ブックレビューBOOK REVIEW

日経新聞社がおくる、時空を超えた知のぜいたく
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日経新聞社がおくる、時空を超えた知のぜいたく

日経回廊 全巻10冊

「時空を超えた知のぜいたく」。想像するだけで心満たされるテーマです。

この『日経回廊』は、日経新聞社が購読者向けに発行していた非売品の雑誌。残念なことに現在は休刊となっていますが、僅か1年半の間に発行されたこの10冊、特集がどれをとっても魅力的なんです。 

 「パートナー考」の号では、ジョージア・オキーフとアルフレッド・スティーグリッツや、スーザン・ソンタグとアニー・リーボヴィッツなどといったカップルの在り方から、”ともに生きること”の意味を探ったり。
「言葉の教室」の号では「詩を装丁する。」と題して、菊地信義、葛西薫、服部一成らが手掛けた装丁作品から、言葉の集積を本という魅力ある物質に仕立て上げる過程を紐解きます。

 豊富な切り口で紹介されたコンテンツは、読者が自発的に知ろうとすることの楽しさを教えてくれているよう。知のぜいたくとは、こういう状態のことを言うのかもしれません。

 そして個人的には、奥付の編集後記的な部分もぜひ忘れずに読んでいただきたい。新聞を読むときも「忙しくて中身が読めない時でも、社説だけは読んだほうが良い」と言われて育った身としては、このささやかなテキストの中に、制作に関わったひとたちの熱がぎゅっと凝縮されているような気がしています。
 『日経回廊』、ぜひコンプリートして読んでいただきたい。ということで、今回は10冊揃えで入荷しております。

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ノストスブックス店長。前職では某テーマパークのお姉さんや、不動産会社の営業をしていました。小説とクラシックなものが好き。一緒に、好きだと思えるものを沢山見つけましょう。