アヴァンギャルド、モダニズム、ニューエイジ、禅、オカルト、ジャパネスク。横尾忠則のブックデザインは挑戦に満ちています。
1957年から2012年までの55年にわたる装丁仕事をフルカラー収録した本書「横尾忠則全装幀集」。
寺山修司「書を捨てよ、町へ出よう」、柴錬三郎「うろつき夜太」、自身のエッセイ集などの単行本・大型本のほか、ADを務めた流行通信をはじめとする雑誌に至るまで、あますことなく収録されています。その数なんと918点!多すぎやしませんか。
ページをめくってもめくっても横尾本。強烈な存在感。圧倒されます。書影をじっくり観察するのはもちろん、1冊ごとに添えられた、横尾氏本人による当時を振り返るコメントがまた面白い。
「カバーに帯を入れるのは好きじゃない。だから帯を表紙に刷り込んだ」(未完への脱走)
「日本の原風景に、シャネルのパッケージのようなラインをスッと入れる。それだけで佇まいが美しくなる」(幻花)
感覚と思索、直感と理性の交差する場所で生まれる横尾忠則のデザイン。決して保守にまわらず常に前のめりなそのトライアルは、時代をうつす鏡のようでもあります。
ノストスブックスのオープン時に放出してしまった、私物の横尾装丁本。またコツコツ集めようかなあ。