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ポップアート界の巨匠はミックスセンスの鬼。ロイ・リキテンスタインのカタログ・レゾネ
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ポップアート界の巨匠はミックスセンスの鬼。ロイ・リキテンスタインのカタログ・レゾネ

The Prints of Roy Lichtenstein: A Catalogue Raisonne 1948-1993

Roy Lichtenstein

ロイ・リキテンスタインといえば、1960年代にブレイクしたアメリカンコミック調の作品が思い浮かびます。が、美術大学の修士号をもち、抽象表現にチャレンジし続けた画家でもあることをご存知でしょうか。

1970年代以降のリキテンスタインは、構成主義、キュビズム、シュルレアリスム、未来派などモダン・アートの名作のオマージュと、自身の特徴的手法である網目や斜線をミックスさせた抽象表現主義風の作品を数多く残しています。

カンディンスキー、ゴッホ、ピカソ、モンドリアン...etc。リキテンスタインはこういった有名画家の作品を臆することなく取り入れているわけですが、ミックスセンスが素晴らしい。構成といい、色使いといい、豊富な知識と鋭い感性のなせる技なのでしょうか。まさに、ハイカルチャーとポップカルチャーの融合体ですね。

そんなリキテンスタインの作品を網羅しているのが、カタログ・レゾネ「The Prints of Roy Lichtenstein」。初期から晩年までに制作された絵画、ポスターなど350点を掲載しています。ポップアート界の巨匠の軌跡を追ってみてください。

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ブックディレクター。古本の仕入れ、選書、デザイン、コーディング、コラージュ、裏側でいろいろやるひと。体力がない。最近はキュー◯ーコーワゴールドによって生かされている。ヒップホップ、電子音楽、SF映画、杉浦康平のデザイン、モダニズム建築、歌川国芳の絵など、古さと新しさが混ざりあったものが好き。