ブックレビューBOOK REVIEW

淡々と、残酷に、美しく。川内倫子のうつす世界
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淡々と、残酷に、美しく。川内倫子のうつす世界

Illuminance

川内倫子

人びとの営み、光あふれる美しい景色、そして道端に佇む死。すべてが並列。川内倫子の写真はきわめて平等な視点で世界を見つめています。 

本書「Illuminance(イルミナンス)」は川内倫子の12冊目の写真集。ローライフレックスやハッセルブラッドなどの6×6cm判カメラで撮り下ろした風景は、どれも独特の匂いを放ちます。 

儚く透明感のある草花、こぼれおちる雨粒、ロードキルで死んだ鹿から流れる血液、山のように積まれた廃棄電化製品。これらが日常の一部として流れすぎていく様子は、淡々として、ときに冷酷にすら思え、そして美しいのです。

もしかすると、これらの光景はわたしたちが見落としている、または見るのを避けている一瞬なのかもしれません。

衝撃的でありながら、不思議な安心感をもたらしてくれる本作。普遍的なものってなんだろう?と思いをめぐらせながらページをめくっております。

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ブックディレクター。古本の仕入れ、選書、デザイン、コーディング、コラージュ、裏側でいろいろやるひと。体力がない。最近はキュー◯ーコーワゴールドによって生かされている。ヒップホップ、電子音楽、SF映画、杉浦康平のデザイン、モダニズム建築、歌川国芳の絵など、古さと新しさが混ざりあったものが好き。