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ディーター・ラムスのデザインに学ぶ、ものを選ぶ視点
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ディーター・ラムスのデザインに学ぶ、ものを選ぶ視点

Dieter Rams: As Little Design as Possible

Sophie Lovell

ディーター・ラムスのデザインした製品を使えたら、そのほかに多くの物はいらない、とすら思ってしまいます。あのかっこいいオーディオが、ライターが、コーヒーメーカーがあれば、きっと簡単に他のものに買い換える気持ちが生まれないだろうな。

BRAUN(ブラウン)を代表する一体型オーディオ・セット「SK-4」や、電卓「ET-66」、ヴィツゥ製のモジュール式壁面収納など、数々のベストセラー商品を生み出したディーター・ラムス。アップルのデザイナー、ジョナサン・アイブにも大きな影響を与えているエピソードは有名です。


「良いデザインは革新的である」からはじまる、ディーター・ラムスによる「良いデザイン」の十か条。この理念がラムスの製品のすべてを表しています。

バウハウスの理念にも影響を受けた氏のデザインに共通するのは、シンプルで機能的なこと。ラジオのつまみ一つとっても、この上なく無装飾で美しい。多くのインタビューを読むと「不要なものが多すぎる世の中」という言葉が印象的です。可能な限り長持ちし、環境に配慮したものを生み出したいという思いが、製品からも伝わってきます。

この先も多くのデザイナーに影響を与え続けるだろうけど、いち消費者であるわたしも氏の考えにならい、ものを選ぶ眼を持ち続けたいと思うのです。

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故郷・広島県で雑貨のお店をしていた影響で、器に目がない。盛り付ける料理は修行中。ノストスブックスの雑貨担当として奮闘します。暮らしにまつわる本、民藝本、画集が好きです。