気がつけば、2年ぶりの入荷です。あれれ、とっても好きな本なのに!
本書「観光」は、音楽家の細野晴臣と宗教・人類学者の中沢新一によって結成された観光団体「妙音講」が、日本の様々な霊地を巡礼した体験を語らう対談集です。ちなみに「講」とは、山岳信仰や仏教行事をおこなう団体のこと。名前をつけるのもお作法の一つです。大事。
さて、気になる行き先は天河大弁財天社、戸隠神社、六本木、大山阿夫利神社、豊川稲荷、北口本宮富士浅間神社。霊験あらたかな神社から、テクノポリス東京のど真ん中まで。絶妙なセレクトです。
旅行記として愉しめるのはもちろんですが、なんといっても、仏教から日本神話、電子音楽、猥談・怪談にまでシフトしまくる話題の広大さが魅力です。そして、全体的に漂うユルさも。ダラケているのに、知的。スピリチュアルなのに、遊び心は忘れない。
こんな大人になりたいものです。
文庫版も出版されていますが、奥村靫正のブックデザインがキラリと光るこちらの単行本版のほうを敢えて推したく思います。