1715年に清朝時代の中国へわたったイタリアの宣教師、兼画家。
という経歴が、すでにドラマを感じさせます。
その名は郎世寧(ろうせいねい)。イタリア名はジュゼッペ・カスティリオーネ。カトリック系修道会であるイエズス会の宣教師としてはるばる中国の地に赴きました。が、ほどなくしてキリスト教は禁教に。そこでカスティリオーネは帰国ではなく、宮廷画家として生きる人生を選びます。その後清朝皇帝3代にわたり重用され、生涯を中国で過ごしました。ちなみにそのころの日本は江戸時代中期。
もともとプロの画家でもあったカスティリオーネは、清朝最盛期の紫禁城でその才能を開花させました。皇帝の肖像画をはじめ、静物画、情景画、さらには庭園の設計までをも手掛けます。陰影法などの西洋の絵画技法と、中国の画材やモチーフ。東西の美術を織り交ぜた作品は、どれも繊細で引き込まれるような美しさをもっています。
カスティリオーネの生涯と作品について知りたい方は伝記「紫禁城の西洋人画家」がおすすめ。
どなたか映画化してくれないかしら。
と、書籍の紹介をしなければ。
本書「仙萼長春図 花草禽鳥画選集」はカスティリオーネの作品から花鳥画をセレクトした画集です。博物画のように写実的でありながら、優美な佇まい。素晴らしく美しい画集です。クラシックな蛇腹折りの製本にもご注目。
香木を焚き、お茶を飲みながら愛でたい1冊。