ブックレビューBOOK REVIEW

シティ・ガールたちの初期オリーブ。
書いた人

シティ・ガールたちの初期オリーブ。

オリーブ各号

オリーブに教えてもらったことはファッションやメイクのみにあらず。山田詠美の小説。シャルロット・ゲンズブールの映画。渋谷系の音楽。洋書の魅力。ちょっとこそばゆいけれど、今の自分を構成する要素のルーツはオリーブに詰まっていると言っても過言ではありません。

さてさて、そんなわたしの本日のおすすめはオリーブ各号。1980年代に平凡出版(現マガジンハウス)から発行された、初期オリーブをまとめて入荷しました。

雑誌POPEYEの増刊として歩みはじめたこともあり、初期オリーブの企画はとても実験的。わたしも今回初めて手に取る号がたくさんありました。クルマとバイク、スキー特集、オーディオガイドなど、それまでは男性誌向けだったコンテンツを、十代の女の子向けに落とし込んだ記事が印象的です。シティボーイならぬ、シティガールですね。

中でも特に印象的なのは、1983年発行の第18号「コンサートは楽しい大事件!」。

ミュージシャンたちのファッションやヘアメイクをはじめ、バックステージで働くさまざまな人びとを特集しています。サブタイトルはこんなかんじ。

「舞台衣装デザイナーのファッション・センスは、いつもサムシングが感じられるの。」
「ジュリーをいつも新鮮に見せているのはダレ?」
「ステージ・アートは芸術のエッセンスばかりを集めたものなんだ。―パブロ・ピカソ、レオン・バクスト、ブラック&コクトー、K・C・マレービッチ。」

ね、最高じゃないですか?まさかオリーブで、構成主義やロシア・バレエ団の記事を読めるとは!簡易的でありながらも、要点をしっかりまとめてくれています。明日のブックレビュー担当なつきに見せなければ。

そして、特集の合間に差し込まれる広告もまたイイのです。80年代のキラキラしつつもとんがったキャッチコピーやグラフィック表現は、デザイナーにとってもお宝。ついつい見入ってしまうのです。

この記事をシェアする

ブックディレクター。古本の仕入れ、選書、デザイン、コーディング、コラージュ、裏側でいろいろやるひと。体力がない。最近はキュー◯ーコーワゴールドによって生かされている。ヒップホップ、電子音楽、SF映画、杉浦康平のデザイン、モダニズム建築、歌川国芳の絵など、古さと新しさが混ざりあったものが好き。