人びとの営み、光あふれる美しい景色、そして道端に佇む死。すべてが並列。川内倫子の写真はきわめて平等な視点で世界を見つめています。
本書「Illuminance(イルミナンス)」は川内倫子の12冊目の写真集。ローライフレックスやハッセルブラッドなどの6×6cm判カメラで撮り下ろした風景は、どれも独特の匂いを放ちます。
儚く透明感のある草花、こぼれおちる雨粒、ロードキルで死んだ鹿から流れる血液、山のように積まれた廃棄電化製品。これらが日常の一部として流れすぎていく様子は、淡々として、ときに冷酷にすら思え、そして美しいのです。
もしかすると、これらの光景はわたしたちが見落としている、または見るのを避けている一瞬なのかもしれません。
衝撃的でありながら、不思議な安心感をもたらしてくれる本作。普遍的なものってなんだろう?と思いをめぐらせながらページをめくっております。