原作や解説本を読むと、お気に入りの映画をより深く知ることができてとても楽しいものです。印象的なあのシーンにはこんな意図があったとは。主人公は台詞の裏側でそんなことを思っていたなんて。と、本から新たな発見をするたびにまた映画を観なおして、いっそうその作品が好きになっていたりします(たまに、がっかりすることもありますが)。今日は、そんな映画愛が加速する書籍をご紹介したいと思います。少し懐かしい映画がメイン。
ハイハイゼア!これからどうする?
スタンリー・キューブリック監督による同名の映画は大傑作として名高いですが、本書はその原作本。映画で描かれていたディストピアに負けずとも劣らない、超暴力と憎悪が渦巻く風刺小説となっています。 仲間とともに暴力と性に明け暮れる主人公アレックスの心境と状況が、映画よりダイレクトに描写されており、映画を見ながら本書を手に取り比較してみるのもおすすめです。
登場人物、世界観など「時計じかけのオレンジ」のもつ魅力は多々ありますが、そのひとつが「ナッドサット」。「ナッドサット」とは小説でも映画でもアレックスとその仲間たちが終始わめきちらす、ロシア語と英語をミックスしたようなスラングのこと。当然本文は発音と意味を記したルビだらけ。にもかかわらず、リズミカルに韻を踏む翻訳が冴えているのです。
参考: 言語学者が生み出した若者言葉〜明日から使えるナッドサット語
いつビディってもホラーショな予告編!
登場人物、世界観など「時計じかけのオレンジ」のもつ魅力は多々ありますが、そのひとつが「ナッドサット」。「ナッドサット」とは小説でも映画でもアレックスとその仲間たちが終始わめきちらす、ロシア語と英語をミックスしたようなスラングのこと。当然本文は発音と意味を記したルビだらけ。にもかかわらず、リズミカルに韻を踏む翻訳が冴えているのです。
参考: 言語学者が生み出した若者言葉〜明日から使えるナッドサット語
いつビディってもホラーショな予告編!
映画音楽のための思索
Avec Piano 戦場のメリークリスマス
- 著者
- 坂本龍一
- 出版社
- 思索社
- 発行年
- 1983年
大島渚監督作品「戦場のメリークリスマス」で音楽制作を務めた坂本龍一の思索カセットブック。
こちらは大島渚監督作品「戦場のメリークリスマス」で音楽制作を務めた坂本龍一の思索カセットブック。映画テーマ曲にまつわるエピソードのほか、作曲家としての歩み、自身が演じたヨノイ大尉とデヴィッド・ボウイが演じたセリアズ少佐の心情についても語られてたり。谷川俊太郎の書きおろしの詩や村上龍のエッセイが収録されていたり。ページ数は少ないものの、貴重で濃い内容となっています。アートディレクションと挿画は井上嗣也。サウンドトラックを収録したカセットテープ付(!)です。
映画の原作にあたるヴァン・デル・ポスト「影の獄にて」もWEBストアで取り扱っております。作者ヴァン・デル・ポスト自身の体験をもとに描かれた深みのある三部作です。合わせてどうぞ。
戦場のメリークリスマス 影の獄にて 映画版
メリークリスマス Mr.ローレンス。名曲。
映画の原作にあたるヴァン・デル・ポスト「影の獄にて」もWEBストアで取り扱っております。作者ヴァン・デル・ポスト自身の体験をもとに描かれた深みのある三部作です。合わせてどうぞ。
戦場のメリークリスマス 影の獄にて 映画版
メリークリスマス Mr.ローレンス。名曲。
夢と現のあわいにて
3冊目は泉鏡花原作の同タイトルの小説を、鈴木清順監督が映画化した際に発行された豪華本です。映画「陽炎座」は、鈴木監督の「ツィゴイネルワイゼン」「夢二」と並び”浪漫三部作”と称される作品。主演は松田優作と大楠道代。さらに原田芳雄、加賀まりこ、楠田枝里子らの個性的な役者が脇を固めています。艶っぽく、少々滑稽で狂気じみた、夢と現実の境目のような映像美。観る者を引きこみ翻弄する傑作です。
造本は、羽良多平吉氏によるもの。箔押しのタイトルや蛍光色のコメントページと幽玄な映像世界との、不思議な調和が生じている大変美しいデザインです。トンネル函から引き出し、本を開くと珍しい両観音開きの製本。見返しには映画でも使用された責め絵。右側のページを捲るとは種村季弘による序文「水中花變幻」とシナリオ、左側はスチール写真と各界からのコメントで構成されています。寄稿者は木村恒久・荒木経惟・ますむらひろし・中井英夫・蓮實重彦・石井聰互…という豪華さ。眺めても読んでも愉しめる内容です。
大正ロマンの香り漂う映像と合わせてどうぞ。
造本は、羽良多平吉氏によるもの。箔押しのタイトルや蛍光色のコメントページと幽玄な映像世界との、不思議な調和が生じている大変美しいデザインです。トンネル函から引き出し、本を開くと珍しい両観音開きの製本。見返しには映画でも使用された責め絵。右側のページを捲るとは種村季弘による序文「水中花變幻」とシナリオ、左側はスチール写真と各界からのコメントで構成されています。寄稿者は木村恒久・荒木経惟・ますむらひろし・中井英夫・蓮實重彦・石井聰互…という豪華さ。眺めても読んでも愉しめる内容です。
大正ロマンの香り漂う映像と合わせてどうぞ。
ヴィム・ヴェンダースの旅
ロードムービーの旗手としても世界的な評価を受ける映画監督、ヴィム・ヴェンダース。幻の処女短編「ショウ・プレイヤーズ」からロードムービー三部作「アメリカの友人」「ハメット」「パリ、テキサス」を経て、「ベルリン・天使の詩」に至るまでの全作品について、静かに率直な言葉で語られる貴重なインタビューを編纂した1冊です。
タランティーノ流ラブストーリー
トゥルー・ロマンス クラレンス&アラバマ
- 著者
- クエンティン・タランティーノ
- 出版社
- 扶桑社
- 発行年
- 1994年
トニー・スコット監督、クエンティン・タランティーノ脚本による映画「トゥルー・ロマンス」の脚本をもとにした小説。
店舗のみで販売しています。
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最後くらいはハリウッド的ラブストーリーを。本書はトニー・スコットが監督したアクション・ラブロマンス「トゥルー・ロマンス」のために、クエンティン・タランティーノが書いた脚本作品です。
ロマンチックな恋の物語もタランティーノの手にかかれば、拷問あり、ドラッグあり、派手な撃ち合いありのロードムービーに。特に好きな場面は、主人公の父を演じるデニス・ホッパーがマフィア役のクリストファー・ウォーケンにいたぶられるシーン。両者ともに最高に渋い!必見です。映画のラストはタランティーノの予定していたものとは実は異なるらしいのですが、それはまた別のお話。本書は映画に忠実な内容となっております。
動画は予告編ではなく、映画音楽家ハンス・ジマーによるテーマ曲。ちなみに「トゥルー・ロマンス」は、テレンス・マリック監督「地獄の逃避行」のオマージュ作品としても知られています。テーマ曲もしかり。オリジナル版はカール・オルフの作曲です。
ロマンチックな恋の物語もタランティーノの手にかかれば、拷問あり、ドラッグあり、派手な撃ち合いありのロードムービーに。特に好きな場面は、主人公の父を演じるデニス・ホッパーがマフィア役のクリストファー・ウォーケンにいたぶられるシーン。両者ともに最高に渋い!必見です。映画のラストはタランティーノの予定していたものとは実は異なるらしいのですが、それはまた別のお話。本書は映画に忠実な内容となっております。
動画は予告編ではなく、映画音楽家ハンス・ジマーによるテーマ曲。ちなみに「トゥルー・ロマンス」は、テレンス・マリック監督「地獄の逃避行」のオマージュ作品としても知られています。テーマ曲もしかり。オリジナル版はカール・オルフの作曲です。
それでは、また。良い週末を!