ROOMS STUDIO 2023
ジョージア・トビリシを拠点とするインテリアデザインスタジオ「Rooms Studio」による作品集。ナタ・ヤンベリゼとケティ・トロライアが2007年に設立した同スタジオは、トビリシ初の女性主宰スタジオとして、建築、家具、インテリアを横断する独自の世界観を築いてきた。本書では、設立以来の代表的プロジェクトを美しい写真とともに収録し、素材の質感や空間の陰影、造形のリズムを通してその創作哲学を可視化している。ジョージアの文化的背景と現代的感性が交錯する空間表現を通じて、Rooms Studioの造形理念と実践を的確に示している。
Supernatural: The Work of Ross Lovegrove
イギリスのデザイナー、ロス・ラブグローブの創作活動を包括的に紹介するモノグラフ。アップル、ソニー、ノル、カッペリーニなど世界的企業との協働を通して、自然界の構造や生命的なフォルムを先端技術と融合させた造形を探求してきた。家具や照明、家電、ボトルデザインから航空機のインテリアまで、多様なプロジェクトを収録。ポーラ・アントネッリやセシル・バルモンドによる論考を交えながら、形態とテクノロジー、機能と感性が共鳴するラブグローブのデザイン思想を多角的に検証している。
Tiny Living Spaces: Innovative Design Solutions | Lisa Baker
世界各国のミニマムな住空間をテーマに、限られた面積を最大限に活かす建築デザインを紹介する資料集。アメリカ、スウェーデン、スイス、ブラジルなど、多様な気候や文化的背景をもつ地域から厳選された小住宅の事例を収録している。巧みな間取り設計や収納の工夫、複数機能を兼ね備えた空間構成など、狭小であることを前向きに捉えた豊かな発想が随所に見られる。440点に及ぶ写真、図面、内外装のディテールとともに、ミニマルな暮らしがもたらす新しい価値観と住まいの可能性を明快に伝えている。
情報の歴史21 象形文字から仮想現実まで
人類がどのように情報を生み出し、編集し、伝えてきたのかを壮大なスケールで描く年表。象形文字の誕生から現代のAIや仮想現実まで、政治・経済・科学・思想・文化の五つの領域を横断し、情報の進化を多層的に整理している。東西を貫く世界同時年表の構成により、出来事の関係性や知の連鎖が浮かび上がる。1990年刊行の初版をもとに増補された新版では、新章「情報の文明」と序文「人新世に突入した〈情報の歴史〉の光景」を追加し、人類史の中で情報が果たしてきた役割とその未来像を立体的に提示している。
Party in the Back | Tino Razo
プロスケーター、ティノ・ラゾによる写真作品集『Party in the Back』は、南カリフォルニアの住宅街に点在する空きプールを舞台にしたスケートカルチャーの記録である。水を抜かれたプールを滑走の場とし、仲間たちとともに過ごした日々を、スケーターならではのまなざしでとらえている。そこには、サブカルチャーの自由と衝動、そしてアメリカン・ドリームの残影が交錯する。荒廃と美が同居するプールの造形を、類型的かつ叙情的に写し出した本書は、消えゆくプール文化へのオマージュであり、都市と遊びの関係を再考させる視覚的記録となっている。
apartamento issue 08
スペイン発のインテリア誌『Apartamento』第8号。世界各地で活躍するアーティストやデザイナー、編集者らの居住空間を紹介し、暮らしと創造の関係を探る。写真家マルセロ・クラシルシック、メンフィスのメンバーとして知られるナタリー・デュ・パスキエ、デザイナーのフェイ・トゥーグッド、Rafael de Cárdenas、R.E.M.のマイケル・スタイプらが登場。生活の痕跡や空間の個性をありのままに捉え、ライフスタイル誌としての独自の視点を提示している。
Carlo Scarpa
イタリアの建築家カルロ・スカルパ(1906–1978)の仕事を体系的に紹介する作品集。ヴェネツィア建築大学で教鞭をとりながら、ロンドン、パリ、ローマ、ミラノなどで展覧会の会場構成を手がけ、ヴェネツィア・ビエンナーレでも長年にわたり空間設計を担ったスカルパ。本書では、円窓が印象的な代表作ブリオン家の墓をはじめ、カステルヴェッキオ美術館、カノーヴァ美術館、バルボーニ邸など、彼の主要建築を豊富な写真と図面で紹介している。細部の意匠から素材の質感、光の操作に至るまで、スカルパが建築と工芸、伝統とモダニズムを融合させた造形理念と実践を的確に示している。
Fictitious Dishes: An Album of Literature’s Most Memorable Meals
文学作品に登場する食事を実際に再現し、写真として記録したユニークな作品集。『失われた時を求めて』のマドレーヌ、『ライ麦畑でつかまえて』のチーズサンド、『不思議の国のアリス』のティーパーティーなど、古典から現代文学まで約50作品の名場面を、著者自らが料理し、スタイリングし、撮影している。写真には原作の引用や作家の逸話、食文化にまつわる小話が添えられ、文学と味覚、記憶と想像力が交錯する世界が広がる。読書と食の関係を視覚的に探る、文学へのオマージュに満ちた一冊。
Simplicity at Home | Yumiko Sekine
ライフスタイルブランド「fog linen work」創設者、関根由美子による暮らしの提案をまとめた一冊。日本の四季や伝統に根ざしながら、自身の感性を軸に組み立てた心地よい生活の工夫を紹介している。キッチンや寝室など日々の空間づくりから、花の飾り方、季節ごとのリネンの使い分け、保存食の仕込み、ハーブバス、リース作りに至るまで、自然の移ろいに寄り添う実践的な知恵が詰まっている。整えること、飾ること、育むことを通して「シンプルに暮らす」ことの豊かさを伝え、住まいと心をともに整えるヒントを示している。
柚木沙弥郎 life·LIFE(小鳥柄)
2021年に開催された染色家・柚木沙弥郎の展覧会にあわせて刊行された作品集。1969年から2020年にかけて制作された布作品を、写真家・平野太呂が撮り下ろした写真で紹介している。全図を収めるだけでなく、断ち落としの原寸大布を12の片観音に大胆にレイアウト。色彩の力強さ、模様のリズムが紙面から立ち上がる構成となっている。さらに代表的な染色作品や絵本原画、紙粘土と布による人形作品を大判で掲載し、作家の幅広い表現を伝える。インタビュー「心を形で残す」も収録し、創作への思いや姿勢を映し出している。
石が書く | ロジェ・カイヨワ
哲学者・社会学者ロジェ・カイヨワ(1913–1978)が、自身の蒐集した石を通して自然と美の根源を考察した名著。風景石や瑪瑙、セプタリアなど、偶然に生まれた石の模様に人の想像力が見出す風景や形象をめぐり、自然と芸術、偶然と意識のあいだに横たわる美の起源を探る。石の断面に現れる抽象的な文様を前に、カイヨワはそれを「自然の書く言葉」として読み解き、聖性や詩学、神話的思考にまで思索を広げていく。『遊びと人間』に連なる知的冒険として、自然と人間の感性が交錯する地点を鮮やかに提示している。
ジャン・アンリ・ファーブルのきのこ 221点の水彩画と解説
フランスの博物学者ジャン・アンリ・ファーブル(1823–1915)によるきのこ図鑑。『昆虫記』で知られる彼が晩年に手がけた植物学的研究の集大成であり、221点に及ぶ水彩画と詳細な解説を収録している。観察と描写を重ねて描かれたきのこたちは、学術資料としての精密さと芸術作品としての美しさを兼ね備え、自然の造形への深い洞察を伝える。ファーブルの科学的眼差しと詩情が融合した本書は、博物学と美術の境界を超える貴重な一冊となっている。
Japan Style
ヴィクトリア&アルバート博物館と国際交流基金による展覧会の図録『Japan Style』。日本文化の造形的魅力を「Materials」「Elegance」「Simplicity」などのテーマに沿って紹介し、伝統から現代までの美意識とデザイン思想を俯瞰する。展示のアートディレクションとエディトリアルデザインは田中一光、デザインは佐村憲一、テキストは勝見勝が担当。端正で洗練された構成のなかに、日本の「かたち」と「精神」を視覚的に再構築した内容となっている。
Xiaoxiao Xu: Watering My Horse by A Spring at the Foot of the Long Wall | Maria-Caterina Bellinetti
中国生まれでオランダを拠点に活動する写真家、シャオシャオ・シュウによる作品集。万里の長城に沿って約25,000キロを旅し、その道中で出会った人々の暮らしや風景を丁寧に写し取っている。壮大な象徴としての「長城」ではなく、その周縁に息づく現実に焦点をあて、廃墟となった城壁や塔、かつての防衛施設の痕跡をたどりながら、生活の痕跡や民間伝承、儀式、土地に刻まれた記憶を掘り起こしていく。急速に変化する経済発展の陰で、なお伝統的な営みを続ける人々の姿を通して、歴史と現在が交錯する中国の風景を静謐に描き出している。
Concrete in Contemporary Art | Marcel Joray
スイスの批評家マルセル・ジョレによる、コンクリートと美術の関係を探究した研究書。石や青銅のように古代文明と結びついた素材とは異なり、コンクリートが現代においていかに美の言語となり得るかを多角的に論じている。彫刻や建築壁面へのレリーフ作品、さらに都市計画や公共空間の中で造形的要素を担う環境芸術までを包括的に紹介。建築技術者とアーティストの協働によって生み出されたモニュメンタルな造形を通じて、素材としてのコンクリートがもつ新しい美の可能性を提示している。
Pop Will Eat Itself | Stella Populis
スケートボーダー、アーティスト、モデル、デザイナーとして活動するブロンディ・マッコイによる作品集。ロンドンのロンキーニ・ギャラリーで開催された初個展「Pop Will Eat Itself」を記録したもので、世界のセレブリティ50人の肖像を“トーストの焦げ跡”で描いたユーモラスかつ風刺的な作品群を収録。インターネット上で話題となった「トーストに現れたキリスト像」の逸話をモチーフに、現代の偶像崇拝やメディア文化を軽妙に批評する。テイラー・スウィフトやビヨンセ、リアーナ、ベッカムなど、現代ポップカルチャーの象徴的存在を題材に、マッコイのウィットと美意識が凝縮された一冊。
Richard Prince | Phaidon Contemporary Artists Series
アメリカのアーティスト、リチャード・プリンスの作品世界を総覧する資料集。70年代後半、出版社タイム・ライフ社の切り抜き部門で働いていたプリンスは、広告のみが残った雑誌ページを再撮影し、自らの写真として再構成するという実験的手法を始める。既存のイメージを引用・転用するその姿勢は、消費社会やメディア文化を批評的に映し出すポップ・アート以降の表現として高く評価された。マールボロ広告を用いた「カウボーイ」シリーズや、モーターサイクルギャング、ジョークやコミックを題材にした作品など、アメリカのサブカルチャーを素材とした独自の再構成が展開される。インタビューや論考を通して、プリンスの「真正性」への問いとアーティストとしての自己演出を多角的に検証している。
In The Darkness of The Night | Bruno Munari
イタリアの美術家・デザイナー、ブルーノ・ムナーリによる絵本。紙の質感や色彩、くりぬき加工など、造本そのものを遊びの場とするムナーリらしい創意に満ちた一冊。暗闇の中に潜む光や形、静けさのなかで息づく生命の気配を、ページをめくる行為そのものを通して体感させる。見る・触れる・想像することが一体となった、ムナーリの造形哲学を凝縮した作品となっている。
The Three Robbers | Tomi Ungerer トミ・ウンゲラー
フランス出身の絵本作家、トミー・ウンゲラー(1931–2019)による代表作『The Three Robbers(すてきな三にんぐみ)』の英語版。黒いマントと帽子に身を包んだ三人の泥棒たちは、夜道で人々を脅かしていたが、ある日出会った孤児の少女ティファニーとの交流をきっかけに運命を変えていく。恐ろしさと優しさ、闇と光が交錯する寓話的な物語は、子どもだけでなく大人にも深い余韻を残す。1969年の初版以来、16の言語に翻訳され、世界中で読み継がれてきたロングセラー。グリムやアンデルセンの系譜に連なるウンゲラーらしい、ユーモアと風刺、そして人間への温かなまなざしが息づく一冊。
レイモン・サヴィニャック パリの空のポスター描き(カバー緑) | サントリーミュージアム
フランスのポスター作家、レイモン・サヴィニャックの仕事を紹介する展覧会「レイモン・サヴィニャック パリの空のポスター描き」の図録。〈モンサヴォン〉〈ビック〉など、ユーモアと温かみのあるポスター作品をはじめ、デザイン原画やスケッチを多数掲載している。単純な線と明快な色彩で人々の記憶に残る広告を生み出したサヴィニャックの創作の魅力と、フランス戦後ポスター芸術の豊かさを伝えている。
玩草亭 百花譜 福永武彦画文集 全3冊揃
小説家であり詩人の福永武彦による晩年の画文集。長野・信濃追分での療養生活の傍らに描かれた草花の写生と随筆をまとめた全3冊構成。ヤブカンゾウ、ワレモコウ、ニシキギ、ボケなど、身近な植物の姿を丹念に描き、採集場所や花の名を添えたスケッチは、まるで小さな植物図鑑のように詩情豊か。筆致と文からは、自然と静かに向き合う福永の晩年のまなざしと、絵筆に託した安らぎが伝わる一冊となっている。
もうひとつの創造 芹沢銈介の収集品 | 静岡市立芹沢銈介美術館
型絵染の人間国宝として知られる芹沢銈介(1895–1984)が生涯を通じて蒐集した工芸品を紹介する、静岡市立芹沢銈介美術館による図録。自らの収集行為を「もうひとつの創造」と呼んだ芹沢は、染織、陶器、木工、ガラス、仮面、装身具など、世界各地の生活文化に根ざした造形を精力的に集めた。本書では、約4,500点におよぶコレクションの中から339点を精選し、国や地域、時代を超えて手仕事に宿る美を探る。蒐集品を通じて、芹沢が見出した「用の美」と創作の源泉を読み解く貴重な資料となっている。
益子の父 人間国宝 濱田庄司
日本の陶芸家であり人間国宝の濱田庄司(1894–1978)の生涯と作品をたどる作品集。益子を拠点に独自の民藝陶を築き上げた濱田の初期から晩年までの代表作を時代順に収録し、皿や壺、土瓶、片口など多彩な造形を紹介している。柳宗理や芹沢銈介、土門拳ら盟友による寄稿も掲載され、彼の創作を支えた人々との関係や思想的背景にも光を当てる。工房での制作風景や道具の記録を通して、素材と手業に根ざした美意識、そして「用の美」を追求した濱田の造形哲学の核心に迫っている。
A Smile In The Mind | Beryl McAlhone
グラフィックデザインにおける“ウィットの力”に焦点を当てた名著。記憶に残るデザインとは何か、人の心を惹きつける「ひらめき」や「遊び心」はどのように生まれるのかを探求する。曖昧さ、置換、二重の読みなど、視覚的ユーモアを構成する要素を分析しながら、広告や企業レポート、パッケージ、情報グラフィックなど多岐にわたる実例を紹介。アメリカ、イギリス、ヨーロッパ、日本の300名以上のデザイナーによる作品を収録し、知的な発想と視覚表現の関係を体系的に示している。ウィットをデザイン思考の核心としてとらえる、時代を超えて読み継がれる一冊。
季刊デザイン no.16 廃墟と建築
太田出版が発行したグラフィックデザイン、エディトリアル・デザインを中心とする季刊誌『季刊 d/SIGN』no.16。特集は「廃墟と建築」。建築という多様なデザイン行為の集約を、あえて「廃墟」という切り口から照らす。そのほか、磯崎新のインタビュー記事や原武史+塚本由晴の対談、畠山直哉、坂口トモユキによる写真、戸田ツトムの連載など、多彩な内容を収録。
季刊デザイン no.14 小さな画面
太田出版が発行したグラフィックデザイン、エディトリアル・デザインを中心とする季刊誌『季刊 d/SIGN』no.14。特集は「小さな画面(スモールスクリーン)のデザイン」。携帯電話、iPod、ノートパソコン、デジカメなどの。外界との接触面である小さな画面に、「デザイン」「レイアウト」〉の視点から、光を当てる。そのほか、杉浦康平、港千尋らのインタビュー記事や松田行正による連載「旋回する線」も掲載。
アイデア No.386 アラブ首長国連邦“グラフィックデザイン省”をめぐる61のキーワード
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.386(2019年7月号)は、「アラブ首長国連邦“グラフィックデザイン省”をめぐる61のキーワード」を特集。中東初のデザイン・ビエンナーレ「フィクラ・グラフィック・デザイン・ビエンナーレ」を中心に、非西洋圏におけるデザイン・ビエンナーレの意義を考察する。アラビア語タイポグラフィの論考や中東デザイナーのインタビューを通して、グローバルなデザイン言語の多様性を浮き彫りにし、中東におけるグラフィックデザインの表現を歴史的文脈から照らし出している。
アイデア No.371 アイデアのアイデア
デザイン誌『アイデア』第371号(2015年9月号)。巻頭特集「アイデアのアイデア」では、デザインの完成形ではなく、その生成過程や思考のプロセスを多角的に検証している。テクノロジー、道具・方法、コミュニケーション、編集・メディア、環境・社会の五章構成で、世界各国のデザイナーが選んだキーワードとテキストを通して、現代デザインにおける思考の地図を編み上げる。特別企画「カセットカルチャーの現在形」では、音楽とデザインの関係を通じてDIY精神とメディア表現の交錯を考察。
アイデア No.366 ポスト・インターネット時代のヴィジュアル・コミュニケーション
デザイン誌『アイデア』第366号(2014年9月号)。巻頭特集「ポスト・インターネット時代のヴィジュアル・コミュニケーション」では、2000年代後半から2010年代にかけて、インターネット上で生まれた新たな視覚体験を多面的に検証している。Photobucket、Flickr、Vimeo、YouTube、Instagram、SoundCloud、Bandcamp、Facebook、Twitterなど、多様なプラットフォームから派生した世界的潮流を分析し、画像や音声、テキストが横断的に結びつくコミュニケーションの構造を探る。オンライン文化がもたらした表現の拡散と共有の仕組みを通して、デザインの社会的機能と視覚表現の変容を理論的に解き明かしている。
アイデア No.357 紙上の建築 日本における建築メディアの現在とその変遷
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.357(2013年2月号)は、「紙上の建築──日本における建築メディアの現在とその変遷」を特集。『建築雑誌』『都市住宅』『TAU』など、建築をめぐる紙媒体のデザインをデザイナー別に編纂し、杉浦康平、中野豪雄、秋山伸らの仕事を紹介している。建築思想を伝える手段としての誌面デザインの変遷をたどり、60〜70年代の革新的なレイアウトから現代のインディペンデント出版までを俯瞰。建築とグラフィックの関係を多角的に検証している。
アイデア No.311 音のコスモグラフィ
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.311(2005年7月号)は、「音のコスモグラフィ」と題し、音とデザインの関係に迫る特集号。ドイツの音楽レーベルECMの美学を紐解く「静寂の反響」では、そのカバーデザインを通して“音の余白”を可視化する試みを紹介。さらに、杉浦康平によるレコードジャケット特集「天円地方―響きのカタチ」では、音楽と造形をめぐる宇宙的な構想を展開する。このほか池田亮司、カールハインツ・シュトックハウゼン、美登英利の作品など、音と視覚が交差する領域を多角的に探る内容となっている。
アイデア No.242 勝井三雄
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.242(1994年1月号)は、グラフィックデザイナー・勝井三雄を特集。光と色彩を駆使した象徴的なポスター作品から、万国博覧会など大規模プロジェクトにおけるアートディレクションまで、幅広い創作活動を多角的に紹介する。そのほか、ビル・ソーバーン、エティエンヌ・デレセール、横尾忠則&マーク・コスタビのコラボレーション展、ロドチェンコの写真特集などを掲載。表紙デザインも勝井自身が手がけている。
アイデア No.238 横尾忠則の新作ポスター
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.238(1993年5月号)。巻頭特集は横尾忠則の新作ポスター。鮮烈な色彩と大胆な構成で独自の世界観を展開する作品群を、個展、美術展、映画、広告など多岐にわたるジャンルから豊富なビジュアルで収録する。そのほか、「中村誠の最新作」永井一正、「パーキングエリア施設の立体オブジェ・サイン」などを掲載。表紙デザインは横尾忠則。
アイデア No.234 創刊40年記念号
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.234(1992年9月号)。創刊40年記念号として「アイデア40年記念座談会 日本のグラフィックデザインの歩み」出席者:亀倉雄策、永井一正 司会:青葉益輝による日本のグラフィックデザインの黎明期の話から、東京オリンピックのポスターについてなど、デザインの歩みを貴重な証言とともに辿る。そのほか、「Ape Call from Tokyo」東京展 勝井三雄、Rio 92 地球サミット「環境と開発」ポスター展 福田繁雄、などを掲載。
Galerie Half: Selected Works/Spaces
世界的に高い評価を得るロサンゼルスのアンティーク・ヴィンテージ家具店「Galerie Half」の美学を記録した作品集。ローマ彫像やアフリカの仮面、北欧の家具、モダンデザインの椅子など、異なる時代と文化を横断する品々を独自の感性で組み合わせ、色・質感・形の呼応によって調和を生み出す空間を豊富な写真で紹介する。豪奢と素朴、匿名性と作家性といった対比が織りなす絶妙なバランスは、インテリアを超えてキュレーションの芸術とも呼べるもの。時を経た素材の表情と現代的な洗練が響き合う、静謐で詩的な世界観を映し出している。
Christ & Gantenbein: Projects I-III
スイスの建築事務所、クリスト&ガンテンバインの設立25周年を記念して刊行された、3巻構成のモノグラフ。1998年から2023年までに手がけた160以上のプロジェクトを網羅し、スイス国立博物館増築やバーゼル美術館をはじめとする代表作を収録。1,800点に及ぶ写真とスケッチ、700点の図面、45本のテキストを収め、「完成から原点へと遡る」構成で展開される。25年間にわたる創作の軌跡と建築哲学を、圧倒的なビジュアルとともに検証する内容となっている。
Cuban Mid-Century Design: A Modernist Regime | Abel González Fernandez ほか
2024年に米国クランブルック美術館で開催された展覧会「Cuban Mid-Century Design: A Modernist Regime」の公式カタログ。1950年代後半から1970年代にかけてのキューバを舞台に、革命の理想を掲げた時代に生まれた家具、グラフィックアート、建築模型、実験的プロトタイプなど約100点を紹介する。機能主義的なデザインが国家の理念を可視化し、やがて権威主義の影を帯びていく過程を、芸術家・デザイナー・建築家たちの創作を通して検証。政治とデザイン、ユートピアと現実の狭間に揺れる、キューバ・モダニズムの複雑な相貌を描き出している。
Luis Barragan | Rene burri ルネ・ブリ
スイスの写真家ルネ・ブリが、メキシコを代表する建築家ルイス・バラガンの作品を撮影した写真集。大胆な構図と繊細な色彩感覚をもって、光と影の戯れ、空間の静けさ、そして壁面の質感までも写し取っている。ブリの視点を通して浮かび上がるのは、バラガン建築が持つ詩的で精神性の高い美しさ。図版を中心に構成されており、建築写真としてだけでなく、アートとしても高く評価される一冊。英語表記。
もう一つの名作住宅 ハンドクラフテッド・モダン
イームズ夫妻、ジョージ・ナカシマ、ラッセル・ライト、ウォルター・グロピウスら、ミッドセンチュリー期に活躍した14人のデザイナーの自邸を紹介する写真集。ハンドメイドの家具や自作の彫刻、絵画の飾り方、本棚に並ぶ書籍や調度品に至るまで、住まいには作家の個性が色濃く反映されている。日常空間の細部に表れる独自の感性を通して、インテリアデザインの多様な可能性を浮かび上がらせている。
Vincent Van Duysen Works 2009-2018
ベルギー出身の建築家・デザイナー、ヴィンセント・ヴァン・ドゥイセンによる2009年から2018年までの仕事を収録した作品集。ニューヨーク、パリ、ハンプトンズの邸宅や、ロンドンのアレキサンダー・ワンの店舗をはじめ、住宅から公共施設、家具、ヨットのインテリアに至るまで、多様なプロジェクトを掲載。ミニマルでありながら豊かな質感をもつ空間構成や、自然素材と光の繊細な関係性をとらえた写真を通して、彼のデザイン哲学を浮かび上がらせる。序文はジュリアン・ムーア、建築家ニコラ・ディ・バッティスタによる解説を収録。
岸和郎 TIME WILL TELL | nemofactory
2021年に京都工芸繊維大学美術工芸資料館で開催された展覧会にあわせて刊行された、建築家・岸和郎の40年にわたる活動を総覧する作品集。初期の〈KIT HOUSE〉から〈紫野和久傳〉〈日本化学産業総合研究所〉など代表的プロジェクトまで、建築写真や図面、スケッチ、テキストを通して紹介する。建築を「時間」「場所」「生活」「風景」といったテーマから読み解き、思考と実践、そして教育のあいだを往還する岸の建築哲学を多角的に捉える構成。モノクロを基調とした図版が、移ろいゆく自然や人の営みと建築の関係を静かに映し出している。
手漉和紙
毎日新聞社による、日本各地の手漉き和紙を体系的にまとめた資料集。和綴じ装の解説書1冊と、標本紙を収めた上下巻の全3冊で構成される。全国各地の和紙を実物標本として貼り込み、その産地・技法・原料・歴史的背景を詳細に記録。加えて、国の無形文化財に選定された6種の和紙も付録として収録。限定3000部発行。
BORO つぎ、はぎ、いかす。青森のぼろ布文化
民俗学者・田中忠三郎が長年にわたり青森各地で収集した「ぼろ」のコレクションを紹介する一冊。編集は小出由紀子と都築響一、写真も都築による撮り下ろし。厳しい寒さと貧しさの中で、人々が布をつぎはぎし、重ね、受け継いできた衣や寝具には、暮らしの知恵と祈りのような美しさが宿る。木綿や麻など素材の背景にも触れながら、ぼろがもつ造形的魅力と、再生の精神を掘り下げる。
蔵 会津喜多方 | 金田実
写真家・金田実による写真集。福島県喜多方に現存する蔵を記録し、時代とともに失われつつある地域の建築文化を伝えている。米蔵、味噌蔵、座敷蔵、煉瓦蔵など、用途や構造の異なる蔵を、モノクロおよび一部カラーの写真で紹介。雪国特有の気候や生活に根ざした蔵のかたちを丹念に追い、蔵づくりに宿る職人の技と美意識を捉えている。地方の風土と建築の関係を見つめ直す貴重な資料ともいえる一冊。