書店やコンビニに並ぶ華やかなファッション誌の数々。ハイファッション、ストリートファッション、ライフスタイル...etc。特集内容もエディトリアルデザインも色とりどりです。時代に寄り添いながら進化し、現代では多種多様な展開をみせるファッション誌ですが、そのルーツはなんとたったの2種類。1800年代後半にアメリカで創刊された「ハーパーズバザー」と「ヴォーグ」です。
本日は、「ハーパーズバザー 」のエディトリアルデザインに革命を起こし、ファッション誌におけるページ構成の基礎を築いたアートディレクター、アレクセイ・ブロドヴィッチ の仕事を取り上げたいと思います。
ハーパーズバザーとアレクセイ・ブロドヴィッチ
ハーパーズバザーは、女性向けファッション雑誌として1867年にアメリカで創刊されました。長い歴史のなかでいくつもの栄光を手にしてはいるものの、エディトリアルデザイン面で大幅な飛躍を遂げたのは1940年〜1950年代。その黄金期は、ひとりのアートディレクターの就任をきっかけにはじまりました。
1934年にハーパーズバザー誌のアートディレクターに就任したブロドヴィッチは、今までの雑誌におけるレイアウトの概念を次々に塗り変えていきます。
1934年にハーパーズバザー誌のアートディレクターに就任したブロドヴィッチは、今までの雑誌におけるレイアウトの概念を次々に塗り変えていきます。
余白を効果的に取り入れ、写真を美しくレイアウト
表現の開拓者として、ファッション誌のデザインを牽引したブロドヴィッチ。その最も大きな功績と言えるのが、写真をダイナミックに使用し、余白を美しく取り入れたエディトリアルデザイン。フォトモンタージュやソラリゼーションなどの実験的な撮影技巧も積極的に取り入れ、トリミングや合成を駆使し、いくつも魅力的な紙面を作り上げてきました。
マン・レイやハーバート・マターの写真では女性モデルのリップ、ネイルなどにワンポイントで色を使い、さりげない色気を演出。モデルが身につけているドレスのシルエットに合わせたテキストレイアウトは、息をのむ美しさ。足などのボディラインも、見事にレイアウトの軸に組み込んでしまいました。
リチャード・アヴェドンの撮影したモデルはステップを踏み、紙面の奥からこちらへ歩み寄ってくるような映像的な演出がされています。
ハーパーズバザーを足がかりに、ファッションフォトの世界で才能を開花させたリチャード・アヴェドン。その代表作をじっくりご覧になりたい方は「ザ・ファッション 1947-1977」をどうぞ。
本書「Alexey Brodovitch」Assouline社版にはジャケットデザイン、誌面構成の他、レイアウトカンプなども掲載されており、制作過程を垣間見ることのできる資料としても価値があるのではないでしょうか。
実寸に近い大判サイズで鑑賞できるのも魅力!
マン・レイやハーバート・マターの写真では女性モデルのリップ、ネイルなどにワンポイントで色を使い、さりげない色気を演出。モデルが身につけているドレスのシルエットに合わせたテキストレイアウトは、息をのむ美しさ。足などのボディラインも、見事にレイアウトの軸に組み込んでしまいました。
リチャード・アヴェドンの撮影したモデルはステップを踏み、紙面の奥からこちらへ歩み寄ってくるような映像的な演出がされています。
ハーパーズバザーを足がかりに、ファッションフォトの世界で才能を開花させたリチャード・アヴェドン。その代表作をじっくりご覧になりたい方は「ザ・ファッション 1947-1977」をどうぞ。
広告写真やファッション写真など幅広い分野で活躍したアメリカの写真家/リチャード・アヴェドン。代表的な写真作品集「Photographs 1947-1977」を邦訳したもの。
実寸に近い大判サイズで鑑賞できるのも魅力!
Alexey Brodovitch
- 著者
- Gabriel Bauret
- 出版社
- Editions Assouline
- 発行年
- 1998年
ハーパーズバザー誌を中心に、アレクセイ・ブロドヴィッチがアートディレクションをまとめた一冊。レイアウトカンプなども掲載。フランス語版。
ハーパーズバザーを離れたのちのブロドヴィッチの活動
1960年代以降、ハーパーズバザーを離れたのちも、ブロドヴィッチの活動は広がっていきます。自身で主宰したワークショップ「デザイン・ラボラトリー」はアーヴィング・ペン、ロバート・フランク、アーノルド・ニューマン、ダイアン・アーバスなど次世代を担う写真家を多数輩出します。
さらにはアンドレ・ケルテスの「Day of Paris」、リチャード・アヴェドンの「Observations」をはじめとする写真集のプロデュース、グラフィックデザイン誌「Portfolio」の発行など、その功績は今でも随所で見ることができます。
「Portfolio」1号と3号の表紙。
個人的にもかなり欲しい!
ブロドヴィッチの作品集はPhaidonから出版された「Alexey Brodovitch」もございます。
ハーパーズバザーの仕事に加え、代表作「Ballet」「Day of Paris」「Saloon Society」、希少なブックカバーやポスターワークなどの図版を収録した、ブロドヴィッチの長いキャリアを網羅した作品集。より詳しいバイオグラフィーや解説をお求めの方におすすめです。
さらにはアンドレ・ケルテスの「Day of Paris」、リチャード・アヴェドンの「Observations」をはじめとする写真集のプロデュース、グラフィックデザイン誌「Portfolio」の発行など、その功績は今でも随所で見ることができます。
「Portfolio」1号と3号の表紙。
個人的にもかなり欲しい!
ブロドヴィッチの作品集はPhaidonから出版された「Alexey Brodovitch」もございます。
Alexey Brodovitch
- 著者
- Kerry William Purcell
- 出版社
- Phaidon Press
- 発行年
- 2002年
ファッション写真やエディトリアルデザインに多大な影響を残したアレクセイ・ブロドヴィッチの包括的な作品集。