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なかなか手を出せない、あこがれの本。思い切って手に取ってみました
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なかなか手を出せない、あこがれの本。思い切って手に取ってみました

山田です。

欲しい写真集があっていろいろな本屋さんを巡るのですが、多少のお値段がするものはガラスケースの中に入っていて、なんだか一歩引いてしまうことがよくあります。
ですが、ノストスブックスでは、どんな本でも気軽に本を手に取ってもらいたいとの思いから、すべての本を棚に並べています。それでもやっぱりいい本はそれなりのオーラを放っているもので、手を出したことがない本もいくつかあったり……。

中身が全然見えないんじゃその良さがわからない!ということで、思い切って気になった本を見てみることにしました。



シカゴ,シカゴ/石元泰博

気になるタイトルながら、函入りで写真コーナーの上段に陳列されていたため、なかなか手を伸ばさなかった、『シカゴ,シカゴ』。

石元泰博は、シカゴにあるバウハウスの流れを汲む芸術学校、インスティテュート・オブ・デザインで学んだことから、自身の写真人生の礎となった地を選び、シャッターを切ったそう。石元の最高傑作にして原点でもある1冊です。

chicago14 chicago15 情熱が滾る序文は瀧口修造、モノクロの写真を引き立てるシックなレイアウトは亀倉雄策と豪華な布陣。

chicago7 chicago1 瀧口修造が、ヘミングウェイがなけなしのお金でミロの絵を買ったときに語った言葉を添えます。

「あの絵には、あなたがその土地に行って感じるすべてのものと,遠く離れていて,その土地に行けないときに感じるすべてのものとがある…… この二つの極端に反対のものを描くことのできた画家はほかにはいない……」

なんだかわかる気がする。この写真集にはイメージ通りのアメリカの風景もあるけれど、まだまだ知らないことも多い。

chicago11 chicago10 バロック建築やルネッサンス建築が今も残るシカゴですが、大火からの再建に合わせて都市計画も進み、バウハウスの流れをくむ現代建築も数多く見ることができます。ビルそのもののかっこよさを引き立てる、見上げの構図。

chicago13 コントラストが強く、剛健な黒の使い方が特徴的。ツヤのあるプリントが、本物の黒を教えてくれます。

chicago5 chicago6 自動車の無造作な配置にすら美しさを覚えます。

chicago3 本作の函にも使用された女の子。あどけなさと、ふわりと浮き上がったスカートへの恥ずかしさを湛えていて、すごくかわいい。
それにしても、風の街・シカゴの風はやんちゃですな。

chicago4 写真家の遊び心が顕になった、決定的瞬間。

chicago9 バキバキっとしたストリートスナップの中に、時々こういうユルイのが。緩急のうまさも石元泰博の魅力だということが、本を開いてみてわかりました。

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シカゴ,シカゴ

著者
石元泰博
出版社
美術出版社
発行年
1969年
写真家・石元泰博の写真集。バウハウスの流れを汲むインスティテュート・オブ・デザインで培われた非凡な凝視力がシカゴの都市を捉えた傑作。

ブエノスアイレス/森山大道

daido14 daido10 こちらは限定特別版。函に入っていると、表紙がどうなっているのかすらわからないものですね……。カバーは大きなポスターになっていました。

daido1 daido6 daido4 屋内と屋外、視覚の世界で森山が捉えたブエノスアイレスの光と影を写真に収めています。

daido3 眠そうなニャンコ。

daido13 函がモノクロだったので、収録写真もモノクロだと思っていたのですが、カラーも混在。それぞれ紙を変えています。

daido5 daido8 ニューカラーフォトのような鮮やかさのなかに、いつものざらつきが残っていて納得。それにしても、貴重な森山大道のカラー写真がこんなに身近にあったなんて。

daido12 しかも、サイン入りでした……!

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ブエノスアイレス 限定特別版

著者
森山大道
出版社
講談社
発行年
2005年
写真家・森山大道の写真集。都市ブエノスアイレスの光と影を撮影。十数年ぶりのカラー作品を含む写真作品を多数収録。大型カバーポスター付属。サイン入。
やっぱり、実際に見るとその良さがよくわかりますね。勇気を出してよかった。
すべては内容と状態にご満足いただいたうえでお持ち帰りいただきたいから。そのために、商品ひとつひとつ、写真も多めに掲載しています。

すぐに購入を決めなくても、気になったものはお取り置きも可能です。

ECサイトと店舗を併せてご利用ください。

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1990年4月22日午年、金沢出身。ギリ平成生まれのデジタルネイティブ、nostos booksを拠点にしながらカレーを作り続けるフリーランス編集者。実は理工学系。2019年2月退社。