ブックレビューBOOK REVIEW

いつまでも創刊を待つとしましょう、ダヴレクシー
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いつまでも創刊を待つとしましょう、ダヴレクシー

季刊 ダヴレクシィー WX-raY 創刊準備号

羽良多平吉、大類信、中山銀士 ほか

このまま永遠に
予告を出し続ける雑誌でいてほしい。
ー 細野晴臣

羽良多平吉のデザイン(書容設計)が好きな方にはお馴染み、いまだ創刊されていない幻の雑誌「WX-raY」創刊準備号を入荷しました。

本誌「 WX-raY」は羽良多平吉、大類信らが集まって企画された新感覚キャッチ・ウェーヴ・マガジン。1979年発行、読み方は「ダヴレクシー」。

デザイナーたちが大判のヴィジュアルマガジンで自主的に発信するという行為は、当時はとても実験的なものでした。

ゲスト参加しているのは、鋤田正義、谷川光一、湯村輝彦、松岡正剛、荒俣宏ら。ファッションやアート、音楽などについての話題を無尽に語らい、羽良多氏の描くグラデーションのごとくジャンルの境界線を溶かしています。

そしてやはり着目すべきは、ひと目でわかる独特のリズムをもつ羽良多平吉デザイン。書体の選び方、余白、本文組、紙と文字の色の合わせ方。真似したくてもできないデザインです。いつ見ても格好良いなあ。こればかりはどうしても言葉や画像だけで伝えきれない。発行から40年以上の時を経てもなお、新感覚を与えてくれるのです。

ぜひとも実物を手に取り、その呼吸を感じてください。

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ブックディレクター。古本の仕入れ、選書、デザイン、コーディング、コラージュ、裏側でいろいろやるひと。体力がない。最近はキュー◯ーコーワゴールドによって生かされている。ヒップホップ、電子音楽、SF映画、杉浦康平のデザイン、モダニズム建築、歌川国芳の絵など、古さと新しさが混ざりあったものが好き。