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想像力を結集せよ。荒俣宏が築く本のなかの博物館
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想像力を結集せよ。荒俣宏が築く本のなかの博物館

想像力博物館

荒俣宏

なかなか展示へ行けぬとお悩みのみなさん、そんなときは本のなかの博物館へ出かけてみるというのはいかがでしょうか?

今日ご案内するのは、世界初の総合図像史研究施設をめざして創設された、『想像力博物館』。歴史文化を再発掘し、その収集と展示に力を注ぎつづける、本のなかの(架空の)博物館です。
著者...ならぬ“館長”は、言わずと知れた博覧強記・荒俣宏。ちなみに本書自体が建設提案書にもなっているため、かなり詳細な博物館ガイドが用意されています。

たとえばこの『想像力博物館』では、視覚、万象、生物、比較/類似、流通/増殖と大きく5つに分類された展示室に加え、アクアリウム、ホール特別展示室、想像力文字展示室、さらにはオリジナル商品を販売するショップまで完備されています。本館3階には大脳迷路(屋上庭園)まで用意されていて、踏破するには約1時間かかるという計算までしっかりされているから驚きです。(ちなみに迷子になった際には事前に渡されたポケットフォンで指示が受けられるそうですよ。)
このように、『想像力博物館』は自然の力と人類の叡智を結集させて築き上げた夢の博物館。まさに、地球上すべての想像力を集約させたといっても過言ではありません。

自然のなかにごまんと存在する不可視なものを可視に変える技術、物事を象り名付けを行う行為、動植物を寓意をもって描く作業...これらもすべて、われわれ人類の想像力のなせるわざ。
膨大な図版とテキストにわたしたちの凝り固まった価値観や常識は脆くも崩れ去り目眩を起こしそうになりますが、それを乗り越た先には、これまで全く無関係だと思っていたイメージとイメージが手を繋ぎ合う、新しい世界が待っているのです。

はぁ、一気に想像力を働かせたせいで脳から汗が出そう...。今後もしこの博物館建設が実現することができたなら、史上例を見ない博物館になること間違いありません。来る日に向けて想像力を鍛えておかなくては!

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ノストスブックス店長。前職では某テーマパークのお姉さんや、不動産会社の営業をしていました。小説とクラシックなものが好き。一緒に、好きだと思えるものを沢山見つけましょう。