉とともに六代目尾形乾山に弟子入り。国内で作陶をはじめます。イギリスに戻ってからは、自身の登り窯「リーチ・ポタリー」を築き、イギリス陶芸界を牽引しました。

数多くの素晴らしい作品を残したことだけでなく、各地に赴き技術を伝え、日本とイギリスの架け橋として活躍したことも、大きな功績です。

イギリスに古くから伝わっていた陶芸技法「スリップ・ウェア」を蘇らせ、日本へ広めたのもリーチです。また大分県小鹿田に3週間滞在し、ピッチャーの継ぎ手のデザインを教え、反対に「飛び鉋」という技法を習得し、海外へと知らしめました。

好奇心と素直な姿勢で、日本各地、そしてイギリスの技術を学び、伝え、自身の作陶に取り入れたリーチ。氏の活躍に想いを馳せながら、陶芸作品やエッチングの筆跡を眺めてみてください。

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故郷・広島県で雑貨のお店をしていた影響で、器に目がない。盛り付ける料理は修行中。ノストスブックスの雑貨担当として奮闘します。暮らしにまつわる本、民藝本、画集が好きです。