Ellery’s Theory of Neo-conservative Creationism
アーティスト、ジョナサン・エラリーによる作品集。ビッグバン理論、創造論、ダーウィン進化論、宗教といった相反する思想のあいだに身を置き、軽やかな挑発を交えながら問いを投げかける。理論と信仰、科学と神話がせめぎ合う領域を題材に、明確な答えを示すのではなく、思考の摩擦や矛盾そのものを浮き彫りにする試み。2009年にロンドンで開催された同名展にあわせて発表された作品を収録し、エラリーの批評的ユーモアと知的遊戯性を伝えている。
Through the Mirror | Cristina Iglesias
1999年にスペインで開催された展覧会に際して刊行されたカタログ。スペインの彫刻家、クリスティーナ・イグレシアスによる建築的構造や迷路のような空間性をもつ彫刻・インスタレーションを豊富な図版で紹介する。内と外、現実と鏡像の「あわい」に立ち上がる詩的な空間体験を記録し、鑑賞者の知覚を揺さぶるイグレシアスの表現世界を凝縮した一冊。
北大路魯山人と須田菁華
陶芸家・北大路魯山人と、九谷焼の名工・須田菁華の初代から4代までの作品を集めた作品集。両者の交流や影響を背景に、魯山人、菁華家による陶磁器の作品群をオールカラーで収録し、技法や造形美を鮮やかに伝える。九谷焼の歴史と美の系譜をたどりつつ、魯山人の多才な芸術世界を解説する。
写真 | 鈴木心
写真家・鈴木心による初の作品集。学生時代から撮りためてきたプライベートワーク約130点を収録する。再開発地区の高層建築現場、レースクイーンの撮影会、奇妙な遊具と親子、震災後の瓦礫、改造車など、都市と社会の断片を冷静な視点で捉える。情緒や演出を排し、写真を「情報」として扱う姿勢が貫かれ、同時代の風景と写真表現の関係を問い直す。装丁は菊地敦己が手がけている。
SUWA | 小林紀晴
写真家・小林紀晴がおよそ18年間過ごした長野県・諏訪の風景と記憶を綴った写真集。長年見つめてきた街や自然、人々の生活を写真と文章で丁寧に描き、過去と現在の揺らぎを通して土地への愛着や記憶の細部を浮かび上がらせる。個人的な視線と普遍的な時間の経過が交錯する、心に残る一冊。
雪国 昭和30年〜33年 | 浅野喜市
写真家・浅野喜市が昭和30年から33年にかけて撮影した作品集。能登や越後、東北地方を巡り、雪に覆われた集落や祭り、人々の営みをモノクロで収録。深く積もる雪とともにある生活の姿、厳しい自然と向き合う日常の所作が丁寧に写し出される。除雪や運搬、家屋の佇まいといった細部から、当時の暮らしの緊張と力強さが伝わる内容。高度成長期前夜の地方の風景を記録した資料としても貴重な記録。
The Art and Architecture of Paul Rudolph
アメリカの建築家ポール・ルドルフを総合的に紹介する研究書。住宅や公共建築など23の主要プロジェクトを、図面や写真とともに取り上げ、その設計思想を辿る。39歳でイェール大学建築学部長に就任し脚光を浴びた時期から、1970年代の評価の低迷、そしてアジアでの仕事を通じた再評価まで、その歩みを整理。教え子であるノーマン・フォスターやリチャード・ロジャースらの寄稿も収録。
Gyroscopic Horizons
世界的に影響力をもつ建築家、ニール・デナリの軌跡をたどるモノグラフ。SCI-Arc第三代学長としても知られる彼の思想と実践を、写真、批評、グラフィック、建築作品を通して紹介する。代表作「Interrupted Projections」からマイクロソフト初のリテールストアまで、20のプロジェクトを精緻なコンピュータ・レンダリングとともに収録。
Atelier | 久家靖秀
写真家・久家靖秀が日本を代表する美術家たちの創造の現場「アトリエ」に迫った写真集。草間彌生や村上隆、舟越桂ら多彩な表現者の制作空間を、鮮やかな色彩と緻密な構図で捉える。作品が生まれる瞬間の緊張感、道具や空間に宿る思考の痕跡を写し出し、創作の源泉に光を当てている。
ニッポンタカイネ | 吉永マサユキ
写真家・吉永マサユキによる作品集。1990年代末から2000年代初頭にかけて撮影された在日外国人やアジア出身の人々の日常風景を収録し、都市空間に生きる彼らの存在感や生活の様子を描く。表面的にはポップな「日常」の光景でも、その背後にある宗教・文化・社会的背景の複雑さを映し出し、現代日本の多様な社会像を考察させる内容。
GA No.13 ル・コルビュジエ:サヴォワ邸
20世紀を代表する世界中の建築作品を紹介する『GA グローバル・アーキテクチュア』第13号。モダニズム建築の巨匠ル・コルビュジエによる、近代建築の五原則を体現するサヴォワ邸を紹介。カラー・モノクロによる大判の図版と併せて解説を収録。写真は二川幸夫、装丁は細谷巖が手がけている。
GA No.12 フィリップ・ジョンソン:フィリップ・ジョンソン邸 1949
20世紀を代表する世界中の建築作品を紹介する『GA グローバル・アーキテクチュア』第12号。アメリカのモダニズムを代表する建築家、フィリップ・ジョンソンの邸宅を紹介。カラー・モノクロによる大判の図版と併せて解説を収録。写真は二川幸夫、装丁は細谷巖が手がけている。
GA No.11 ル・コルビュジエ:ラ・トゥーレットの修道院
20世紀を代表する世界中の建築作品を紹介する『GA グローバル・アーキテクチュア』第11号。20世紀モダニズムを代表する建築家ル・コルビュジエが手がけたラ・トゥーレットの修道院を紹介。カラー・モノクロによる大判の図版と併せて解説を収録。写真は二川幸夫、装丁は細谷巖が、テキストは磯崎新が担当している。
The Circus in the Mist | Bruno Munari
美術家、デザイナー、絵本作家など多彩な活動で知られるブルーノ・ムナーリの代表作の一つ「きりのなかのサーカス」。ミラノの濃い朝霧に包まれた街を、ページをめくりストーリーとともに歩き進んでいく。トレーシングペーパーとカラフルな色紙を用いて、濃い霧の街からサーカスの登場など没入感を誘う視覚的体験が綴じられた1冊。英語表記。
アイデア No.286 Underworld/Graphic Remixed by TOMATO
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.286(2001年5月号)はロンドンのクリエイティブ集団TOMATOによる特集「Underworld:Graphic Remixed」を160ページにわたり収録。これまで手がけてきたアンダーワールドのレコードジャケットやビデオクリップのイメージを解体し、再構成することで、音と視覚が交差する独自のサウンドグラフィックを展開する。IDEA編集部によるディスクイメージの整理に加え、渡辺健吾によるテキスト「トマトとアンダーワールドのビミョーな関係」も掲載。
アイデア No.300 300号記念特大号
2003年9月発行、『アイデア』300号記念特大号。創刊50周年を祝し、タナカノリユキ・東浩紀・松下計による鼎談「二極化する世界」をはじめ、横尾忠則、永井一正、深澤直人らへのインタビューを収録。さらにバックナンバーからのスクラップも掲載し、雑誌の歩みを振り返る。羽良多平吉、都築響一らによる連載も収録された、節目を飾る保存版的内容。
本へ!あるいは本をめざして | 羽原粛郎
建築写真家・二川幸夫に師事し、デザイナー、教育者、編集者として活動した羽原粛郎による著作。タイポグラフィと書物への賛歌を軸に、文字、余白、版面、紙といった要素を手がかりに、本という媒体の根源を探る。装飾や技巧にとどまらず、「知性と美」という観点から造本を捉え直し、読む行為と視覚の関係を問いかける
花椿合本 2005年1月号-12月号
資生堂が刊行する企業文化誌『花椿』の2005年版12冊をまとめた合本。ファッション、アート、デザインなど多彩なテーマを取り上げ、資生堂が培ってきた美意識と文化への眼差しを誌面に凝縮している。各号の特集からは、2000年代半ばのトレンドや社会の感性が鮮やかに立ち上がり、時代の美意識を読み解く手がかりとなる。企業文化誌としての完成度とアーカイブ的価値を兼ね備えた一冊。
花椿合本 2006年1月号-12月号
資生堂が発行する企業文化誌『花椿』の2006年版12冊を収録した合本。ファッション、アート、デザインを中心に、資生堂ならではの美意識に貫かれた企画やビジュアルを多数掲載している。創刊以来培われてきた文化誌としての編集姿勢を受け継ぎつつ、2000年代のトレンドや社会の空気を映し出す。
ジャン・ヌーベル展
2003年から2004年にかけて開催された展示の図録。フランスを代表する建築家ジャン・ヌーベルが手がけた主要プロジェクトを、写真、図面、模型などの豊富な図版とともに紹介している。代表作から進行中の計画、さらには未完の構想までを網羅し、建築を「光」「素材」「空間」といった要素の交錯として捉えるヌーベルの独創的な手法を明らかにする内容となっている。
草木の聲 | 志村ふくみ、志村昌司、田口葉子
京都新聞デジタルメディア「THE KYOTO」にて2020年9月から2022年8月まで連載された「草木の聲」を書籍化。染織家・志村ふくみの詞を手がかりに、アトリエシムラ代表・志村昌司が染織の日々と思索を綴る。写真家・田口葉子による彩り豊かな図版が寄り添い、植物染料と向き合う時間や素材の息づかいを伝える。装丁は葛西薫。
朴英淑の白磁 月壺と李禹煥の絵皿
2008年に菊池寛実記念 智美術館で開催された展覧会にあわせて刊行された図録。陶芸家・朴英淑が手がける白磁の月壺と、美術家・李禹煥による絵皿を収録する。朝鮮王朝期の陶磁に向き合い、理想の白を求めて土や釉薬の研究を重ねてきた朴の仕事と、現代美術の文脈に位置づけられる李の絵画的介入を並置。丸みを帯びた大壺の量感と、余白を生かした線や色彩が響き合い、伝統と現代表現の関係を問いかける。
森正洋 陶磁器デザインの革新
2002年に東京国立近代美術館で開催された展覧会の公式図録。日本の陶磁器デザインに革新をもたらしたデザイナー・森正洋の代表的な仕事を紹介している。シンプルで機能的な造形に美意識を宿した醤油さしをはじめ、コーヒーセットやパーティトレイなど、約90点の主要な食器デザインをカラー図版で収録。
驚異の部屋 京都大学ヴァージョン
2013年から2014年にかけて東京大学総合研究博物館と京都大学総合博物館の共同で開催された展覧会のカタログ。京都大学総合博物館が所蔵する貴重な学術標本コレクションを中心に構成され、動物の剥製や骨格標本、模型など約50点を精緻な写真で紹介。学術資料としての正確さと、被写体がもつ造形的な美しさの両面に焦点を当て、自然史と美術表現のあいだに横たわる領域を探る。
アシュール石器文化の草創 | 諏訪元 ほか
約175万年前に登場したとされる、アシュール型の石器についてまとめたもの。アフリカ、エチオピア南部にあるコンソ地域で行われた古人類学のフィールド調査で収集されたアシュール石器を紹介する。主にハンドアックス、ピック、クリーバーの細部まで捉えられた実物大の写真とともに解説を収録。
人類先史、曙 | 東京大学総合研究博物館
東京大学総合研究博物館に所蔵されている人類先史標本から、エドワード・モースと坪井正五郎関連の標本を紹介する写真資料集。人頭骨や土器、石鏃など、モースによる大森と陸平貝塚を中心にした黎明期の標本、坪井関連の標本を鮮明なカラー写真で掲載。
Go-Sees | Juergen Teller
ファッション写真で知られるユルゲン・テラーが、1998年から1999年にかけて自身のスタジオを訪れたモデル志望の少女たちを撮影した写真集。ロンドン西部のスタジオの入口という同一の場所で、エージェンシーから派遣された数百人の若い女性を記録している。ひとりで、あるいは友人や親とともに現れる彼女たちは、成功への期待と不安を抱えながらカメラの前に立つ。季節や光の移ろいのなかで撮影されたポートレートは次第に重なり合い、個々の違いを超えて「モデル」という存在そのものを写している。
Peter Lindbergh: Dior
写真家ピーター・リンドバーグとディオールの協働を総覧する大判作品集。70年にわたるディオールの歴史を背景に、ニューヨーク・タイムズスクエアを舞台とした壮大な撮影プロジェクトを軸に構成されている。パリのアーカイヴから特別に持ち出された貴重なオートクチュールをまとい、マリオン・コティヤールやシャーリーズ・セロンらが都市の喧騒の中に佇む姿を収録。第1巻には未発表写真165点を、第2巻には『Vogue』『Harper’s Bazaar』などに掲載された代表作100点超を収める。
THOUSAND | Philip-Lorca dicorcia
米国の写真家、フィリップ=ロルカ・ディコルシアが約20年にわたって撮影してきたポラロイド写真を集成した作品集。特定のシリーズや年代に整理されることなく、膨大なイメージが連なり、写真集そのものが一つの作品として構成されている。台所の一角やスーパーの通路、見知らぬ人物の姿など、私的で断片的な場面が続き、記憶の中を辿るような読書体験を生み出している。
A Book of Spoons | Jasper Morrison
英国のプロダクトデザイナー、ジャスパー・モリソンが選んだスプーンの写真集。穴あきお玉からアイスクリーム用スプーンまで、時代や用途を横断する日用品を収録し、ありふれた道具を類型学的視点から捉え直す。イェール大学で教鞭を執るポール・エリマンとの協働により、書体や構成にも思索が行き届いたブックデザインを実現。ナイジェル・シャフランによる写真は、均質で控えめな佇まいを保ちながら、素材や形状の差異を丹念に映し出している。
The Eames Lounge Chair: An Icon of Modern Design
ミッドセンチュリーを象徴する家具、イームズ・ラウンジチェアの包括的研究書。チャールズ&レイ・イームズによる設計の背景や構造を詳細に検証し、とりわけレイ・イームズの役割にも光を当てる。伝統素材と近代的技術、機械生産と手作業の仕上げが交差する制作過程を辿りながら、戦後アメリカの文化的文脈のなかでこの椅子が占めた位置を読み解く。200点を超える図版に加え、未発表ドローイングやフィルムスチル、書簡も収録。
Richard Serra: Lemgo Vectors
ドイツのレムゴーに設立されたSTAFFランドスケープ・パークのために制作されたリチャード・セラの彫刻「Lemgo Vectors」を紹介する作品集。自然の保全と芸術の振興という理念のもと、風景と深く向き合いながら生み出された作品の構想と意義を、テキストと写真で伝えている。ドイツの製鉄所での制作風景写真も掲載。美術史家シルケ・フォン・ベルスヴォルトによる論考と、ディルク・ラインアンツの写真を通して、自然と彫刻が緊張関係のなかで結びつく瞬間を描き出す
ハートランド 365日カレンダー
キリンビールのブランド「Heartland(ハートランド)」によるクリエイティブキャンペーンにおいて、Heartlandビール販売店向けに制作された365日分のポスターコレクション。小規模の個人店でも自由に掲示できるよう、日付のないカレンダー形式で束ねられており、店舗ごとに自由な使い方が可能となっている。各ポスターにはHeartlandブランドの理念である「時間を忘れてビールを楽しむ」というメッセージが込められ、プロモーションとアート表現を融合させたユニークな取り組みとして、広告・デザインの視点からも高く評価された。
スタインバーグ 新しい世界
アメリカを代表するイラストレーター、ソウル・スタインバーグの日本語版作品集。雑誌『ニューヨーカー』の表紙や挿絵で知られるユーモラスで風刺的なドローイングを多数収録する。線と構成の軽やかな筆致によって、日常と想像のあいだを自在に往来するスタインバーグの世界を紹介。装丁は詩人で美術評論家の瀧口修造が手がけ、袖には彼によるスタインバーグ論を掲載。
Serpens | Guido Mocafico
写真家ギド・モカフィコによる蛇を主題とした作品集。ファッションフォトグラファーとして『Vogue』『Wallpaper』などで活動する一方、長年にわたり撮影を重ねてきた蛇のイメージをまとめる。約2,700種におよぶ多様な存在のなかから、コブラやマンバ、クサリヘビなどを厳選し、黒を基調とした背景のもとでその姿を克明に記録。神話や宗教、恐怖や崇拝の対象として語られてきた蛇を、美しい魅力的な造形として捉えている。
サセボプロジェクト04 17 | 松尾修
長崎・佐世保を舞台に、写真家・松尾修が2017年に出会った17歳前後の少年少女たちの姿を捉えた写真集。米海軍基地や造船業が存在する街の中で育つ若者たちの等身大の表情や日常を、モノクロームの静謐な画面で描き出す。地元出身ならではの視点で、都市や地域に根ざす青春のリアルな姿を記録し、個人の存在と環境の関わりを浮かび上がらせる作品群は、観る者に街と人の関係性を考えさせる。シリーズ「サセボプロジェクト」の第4弾として、松尾修の地道なドキュメント精神と写真表現の確かさを示す一冊。
Betty Catroux, Yves Saint Laurent: Feminine Singular
イヴ・サンローランのファッションアイコンであり、サンローランの「片割れ」とも称されたベティ・カトルーのモノグラフ。2020年にパリのイヴ・サンローラン美術館で開催され、2022年に日本にも巡回した展覧会に際して刊行されたもの。イヴ・サンローランの象徴とも言える魅惑的なミステリアスさと、時代を超えて称賛される長く洗練されたシルエットを誰よりも兼ね揃えていたカトルー。本書は美術館の所蔵品およびカトルーのプライベートコレクションから、アーティスティック・ディレクターのアンソニー・ヴァカレロが選定した写真を多数掲載した一冊。英語、フランス語表記。
Weight and Measure 1992 | Richard Serra
1992年にテート・ギャラリーで開催されたリチャード・セラの展覧会の図録。重量と寸法という根源的な主題を軸に、鋼板を用いた大型彫刻を収録。空間に配置された鉄の質量は、視覚だけでなく身体感覚に直接作用し、鑑賞者の動線や重力への意識を変化させる。図版とテキストを通して、支持構造やバランス、スケールといった問題系を掘り下げ、彫刻と場所の関係を再考する。
Deliciously Decadent: Dinner Services of the 20th & 21st Centuries
世紀の変わり目に生まれた過剰で豪華、官能的かつ攻撃的な現代食器を紹介するビジュアルブック。オランダ・プリンセスホフ国立陶磁器美術館での展覧会にあわせて刊行されたもの。国内外の著名デザイナーによる、多彩な釉薬や光沢、宝石や真珠を用いた作品を豊富な写真で収録。心理学的・社会学的・文化史的視点から「退廃」のテーマを論じつつ、新しい陶磁器技法の情報源としても価値が高い。ユーモアを交えつつ、贅沢すぎる食器の魅力と意義を探る一冊。
信楽大壺 | 土門拳、小山富士夫
写真家・土門拳と陶磁器研究家・小山冨士夫による、信楽焼の大壺をテーマにした写真集。土門拳が捉えた重厚で精緻な写真をカラー、モノクロ図版で多数収録し、信楽焼特有の土味や自然釉の美を鮮やかに伝える。解説は陶磁器研究の第一人者・小山冨士夫が担当し、技法や歴史的背景も詳述。前書きには文芸評論家・小林秀雄による寄稿もあり、単なる写真集を超えた美術書としての価値を併せ持つ。
独楽 熊谷守一の世界 | 藤森武
写真家・藤森武が画家・熊谷守一の生活を撮影した写真集。土門拳に師事した藤森が約3年間にわたり熊谷邸に通い、庭で虫を観察する姿や家族との食事、昼間に油絵を描く貴重な場面を記録している。写真には熊谷自身の言葉が添えられ、藤森によるエッセイも収録。日常と制作の両面を伝える構成で、熊谷の人物像を浮かび上がらせている。
没後40年 熊谷守一 生きるよろこび
2017年から2018年にかけて開催された展覧会の公式図録。初期の重厚な画風から、猫など身近な題材を鮮やかな色彩と明快な輪郭で描いた代表作に至るまで、熊谷守一の画業を豊富なカラー図版で紹介している。闇から光へと移ろうように変化した作風は、その生涯の歩みとも深く結びつき、孤高の画家が追い求めた表現の核心を映し出す。人生と芸術の関わりを改めて浮き彫りにする内容となっている。
和田誠展
2021年より全国を巡回した「和田誠展」の公式図録。没後初の本格的作品集として、4歳から83歳まで約80年にわたる創作の軌跡を収録。幼少期のスケッチや日記をはじめ、装丁、ポスター、絵本、映画、音楽まで、ジャンルを横断した多彩な仕事を豊富な図版と資料でたどる。500ページを超えるボリュームのなかに、作品年譜や主要トピック、本人の言葉も織り込み、和田誠の創作の背景と思想を丁寧に掘り下げている。
Helvetica: Homage to a Typeface ペーパーバック版
世界的に広く使用されてきた書体、ヘルベチカに焦点を当て、その実践例を集成した作品集。ポスター、ロゴ、パッケージ、サイン、新聞、切手など多様な領域から選ばれた約400点をカラー図版で収録。端正なサンセリフと均衡の取れた造形が、文脈によってどのように表情を変えるのかを浮かび上がらせ、ヘルベチカという書体の設計思想と社会的浸透力を読み解いている。