「二十世紀銭湯紀行」と題して日本各地の銭湯が地域別にまとめられた本書は、今や全国的なブームを巻き起こしている銭湯好きにはたまらないでしょう。なにより各銭湯の歴史をはじめ、専門用語集や、今ではなかなか目にすることのできない浴用品集など、日本の文化を深く知る資料としてもおすすめしたい。
天井に施された立体彫刻の紹介やペンキ絵ギャラリーなど、建築や美術の視点からまた眺め直すもよし。庶民文化研究家で日本銭湯文化協会理事としても活動する町田忍が監修を行っているのですが、ディテールもしっかり見せてくれる視点がありがたいのです。これほどまでに美しく歴史ある文化が、手の届かない場所ではなく日常生活のなかにずっと存在し続けているって、改めて考えるとすごいこと。庶民に一番近い極楽、ずっと大切にしていかねばですね。