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色彩感覚のダイヤルを廻せ!ピーター・マックスと60年代アメリカのサイケデリック・ポスター
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色彩感覚のダイヤルを廻せ!ピーター・マックスと60年代アメリカのサイケデリック・ポスター

こんにちは、石井です。

春ですね。暖かくなってくると街に色が溢れ、気持ちも自然と軽くなります。明るいカラーの服を着たくなったり、色鮮やかなグラフィックデザインに挑戦してみたくなったり。でも、色の合わせ方に困ることもしばしば。そんな時、色彩表現の理論やカラーパレットのサンプルは数あれど、直感的な色の組み合わせも重要なのだなあとしみじみ思うのです。

そこで今回は、理論より独自のセンスで勝負した、60年代〜70年代のアメリカにおけるアーティストやグラフィックデザイナーたちとその作品をご紹介します。

それでは、グラフィックデザインが入り口のマジカル・ミステリー・ツアーへGO!



ピーター・マックスのカレイドスコープ

The Art of Peter Max

The Art of Peter Max

著者
Peter Max
出版社
Harry N. Abrams
発行年
2002年
ピーター・マックスの作品集。
カウンター・カルチャー発、サイケデリックなスタイルを確立したアーティストでありグラフィックデザイナーといえば、ピーター・マックス。ビートルズのアニメーション作品「イエロー・サブマリン」にも強い影響を与えたともいわれる、カラフルでポップな作品が特徴です。本書は1960年代から2000年代までに積み重ねられた、ピーター・マックスの作品の変遷を一望できる1冊。

ピーター・マックス ピーター・マックス 1967年のポスター。かなりアシッド。強烈です。

ピーター・マックス 左はご本人のポートレート。
右はサイケデリックアートではお馴染みの万華鏡スタイル。

ピーター・マックス 初期の仕事にはコラージュもちらほら。ビートルズにボブ・ディラン、フランク・ザッパ、ステージのヒーローが大集合。フリーダム!

ピーター・マックス ピーター・マックス こんなにポップなテイストも。ちょっぴりサイエンス・フィクション風味なのも素敵。

ピーター・マックス 肖像画シリーズ。どこかで見たことのあるお顔...と思ったら左はゴルバチョフ元大統領。右はジョージ・ワシントン。油絵具、アクリル絵具、水彩、コラージュなど様々な画材や技法を駆使し、常識を打ち破る色彩感覚に圧倒されます。

熱気を帯びるアメリカの広告ポスター

the American Poster 1945-75

the American Poster 1945-75

出版社
National Collection of Fine Arts
発行年
1975年
1945年〜75年の30年間に作られたアメリカの広告ポスターを編纂。
こちらは1945年から1975年の30年間に作られたアメリカの広告ポスターを編纂した作品集。そのうち60年代から活躍したイラストレーターやグラフィックデザイナーの作品をピックアップ。

ミルトン・グレイザー グラフィック・デザイン集団「プッシュピン・スタジオ」の創設メンバー、ミルトン・グレイザーによるリトグラフ。横顔の人物のモチーフはボブ・ディラン。

ミルトン・グレイザー こちらは両方ともライブ告知ポスター。
左はロバート・フリード、右はミルトン・グレイザーによるもの。

ミルトン・グレイザー 左はピーター・マックス。彼の手にかかれば政治家もポップアートに。
右はミルトン・グレイザーのサイケデリック・バッハ。

シーモア・クワスト こちらもプッシュピン・スタジオの一員、シーモア・クワストの作品。
60年代〜70年代に花開いたカウンターカルチャーから生まれ、若く、反逆的でユーモアと皮肉にあふれたサイケデリックなグラフィックの数々。それらは横尾忠則をはじめ、日本のデザイナーにも大きな影響を与えました。強烈なインパクトは年月を経ても健在。自分の色彩感覚をチューニングしたくなったら、ぜひ眺めてみてください。



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ブックディレクター。古本の仕入れ、選書、デザイン、コーディング、コラージュ、裏側でいろいろやるひと。体力がない。最近はキュー◯ーコーワゴールドによって生かされている。ヒップホップ、電子音楽、SF映画、杉浦康平のデザイン、モダニズム建築、歌川国芳の絵など、古さと新しさが混ざりあったものが好き。