生涯にわたり数多くの自画像を描いたことでも有名なフリーダ・カーロ。かつて身に纏われた衣服でさえも、その存在をこんなにも色濃く感じさせるのはなぜだろう。
1954年の逝去後、彼女の遺品や愛用品は自邸である「青い家」にそのまま保管され、公開されたのは2004年のこと。とても最近のことだったんですね。
繊細な刺繍があしらわれたシルクのスカートに、はっと目を引くパターンが美しいワテナ族の民族衣装など、本書ではそんな彼女のワードローブが惜しみなく紹介されます。
生前、実際に着用されていた際の写真が見開きで紹介されることで、それぞれの洋服が過去のものではなく、今なおフリーダが袖を通すときを待ちわびているかのように生き生きとして見えてくるのです。
そして、事故などによりベッドで過ごす時間の多かったフリーダ。彼女を支えた義足が履くブーツや、コルセット、左右の高さが異なる靴なども、ほかのワードローブとなんら変わらずそこにある。身につけられたものすべてが、フリーダ自身の一部になっていた証ではないでしょうか。
ちなみに、巻末に裁縫道具もフリーダのもの。ほつれたレースを縫い合わせながら、大切に着続けていたんですね。
フリーダというひとそのものの存在を強く感じられる素晴らしい一冊です。