「おー、なにこれめちゃくちゃかっこいいではないか」とスタッフみんなで盛り上がったコラージュ作品集を今回はご紹介したいのですが、これはぜひ建築好きの方にこそご覧いただきたい。
頁を開けば、デ・ステイルをはじめとするオランダの建築や、タトリン、リシツキー、ロトチェンコといったロシア構成主義やロシア・アヴァンギャルドの作品、さらにル・コルビュジエといった20世紀前半のモダニズム建築図版たちが素材としてずらりと並びます。造形美を活かした構図に目を奪われつつ、巨匠の手から生まれた建築物そのものが放つ存在感にもぐっと引き込まれる。
また建築物や飛行機など、その次代の産物をモチーフとした切手も、コラージュにおいて重要な役割を果たしています。特に当時のオランダの切手は、そのままで絵になるかっこよさ。
そしてこれらの作品群を手掛けたデイヴィッド・ワイルドはさぞかし有名な芸術家なのかと思いきや、彼もイギリスの建築家なんですね。「あぁなるほど」と用いられた素材の意味に納得しつつ、作品に込められたメッセージ性にも改めて考えさせられました。
20世紀初頭、第一次世界大戦をきっかけに世界が間違った方向へ進んでいくなかで、次々と生産されるモノたち。壮大な建築物や芸術がもたらすユートピア像と、戦争や政治に翻弄され続けた現実の世界。そういったものへの想いが同時に込められているように感じます。