Soviet Design: From Constructivism to Modernism 1920-1980
920年代から1980年代までのソビエト連邦におけるインテリアデザインを総合的に紹介する資料集。エル・リシツキー、アレクサンドル・ロトチェンコ、コンスタンチン・メーリニコフらによる構成主義や前衛的試みから、スターリン様式、戦後モダニズムに至るまで、約70年にわたるデザインの変遷をたどる。これまで十分に検証されてこなかったソ連のインテリアデザインを、近年公開されたアーカイブ資料をもとに再検証。単調と見なされがちだったイメージを覆し、多様で独創的なスタイルの広がりを明らかにしている。300点以上の図版を収録した、この分野の決定版といえる一冊。
グリッドシステム グラフィックデザインのために | ヨゼフ・ミューラー=ブロックマン
スイスのグラフィックデザイナー、ヨゼフ・ミューラー=ブロックマンによる代表的著作『Grid systems in graphic design』(1981年)の日本語版。グリッドシステムの原理と応用を体系的に解説し、357点に及ぶ事例と図版を通して、デザイン構成の基本となる比率、秩序、調和の考え方を具体的に示している。理論書でありながら実践的な手引きとして、世界各国のデザイナーに読み継がれてきた名著。モダンデザインの基礎を学ぶための必携書として位置づけられている。
Transition | Lauren Marsolier
フランス生まれの写真家、ローレン・マルソリエによる作品集。各地で時間をかけて撮影した写真の断片を組み合わせ、現実にありそうでどこにも存在しない風景を構築したもの。写真でありながら絵画的な手法により、異なる時間や場所のイメージが静かに重ね合わされていく。一見すると穏やかな風景写真だが、人の気配はなく、建築と自然が溶け合う空間には微かな違和感が漂う。自然と人工、現実と記憶の境界を曖昧にしながら、私たちの知覚や心理に静かに問いを投げかけている。
ミヒャエル・ボレマンス マーク・マンダース ダブル・サイレンス
金沢21世紀美術館で開催された「ミヒャエル・ボレマンス マーク・マンダース ダブル・サイレンス」展の図録。ヨーロッパ美術の歴史を背景に、沈黙や内省を軸として展開された二人展を記録している。バロック絵画の伝統を引き継ぎ、人間の不安や暗部を描き出すボレマンスの絵画と、「建物としてのセルフ・ポートレイト」という構想のもと、身体の断片を通して思考をかたちにするマンダースの彫刻。異なるメディアでありながら、いずれも普遍的な心理や存在のあり方を掘り下げている。
Hotel Mermaid Club | Chris Rhodes
イギリスの写真家クリス・ローズによる初の作品集。日常のささやかな場面に目を向け、現実をやわらかくすくい取りながら、穏やかで詩的な世界観を描き出している。人物のポートレートはほとんど登場しないが、私たちが身を置く空間や、普段は意識されない身近な物の佇まいを通して、人の気配や感情が漂う。ありふれた風景の中に潜む美しさを、静かに見つめ直す一冊。
Bruno Munari: Il Disegno, Il Design
イタリアの芸術家・デザイナー、ブルーノ・ムナーリのドローイングやスケッチなどをまとめた資料集。1979年、ムナーリは自身の個人アーカイブの一部をイタリア・パルマの研究・アーカイブ機関(CSAC)に寄贈した。本書はその膨大な資料から、1930年代の抽象絵画のための初期ドローイング、出版物のためのスケッチ、さらにはゲームのオリジナル版まで、ムナーリの創作活動を横断的に紹介。バウハウスやピアジェの心理学理論など20世紀の思想や美術潮流を吸収し、独自の視覚言語として再構築したムナーリの創造性と遊び心が、500点以上の図版とともに鮮やかに浮かび上がる。論考、インタビュー、主要文献の書誌も収録。
ルーシー・リー展
2010年に東京国立近代美術館などで開催された、20世紀を代表する陶芸家ルーシー・リーの没後初となる回顧展の図録。ウィーン出身で、戦後ロンドンを拠点に活動したリーの陶芸作品約250点を収録し、あわせてノートや手紙、写真などの貴重な資料も掲載している。繊細でモダンな造形を追求し続けた彼女の創作の軌跡と人間像を明らかにしている。
Shaker Built: The Form and Function of Shaker Architecture
19〜20世紀のアメリカで共同体生活を営んだシェーカー教徒の建築を紹介する写真集。マサチューセッツ、ニューヨーク、ケンタッキー、メインなどに残る集落や建物を訪ね、簡素で機能的な建築、インテリア、空間構成を豊かなカラー写真で記録している。渦巻き階段や円形納屋といった象徴的な建築から、日常に根ざした室内空間まで、シェーカーの思想が息づく造形を丁寧に捉えている。
How to Build Shaker Furniture
シェーカー家具の美しさと合理性を実践的に学べる実用書。家具職人である著者のトム・モーザーが、シェーカーの伝統に基づいたシンプルで機能的なデザインを現代に伝えている。椅子、机、ベンチ、キャビネットなどの代表的な家具の設計図や制作手順を、豊富な写真や実測図とともに丁寧に解説しており、木材選びや基本的な木工技術から組み立てまで、初心者にも理解しやすく構成されている。無駄をそぎ落とした美しいフォルムと素材への深い理解に裏打ちされたシェーカー家具の本質を、自らの手で体験しながら学べる貴重な指南書。
Sculptures | コムロタカヒロ
彫刻家、コムロタカヒロによる作品集。約100点に及ぶ彫刻作品をフルカラーで収録し、正面や背面のディテール、制作過程の写真もあわせて掲載している。ポップカルチャーや伝説上の生物、アメコミヒーローなど、幼少期の記憶や読書体験を起点とした、鮮やかでユーモラスな造形を紹介。作家インタビューや論考を通して制作の背景を辿り、巻末には写真家・平野太呂によるアトリエ風景も収められている。コムロタカヒロの独自の美意識と造形力を余すところなく楽しめる一冊。
FUTURO RETRO | マーリア・シュヴァルボヴァー
スロヴァキア出身の写真家、マーリア・シュヴァルボヴァーによる第2作目の作品集。共産主義時代の公共建築やブルータリズム建築を舞台に、ミニマルで静謐な世界観を展開している。抑制された表情の人物、均整の取れた構図、淡く計算された色彩が特徴で、過去の社会主義的風景と未来的な感覚が交差する12のシリーズを収録。現実と非現実のあわいに漂う空間表現は、見る者に静かな緊張感と詩的な余韻を残す。デビュー作『Swimming Pool』で注目を集めたシュヴァルボヴァーが、独自の美学をさらに深化させた代表的作品集。
Pepperminta Homo Sapiens | Pipilotti Rist
スイスを拠点に国際的に活躍するビデオアーティスト、ピピロッティ・リストの作品集。人類滅亡の直前に訪れるという、神秘的な15分間を主題にした映像作品を、チョコレートの箱を思わせる特製ボックスに収めている。2005年のヴェネツィア・ビエンナーレでの展示にあわせて刊行された、スイス連邦文化庁編集による公式出版物。箱の内部にはポスターや聖人像のイメージ、夢や楽園を想起させる図像などが収められ、視覚的な楽しさと遊び心に満ちた構成となっている。自然と都市、身体と感覚を横断するリストの詩的な表現を、オブジェとしても体感できる内容。ポスター、ポストカード、シート、リーフレット封入。
Brittle Land | Alexandra Navratil
スイスのアーティスト、アレクサンドラ・ナヴラティルによる作品集。映像作品「Resurrections」(2014)と「Silbersee」(2015)からのスチルを軸に構成され、旧アグファ=オルウォ社のフィルム工場があったドイツ・ヴォルフェン=ビッターフェルトを起点としている。写真乳剤やゼラチンの歴史、労働と搾取、環境汚染や消耗といった問題が、土地の記憶と静かに重なり合う。
Waterscape | 三澤遥
アートディレクター、三澤遥による作品集。水中に生きる生き物たちの環境を再構築し、「水槽」という枠組みそのものを問い直す実験的なプロジェクト「Waterscape」を紹介。水の中の温室や浮遊する島、繊細な構造体と生き物が拮抗する空間など、全14作品を緻密で美しい写真で収録。完成に至るまでの試行錯誤や設計プロセスの解説も掲載。
My Grandfather’s Tree | Max Lamb
英国のデザイナー、マックス・ラムが、祖父の農場に立っていた一本の巨大なトネリコの木をめぐる個人的なプロジェクトを記録した作品集。ヨークシャーの農地を見下ろしていた樹齢187年の木は、安全上の理由から伐採されることとなったが、ラムはその木に「終わり」ではなく「来世」を与えることを選んだ。木は節や枝分かれ、股の部分といった自然な構造を尊重しながら切り分けられ、スツールやテーブル、椅子として使える約130本の丸太へと変えられていく。切り分けられた丸太の写真に加え、エピソードやドキュメントや作業風景、家族写真などが収録されており、家族、土地、時間、素材、そしてデザインの関係を静かに問いかける一冊となっている。
BIRDS | 吉楽洋平
写真家、吉楽洋平の作品集。骨董市で偶然見つけた古本の鳥の図鑑の中で、鳥の絵が切り抜かれているページがあることに気づいて着想を得たもの。図鑑の鳥たちを森へ還すことを思いつき、自ら切り抜いた鳥の絵を森の中で撮影した写真群が収録されている。シリーズの元となった古い小さな鳥の図鑑を想起させる造本となっており、内容と形式が呼応する形で作品世界を構築している。
真穴みかん | 広川泰士
薄皮で極甘の高品質みかん「真穴みかん」の産地、愛媛県八幡浜市・真穴地区の風景と営みを記録した作品集。写真家・広川泰士が現地で撮影した写真は、段々畑や収穫の様子、農家の日常、道具や里山の風景などを繊細に切り取り、豊かな自然と人々の生活文化を鮮やかに映し出す。みかんの成長や農作業を通して、地域に根ざした文化や自然との共生の営みを伝え、単なる果物の紹介にとどまらず、日本の農村風景の美しさと時間の流れを感じさせる。企画はグラフィックデザイナー・佐藤卓によるもの。
パイン | 鈴木成一
装丁家、鈴木成一による作品集。真っ白な背景に松の木だけを配した簡潔な構図の写真が収められている。被写体は明確でありながら、ページをめくるごとにその姿は直接的には現れず、1ページずつ綴じられた薄紙越しに、輪郭や気配としてかすかに伝わってくる。視覚的な情報を抑制した編集と造本により、見る行為そのものがゆっくりとした時間の中へと導かれていくユニークな1冊。
CEREAL Magazine vol.4
毎号世界各地の旅行先、食、ライフスタイルを紹介するイギリス発のライフスタイルマガジン『CEREAL』の第4号。本号では、アメリカ・ロサンゼルス、ポーランド・クラクフ、そしてイギリス・ニュー・フォレストへの旅を特集。そのほか、様々な種類の穀物について掘り下げた特集やロンドンの腕時計のブランド、UNIFORM WARES(ユニフォームウェアーズ)のインタビュー記事も収録。
The Gourmand Issue 5
ロンドンを拠点に刊行されるフードカルチャー誌『The Gourmand』第5号。理を起点にしながら、写真、美術、デザイン、批評といった領域を横断し、食をめぐる文化的想像力を多面的に掘り下げている。信州・諏訪の酒蔵取材をはじめ、風刺性を帯びたソーセージの視覚表現、ロサンゼルスのヴィーガン文化など、多様なトピックを収録。著名な料理人やアーティストへのインタビュー、実験的なビジュアルが随所に配され、食を単なる消費の対象としてではなく、社会や美意識を映すメディアとして捉え直す編集が貫かれている。
Bauhaus Art as Life | Kathleen James-Chakraborty
2012年にロンドンのバービカン・アート・ギャラリーで開催された展覧会にあわせて刊行された図録。1919年に創設され、ナチス政権下で閉校する1933年まで存続したデザイン教育機関・バウハウスの14年間を包括的に紹介している。ワルター・グロピウスやパウル・クレー、ヴァシリー・カンディンスキーらの教育と実践を軸に、建築、デザイン、工芸、美術の諸分野に及ぶ活動を収録。図版と解説を通じて、モダニズムの展開におけるバウハウスの意義を明らかにしている。
Collection agnes b.
2008年、ベルリンの写真美術館C/Oベルリンで開催された展覧会にあわせて刊行された一冊。フランスのファッションデザイナー、アニエス・ベーが収集してきた美術コレクションを紹介する。ブラッサイ、ウィリアム・エグルストン、ジャン=ミシェル・バスキア、アレクサンダー・カルダー、ロバート・フランクなど、写真や現代美術の分野で活躍する多彩な作家の作品を収録。
In Almost Every Picture 10 Pig | Erik Kessels
屋根裏やフリーマーケットで見過ごされてきた写真を再評価することを目的としたファウンド・フォトグラフィーシリーズ『In Almost Every Picture』第10作目。編集者エリック・ケッセルスとミシェル・カンポーが集めたのは、モントリオールのレストラン「Au Lutin Qui Bouffe」で撮影された、客にミルクを与えられる子豚の写真の数々。シリーズは1938年に始まり、35年以上にわたり地元写真家ジャン=ポール・キュリエによって撮影され、単なる記録写真を超えて、文化や日常の奇妙さ、そして人々の遊び心を浮かび上がらせる。
Werd | Marco Zedler
写真家マルコ・ツェドラーによる作品集。3カ月にわたりスイス・ヴェルト島を訪れ、修道院とその周囲の風景、修道士たちの日常を撮影したもの。白いフィルターを通したような霧に包まれた湖、水鳥の群れ、静かに佇む修道院、生活用品や家族写真が飾られた部屋など、細やかな視点で切り取られた情景を収録。物語の一場面のような静謐さと、そこに流れる時間の感触を伝える構成となっている。
Que vois-tu ? | Tana Hoban
アメリカの写真家、タナ・ホーバンによる写真絵本。ページ中央には四角い穴が開けられており、一部だけが見える仕組みになっている。読み手はその部分を手がかりに「これは何だろう?」と想像し、次のページをめくると全体像が現れ、答えを確認できる。ホーバンは日常の身の回りや自然界に存在するさまざまな模様や形のものをシンプルかつ鮮明に撮影し、子どもが自ら発見する喜びを体験できるようにデザインしている。
ジュリアン・オピー
2019年に東京オペラシティアートギャラリーで開催された、イギリスの現代アーティスト、ジュリアン・オピーの展覧会にあわせて刊行された図録。絵画、立体、映像作品など、多様なメディアによる新作を中心に構成し、簡潔な線と色彩によって人や風景を描き出すオピーの現在を紹介する。オピー自身のテキストやキュレーターによる論考を通して、現代社会における視覚表現のあり方を読み解いていく。
大地の建築 アンサンブル・スタジオ
スペインとアメリカを拠点に活動する建築ユニット、アンサンブル・スタジオの作品集。スタジオのリサーチ、設計、建設プロセスを豊富な図版と写真で紹介する。地形や素材、環境と響きあう建築を探求する彼らの思考と実践を、スペイン著作権協会本部やモンタナ州のランドスケープ構造体など代表作を通して俯瞰できる内容。建築家・西沢立衛による寄稿も収録され、多角的な視点から大地と建築の関係性を考察する。
UK 77 Digging My Way to London | 大竹伸朗
現代美術家・大竹伸朗による作品集。1977年、アルバイトで貯めた資金をもとに1年間滞在したイギリスでの記録を、「出納帳」のようにまとめている。滞在中に撮影した写真やスケッチのほか、郵便物、ガムの包み紙、雑誌の切り抜き、ラベル、レシートなどを収録。日常の断片を丹念に集めながら、若き日の感性の軌跡を記録した1冊。
17 18 19 | Thomas Sauvin
フランス出身の写真コレクター、編集者として知られるトーマス・ソーヴィンの作品集。トーマス・ソーヴィンが約10年間保管していた、北京郊外のリサイクル工場で発見された白黒ネガフィルム。1991年から1993年にかけて北京の拘置所で撮影されたもの。詳細な説明はなく、写真の背景や登場人物は見るものに委ねられている。黒い紙にメタリックシルバーのインクで印刷された特徴的なデザイン。
loaded | 久保憲司
写真家、久保憲司による作品集。1980〜90年代のロック、ニューウェーブ、ブリットポップなど、多様な音楽シーンを捉えた記録写真を収録している。単身イギリスに渡り、音楽雑誌やライブハウスでの撮影を重ねてきた著者が、ミュージシャンのポートレートやライブ、スタジオでの一瞬を臨場感豊かに写し取る。現場の熱気や時代の空気をそのまま封じ込めた写真群は、音楽文化の記憶を伝える貴重なアーカイブとしての側面も備えている。
TAKE 8 IVY | テイク・エイト・アイビー
写真家・林田昭慶が20年以上にわたり撮影してきた、アメリカ東部の名門8大学の学生たちの姿とキャンパスの風景をまとめた写真集。1960〜70年代に日本で広く受容された「アイビー・スタイル」の源流を、服装や佇まい、日常の所作を通して丹念に記録している。約5,000枚に及ぶアーカイブから厳選された写真はすべてカラーで構成され、時代や流行を越えて共有されてきた価値観や美意識を映し出している。
Obstinacy of Things: Still Life in Photographic Concepts of the Present
2018年にオーストリアのクンストハウス・ウィーンで開催された展覧会にあわせて刊行された作品集。モイラ・デイヴィー、タシタ・ディーン、ハルン・ファロッキ、ジェームズ・ウェリング、クリストファー・ウィリアムズら、26名の現代アーティストによる「静物」を主題とした写真表現を紹介している。伝統的な静物画の系譜を踏まえつつ、物とイメージ、時間や記憶、流通や制度といった現代社会の文脈との関係を、各作家の実践を通して読み解く。
Life Doesn’t Frighten Me | Jean Michel Basquiat
詩人マヤ・アンジェロウの勇敢で力強い詩に、画家ジャン=ミシェル・バスキアによるアートワークを組み合わせた絵本。「人生は私を怖がらせない(Life doesn’t frighten me)」という繰り返される言葉は、恐れや不安に立ち向かう強さを、子どもにも大人にもまっすぐに伝える。バスキアの大胆で子どものようなタッチの絵は、幼少期特有の激しい感情や豊かな空想世界を鮮やかに可視化し、言葉のリズムと力強く響き合う。勇気と自己肯定、そして恐れない心を讃える、あらゆる年齢の読者に向けた一冊。
Snow | 草彅裕
写真家、草彅裕の作品集。豪雪地帯として知られる秋田県・大曲(現・大仙市)のランドスケープを、モノクロームで静かに収録している。降り積もる雪に覆われ、街の輪郭が次第に失われていくなかで、風景は自然と溶け合い、時間の感覚さえも曖昧になっていく。幼少期に街灯に照らされた雪の輝きへ抱いた記憶を起点に、星のような雪片と写真の粒子が重ね合わされ、宇宙的な広がりを帯びたイメージが展開されている。装丁は中島英樹が担当。
Art School: Richard Bevan, Tamsin Clark & Sophia Phoca
2015年に評論家で研究者のソフィア・フォカがカンタベリーのクリエイティブ・アート大学のファインアートコースのために制作したもの。4つ折りになったA3用紙それぞれに、これからデザインを学ぶ学生たちに送る言葉のテキストなどが写真などのコラージュとともに掲載された、デザインとしてもユニークな出版物。
漢聲雑誌 63・64期 中国民間肖像画
毎号異なる主題で中国文化を掘り下げてきた雑誌「漢聲(ハンシェン)」の第63・64期にあたる特集号。祖先崇拝や祭祀、記念のために民間で描かれてきた肖像画に焦点を当て、その成り立ちや社会的役割を多角的に紹介。無名の肖像画家たちの仕事に注目し、制作の工程や使用される技法、画面構成の特徴を豊富な図版と解説で辿る構成。写実性と象徴性が交錯する表現から、中国の民間美術に息づく価値観や精神性をグラフィカルに伝えている。
漢聲雑誌 戯齣年画
毎号異なる主題で中国文化を掘り下げてきた雑誌「漢聲(ハンシェン)」の中でも、中国戯曲の世界に焦点を当てた特集号。物語の名場面や登場人物を色鮮やかに描いた戯齣年画を多数収録し、その成立背景や図像の意味、演目との関係を丁寧な解説とともに紹介している。民間信仰や娯楽、祝祭文化と密接に結びついた年画の視覚表現から、中国の演劇文化がどのように人々の生活に浸透してきたのかが浮かび上がる構成。図版とテキストが有機的に組み合わされ、資料性と編集美の双方を備えた上下巻セット。
紹鴎 利休 織部の茶
徳川美術館が所蔵する尾張徳川家ゆかりの茶道具を中心に、「侘茶」の展開を辿る資料集。1997年に根津美術館で開催された展覧会にあわせて刊行され、村田珠光にはじまり、千利休、古田織部へと連なる茶の系譜を、具体的な作品とともに紹介している。茶碗、茶入、釜、水指などの名品を、カラー図版および一部モノクロ図版で収録し、それぞれの造形や用法、背景となる思想を丁寧に解説。
北川民次 メキシコから日本へ
2024年から2025年にかけて世田谷美術館ほか全国各地で開催された展覧会の図録。メキシコで学び、帰国後は絵本や壁画、教育など様々な領域で活動した画家、北川民次。本書は北川による油彩、水彩、素描、版画などとともに、1920年〜1930年代メキシコの芸術動向に関する資料、当時交流した芸術家たちの作品を通して、北川の創造の軌跡をたどる一冊。
Instant Light: Tarkovsky Polaroids
夢のように幻想的な撮影スタイルで知られる映画監督、アンドレイ・タルコフスキーの写真集。タルコフスキーが1979年から1984年にかけてポラロイドカメラで撮影した写真をまとめたもので、前半は祖国であるロシア、後半はイタリアで撮影された写真で構成された一冊。タルコフスキーの家族や愛犬、街の眺め、友人たちの姿が淡い記憶のように収められている。
サイ・トゥオンブリーの写真 変奏のリリシズム
2016年にDIC川村記念美術館で開催された展示の図録。アメリカ抽象表現主義の第2世代を代表する芸術家、サイ・トゥオンブリーが1951年から2011年に亡くなるまで撮り続けた写真約100点を収録。机に積まれた書物、アトリエの一角、果物や花、海辺の風景など、被写体は日々の生活のなかにある身近なものばかり。やわらかな光に包まれた写真は、現実を写しながらもどこか記憶や詩情を呼び起こす佇まいを見せる。巻末には絵画、彫刻、ドローイング、版画もあわせて掲載され、写真と他の制作との響き合いから、トゥオンブリーの表現世界を多角的にたどることができる。
アレン・ギンズバーグ・イン・東京 訳詩集
アメリカの詩人であり活動家、アレン・ギンズバーグの訳詩集。1988年、砂防会館ホールで行われたギンズバーグと白石かずこによる公開ポエトリー・リーディングで朗読された詩を中心に収録。ビート詩人としての声と、その場の熱気を伝える内容となっている。
The British Underground Press of the Sixties: A Catalogue | James Birch、Barry Miles
1960年代イギリスのアンダーグラウンド・プレスを網羅した展覧会カタログ。1966年にバリー・マイルズとジョン “ホッピー” ホプキンズが創刊した『International Times』を起点に、『Oz』『Frendz』『Gandalf’s Garden』『Black Dwarf』『Ink』など、同時代の主要紙すべての表紙を収録している。新聞から派生したコミックをはじめ、各媒体が生み出したグラフィック、広告、ポスター、フライヤー類も多数掲載。カウンターカルチャーが切り拓いたメディア表現の革新と、その視覚的エネルギーを一望できる資料集。
新装版 Advertising is: Takuya Onuki Advertising Works 1980-2010 | 大貫卓也
日本を代表するアートディレクター、大貫卓也の仕事を集成した作品集。2017年刊行の『Advertising is』に100ページ以上を増補した新装版。ややコンパクトなサイズに再構成しつつ、1980年代から2010年までの主要な広告表現に加え、2011年以降の仕事を網羅している。日清カップヌードル「hungry?」、資生堂「TSUBAKI」、ラフォーレ原宿など、時代を象徴する数々の仕事を豊富な図版と本人による書き下ろしテキストで紹介。