本日はノストスブックスオンラインストア開店時、私物を泣く泣く手放したAVANTGARDE誌をご紹介します。
古書店巡りを日課にしていた当時、アート、デザイン関係に強そうな古書店にはもれなく置いてあった、AVANTGARDE誌 。パッと目を惹くグラフィックとLPレコードのような判型、大胆なタイポグラフィ。「これは買わなければ!」と神に導かれ、コツコツと全巻揃えたことを覚えています。
当時は、ハーブ・ルバリン もラルフ・ギンズバーグも、アヴァンギャルド・ゴシック という書体のことも、何も知りませんでしたが、この魅力的なアートワークとタイポグラフィをきっかけに、過去のデザイナーや作品を調べるようになっていきました。
本日はAVANTGARDE誌についてご紹介します。
AVANTGARDE誌とは?

中の人である、編集者ラルフ・ギンズバーグとグラフィックデザイナー、ハーブ・ルバリンの黄金コンビは、雑誌という媒体を使って大いなる実験をいくつも重ねました。セクシャルな表現や論文が原因となり、EROS 、FACTという2誌とも裁判や訴訟によって廃刊に追い込まれてしまうのですが、へこたれない2人はわずか6ヶ月後に、このAVANTGARDEを創刊します。
ラルフ・ギンズバーグはデザインに一切口出しせず、全面的にハーブ・ルバリンを信頼していました。雑誌のフォーマットというものはある程度決まっていかざるをえないものですが、ハーブ・ルバリンは各号を大胆なタイポグラフィ的実験の場として活用し、美しく、かつ斬新な驚きを与えるレイアウト表現を生み出します。




Avant Garde #8: 左にピカソの絵、右には色ベタとアヴァンギヤルド・ゴシックでキーワードを組んだレイアウト。

Avant Garde #2: マリリン·モンローの旅 - バート·スタイン セリグラフのポートフォリオ

Avant Garde #2: イラストレーションはシムズ・タバック

Avant Garde #2: "NO MORE WAR!"ポスターコンテスト

Avant Garde #11: ジョン・レノンのリソグラフ





大きく配置したタイポグラフィと図版、本文のバランスが美しい見開きページの数々。
ハーブ・ルバリンのデザインの力で、洗練した美を纏ったAVANTGARDE誌ですが、後半の号になるにしたがって、より過激な表現を追求していきます。




こうしてわずか3年間という短い期間で幕を閉じたAVANTGARDE誌ですが、美を問う挑戦的な内容と美しいデザインは、アヴァンギャルド=前衛という名にふさわしく、後世に与えた影響は非常に大きいものとなりました。
ハーブ・ルバリンは、その後タイポグラフィー専門誌U&lc誌に力を注ぎ、U&lc誌に次々と新たなデザインを発表しながら、タイポグラフィの水準を高めていきます。こちらはそのU&lc誌をまとめた一冊。