中野です。
ビートニクやビート・ジェネレーションという言葉を聞いたことがあるかもしれません。なんだかカッコイイ響きですよね。今から50年も昔の出来事ですが、詳しく調べていくとその後のロックやヒッピー文化といったカウンターカルチャーの大きな流れを少し理解できるかも?
今回は当時のファッションやカフェの雰囲気、街の様子といった貴重な写真の数々を眺めながらご紹介してみようと思います。
ヒップスターの登場と中心人物たち

1950年代のアメリカは第二次世界大戦を終え、豊かな経済発展を謳歌していた黄金時代。そんな初めから与えられていた人生に反発し、自分で自分の人生を決めることを求めた若者たちがいました。

中心人物は、「オン・ザ・ロード(路上)」を書いたジャック・ケルアック、詩集「吠える」を発表したアレン・ギンズバーグ、小説「裸のランチ」のジャンキー作家ウィリアム・バロウズの3人。
保守的な当時のアメリカの体制に異を唱え、言葉を武器に個を貫くことを求めた思想・運動をビート運動、その活動に関わった世代はビート・ジェネレーションと呼ばれました。親世代であるヘミングウェイやフォークナーたち作家を
ロスト・ジェネレーションと呼んだことからジャック・ケルアックが命名したと言われています。

ジャック・ケルアックとロバート・フランク。

アレン・ギンズバーグの詩集「吠える」の冒頭に「天使の顔をした
ヒップスターたち」という一節があります。「
本当のフィーリングを持った者」という意味で使われ、ヒッピーの語源になった言葉です。彼らを中心に広がった思想や生き方は、世界中の若者たちに熱狂的に支持されました。
ビートニクたちが愛したジャズ

チャーリー・パーカーやセロニアス・モンク、マイルス・デイヴィスが活躍したビバップ〜ハードバップ時代のジャズもまた、スウィングジャズのマンネリから脱却し、新たな変革の時期を迎えていました。ミュージシャンたちは一瞬の閃きを重要視したアドリブを取り入れることで
モダンジャズという新たなジャンルを作りあげます。

50年代前半といえばまだロックが主流になる以前の時代。ジャック・ケルアックやアレン・ギンズバーグが夜な夜な通ったクラブでのジャズメンたちの反発精神旺盛なプレイは、ビートニクの思想・嗜好とぴったりとかみ合います。
ビートニクの聖地、シティライツブックストア
ローレンス・ファリンゲティ が1953年に創業したサンフランシスコの伝説的書店シティライツブックストア(City Lights Bookstore)は、アレン・ギンズバーグの「吠える」やジャック・ケルアック「路上」の版元として世界的に有名になりました。自身も詩人として当時から活動し、ビートニク詩人の聖地として現在も変わらぬ存在感を保ち続けています。本屋なら一度は行かねばならない書店の一つですが、いまだ未訪問。。

詩を朗読するローレンス・ファリンゲティ。

ゲーリー・スナイダーの若かりし姿。キアヌ・リーブスみたい。
Beat Generation
- 著者
- Fred W. McDarrah、Gloria S. McDarrah
- 出版社
- Schirmer Books
- 発行年
- 1996年
ジャック・ケルアックやアレン・ギンズバーグ、ウィリアム・バロウズなど多くの作家が傾倒していたビートニクをフレッド・マクダラーが記録した写真集。
世界中の若者たちに影響を与えたビートニクの活動は、その後の
ヒッピー文化に繋がります。
社会や制度を否定し、個人の魂の解放を訴えた主張の大元にあるのは、「
人に決められたレールには乗らず、自らの人生を切り開くことを追い求める 」ということ。普遍性を持ったテーマだからこそ、50年経った現在でも輝きを失わないのかもしれません。