歌こころカレンダー 2026 <立春はじまり>
詩人・白井明大と写真家・當麻妙によるものづくりユニット、白井商店の「歌こころカレンダー2026」。二十四節気・七十二候の季節の名前、日付・曜日、新月・満月のしるし、その季節に合わせた白井さんの言葉を掲載。七十二候に沿って短冊をめくることで、季節の移ろいをより身近に感じることができます。2026年2月4日の立春はじまり、翌年2027年2月3日まで。
勝山八千代 カレンダー 2026
イラストレーター・勝山八千代によるカレンダー、2026年版。ポットやカッティングボード、ピッチャーなど、暮らしの道具たちが表と裏でぐるりとループするように描かれています。横長のポスタータイプで、表面には1月〜6月、裏面には7月〜12月。日々の空間にそっと寄り添ってくれるカレンダーです。
oshow カレンダー 2026
福岡在住のイラストレーター、oshowによる2026年カレンダー。思わずくすっと笑ってしまう、自由でシュールな世界観と、色鮮やかな色彩が織りなす、手描きならではの温かみあふれるドローイングが魅力。ページをめくるたびに微笑んでしまう、月ごとに楽しめるカレンダー。封筒付。
Tina Enghoff: Possible Relatives
デンマークの写真家ティナ・エングホフによる、孤独死した人々の痕跡を静かにたどる作品集。誰にも看取られず亡くなった人々の部屋に残された家具や日用品、空白の時間が漂う室内を撮影し、豊かな福祉社会の中でも顕在化する孤立や断絶を見つめている。個人の私的空間に刻まれた生活の名残と、社会が抱える孤独の問題が写真の中で重なり合い、誰も語らない現実をそっと照らし出す。34点のカラー写真は、残された部屋の静けさを通して人間の尊厳やつながりの不確かさを考えるきっかけを与え、見る者に深い問いを投げかけている。
Empire: A Journey to the Remote Edges of the British Empire | Jon Tonks
イギリスの写真家、ジョン・トンクスの作品集。南大西洋の4つの孤島—アセンション島、トリスタン・ダ・クーニャ、フォークランド諸島、セントヘレナ—を巡る旅を通じて、人々や風景、土地に刻まれた歴史の痕跡を捉えた記録である。2007年以降、著者は各島に最長1か月滞在し、軍事基地や薄暗い滑走路、貨物船や漁船、最後の現役ロイヤルメール船を利用して6万マイルに及ぶ旅を行った。カラー写真80点に加え、歴史と逸話を記した短いテキストを交えながら、かつての大英帝国の名残として歴史に結びつく孤島の暮らしと風景を描き出す。現代英国史の一部としての島々の姿を知る貴重な記録。
hinism ヒニスム 0–9号 10冊セット
クリエイティブディレクター・泊昭雄とアートディレクター・副田高行により2004年に創刊された、WALL発行のアート・フォトマガジン『hinism(ヒニスム)』0–9号、10冊セット。「日々にみる、日常にいきる、日本に住む、そして日本に宿る」をテーマに、写真を中心としてエッセイやイラストを収録するビジュアル誌。毎号、デザイナーやアーティスト、写真家など多彩な表現者が参加し、撮り下ろしの写真作品に、詩的なエッセイやイラストが静かに響き合う構成が特徴。余白を生かした静謐なデザインでまとめられた誌面も美しい。
photograph | 濱田祐史
東京を拠点に活動し、国内外で発表を続ける写真家・濱田祐史によるカラー作品をまとめた一冊。2005〜2006年に制作され、2013年にP.G.I.で発表されたシリーズを再構成し、日常の風景に潜む光の存在を鮮明にとらえた28点を収録している。自身が「印画紙の上で光を描きたい」と語るように、特別な被写体を求めるのではなく、身近な空間に射し込む光そのものへ視線を向けたことが特徴で、透明感のある色調と静かな濃淡が作品に独特の奥行きを与えている。。限定700部刊行、装丁は田中義久。
Breuer | Robert McCarter
ハンガリー出身の建築家・デザイナー、マルセル・ブロイヤー(1902–1981)の仕事を体系的に紹介する包括的な作品集。バウハウス在籍時に発表したスチールパイプ家具から、アメリカ移住後に手がけた住宅、大学施設、公共建築まで、多岐にわたる活動を豊富な図版とテキストで辿っている。モダニズムの理念を踏まえつつ、新素材や技術への探究心から導かれた造形は、家具と建築の両分野に革新をもたらし、20世紀デザイン史に確かな影響を残した。ヨーロッパ時代からグロピウスとの協働、独立後の展開までを通して、その創造の広がりと思想の変遷を丁寧に読み取れる内容となっている。
Venice: 3 Visions in Glass | Barry Friedman
イタリア・ヴェネチアの沖合に位置するムラーノ島は、中世から続くガラス工房の伝統で知られ、吹きガラスや彩色技法における高度な職人技により“ムラーノガラス”の名を世界に広めてきた。本書は、その伝統を継承しながら新たな表現を切り拓く3名の作家――クリスティアーノ・ビアンキン、大平陽一、ラウラ・デ・サンティラーナ――に焦点を当てた作品集である。ビアンキンは濃淡や透明度を巧みに操り土質的な色調を引き出し、デ・サンティラーナは彫刻的フォルムと大胆な色彩で現代的解釈を加える。大平陽一は日本の美意識とムラーノの技を融合させ、唯一無二の造形へと昇華させている。巻頭インタビューと豊富な図版を通して、伝統と革新が息づくガラス表現の現在を多角的に感じ取れる一冊。
Dior: The Perfumes
ディオールが生み出してきた香水の歴史と美学を、多彩なビジュアルとともにたどる作品集。1947年の「Miss Dior」にはじまり、「J’adore」「Dior Homme」など象徴的な香りの背景、広告ヴィジュアル、ファッションとの連動までを丹念に紹介している。写真家テリ・ワイフェンバックによる柔らかな光に満ちた写真群は、香りそのものが持つ余韻やイメージを詩的に可視化し、調香とデザインが交差する豊かな世界を引き寄せる。ブランドの革新性と香水文化の深さを併せて味わえる構成で、香りをめぐる創造性を多角的に体感できる内容となっている。
クリスチャン ディオール 夢のクチュリエ
2022年から2023年にかけて東京都現代美術館で開催された展覧会の図録。ディオール創設期から現代まで続く創造性と革新を、多彩なビジュアルとともに体系的に紹介する内容となっている。象徴的な“ニュールック”をはじめ、歴代デザイナーが生み出したオートクチュールの名品、アーカイブ資料、写真などを網羅し、日本文化とのつながりにも焦点を当てる構成が特徴。写真家、高木由利子による撮り下ろし写真によって、メゾンの美意識と職人技の精華が鮮やかに浮かび上がってくる。
Yves Saint Laurent Accessories | Patrick Mauries
イヴ・サンローランが手がけたクチュールアクセサリーの魅力を網羅的に紹介する写真資料集。パリのイヴ・サンローラン財団が所蔵する2万点を超えるアーカイブから厳選されたジュエリー、帽子、靴、バッグの写真に加え、デザイナー自身のポートレートや制作スケッチ、舞台裏のスナップ、キャットウォーク、広告ヴィジュアルまで幅広く収録している。アクセサリーによって服に新たな表情を与えるというサンローランの美学が、長年のコレクションを彩った多彩な資料から鮮明に伝わり、メゾンの創造性を多角的に味わえる一冊となっている。
Naoto Fukasawa 日本語ハードカバー版
プロダクトデザイナー・深澤直人による作品集。無印良品のCDプレイヤーやTAKEO PAPER SHOWのパッケージデザインをはじめ、家具や日用品など幅広いプロダクトを紹介している。シンプルで人の生活に寄り添う造形を重視した深澤のデザイン哲学を示す内容となっており、多数の写真図版で展開されている。さらにジャスパー・モリソン、アントニー・ゴームリー、原研哉らによる寄稿テキストも収められ、国際的視点から深澤の仕事を考察する一冊となっている。
Brands A-Z: Muji
衣服や生活雑貨、食品まで幅広いアイテムを手がける「無印良品」に焦点を当てたビジュアル資料集。歴代の広告アートワークを中心に構成され、ブランドが築き上げてきた独自のストーリーを辿ることができる。さらに、デザイナーへのインタビューや企業としての歩みを通じて、世界的な支持を得た背景を明らかにしている。シンプルさと普遍性を重視したデザイン哲学を再確認できる内容で、ブランド研究や広告資料としても価値の高い一冊。
Havana | Robert Polidori
アメリカの写真家、ロバート・ポリドリによる作品集。表面的には建物を捉えた写真でありながら、廊下や裏部屋、ファサードに残された生活の痕跡を通して、人々の暮らしや都市の歴史を映し出している。特にハバナを舞台に、街路の曲線や柱、かつての建造物の残影を写し取り、政治的・社会的・経済的な力が刻んだ都市の姿を伝える。ポリドリの色彩感覚と構図は、写真を鮮やかな記憶のようにし、日常の痕跡と都市のアイデンティティの対比を浮かび上がらせる。かつての栄華と現在の生活が交錯する瞬間を捉え、各写真が都市の伝記の断片として観る者に新たな発見をもたらしている。
Snowpark | Philippe Fragniere
ロンドンとスイスを拠点に活動する写真家フィリップ・フラニエールが、フリースタイル競技のために設計されたスノーパークを撮影した作品集。人工的なジャンプ台やレール、滑走面などの構造物が、雪原の中で彫刻のような存在感を放ち、幾何学的なラインと自然の柔らかな光が交錯する風景が静かに写し出されている。構図の遊びや抽象的なフォルムへの意識が、ランドスケープ写真と現代的なスティルライフのあいだを行き来する独自の視覚世界を形成。Kodoji Pressによる緻密な造本やゲートフォールドも作品の体験を豊かにし、スノーパークという人工環境の美しさと詩性を鮮やかに伝えている。
Nordic Moods: A Guide to Successful Interior Decoration
デンマークのインテリアデザイナー、カトリーネ・マーテンセン=ラーセンが、9軒の多彩な北欧住宅を通じて理想の住まいづくりを指南するヴィジュアルブック。素材や色、家具の選び方から節度のある装飾まで、北欧スタイルの基本を丁寧に解説。ムードボードを活用して優先順位を見極め、自分らしい個性と調和のある空間をデザインする方法を学べる。豊富な写真で構成された本書は、北欧の美しい暮らしを実感しながら、誰でも自宅で取り入れられる実践的なヒントが満載。デザイン初心者から愛好者まで幅広く楽しめる、視覚的にも魅力的なガイドブック。
Hiroshima Collection | 土田ヒロミ
写真家・土田ヒロミが長年にわたり撮影してきた広島平和記念資料館所蔵の被爆資料を集成した作品集。溶けたガラス瓶、焼け焦げた弁当箱、破損した学生服、変形した仏頭など、原爆が一瞬で奪い去った日常の痕跡を300点以上のモノクロ写真で収録している。写真には被爆者や遺族の証言が添えられ、当時の過酷な状況や消えることのない喪失が静かに浮かび上がる。1980年代から続く土田の“ヒロシマ”シリーズの集大成ともいえる本書は、声なき資料の存在を写真によってすくい上げ、核がもたらす暴力の現実をあらためて考えさせる構成。和英文併記により、国境を越えて記憶の継承を促す視点となっている。
涯テノ詩聲 詩人 吉増剛造展
詩人・吉増剛造の半世紀に及ぶ活動を総合的に振り返る展覧会の図録。詩集を軸に、写真、映像、立体など多岐に広がった表現を丹念に紹介するとともに、その創作を支えてきた言葉・声・身体の探求に迫る内容となっている。各時代の代表作を手がかりに、初期から近作に至るまでの思考の変遷をたどり、詩を超えて表現領域を横断してきた軌跡を立体的に提示する構成が特徴的。さらに吉増と関わりの深い作家や研究者の作品・資料・寄稿も掲載され、芥川龍之介、折口信夫、瀧口修造、荒木経惟、東松照明、中平卓馬、森山大道、若林奮など多彩な表現者の言葉と視覚資料が響き合っている。
視覚の実験室 モホイ=ナジ/イン・モーション | 神奈川県立近代美術館、京都国立近代美術館 他
2011年に神奈川県立近代美術館などを巡回した展覧会の公式図録。20世紀美術に革新をもたらし、バウハウスで教鞭を執ったモホリ=ナジ・ラースローの創作をたどる。生い立ちから構成主義への傾倒、バウハウス時代の活動に至るまでを順に紹介し、写真、ペインティング、グラフィックデザインなど多彩な作品を掲載している。モホリ=ナジ自身のエッセイ「写真は光の造形である」に加え、パシュート・クリスティナやオリヴァー・A・I・ボーターらによる論考も収録し、その思想と実践を多角的に検証する内容となっている。
Earth Stations: Future Sharing Architectures
イタリアを代表する建築家ミケーレ・デ・ルッキと、彼が率いるAMDL CIRCLEの取り組みを紹介するデザイン資料集。人と人が豊かに関わり合える未来の建築として構想された〈Earth Stations〉の理念を軸に、世界各地のプロジェクトへ展開する思想や模型、図面が整理されている。建築とは何をもたらし得るのか、いかに持続可能な思考を空間の質として体現できるのかを多分野の専門家との対話を通して探究する構成。集う場を「生きた記念碑」として捉えるデ・ルッキの視点が、建築を介した新しい関係性の可能性を提示している。
A Pink Flamingo | Jack Latham
イギリスの写真家ジャック・レイサムが、かつて数十万人の開拓者が西を目指した「オレゴン・トレイル」を辿り、2012年のアメリカ西部に暮らす人々と風景を記録した作品集。金属探知機を手にする人物、車で生活する家族、ひっそりとした道路や遊具の残骸など、旅の道中で出会った光景が、開拓時代の記憶と現在の不安定な暮らしを重ね合わせるように写されている。タイトルに引用されたプラスチック製のピンクフラミンゴは、アメリカン・ドリームの象徴性を揶揄するアイコンとして作品のトーンを導き、巻末に収められたスクラッチカードは旅で得た偶然性への姿勢を象徴する要素となっている。過去と現在が交錯するアメリカの素顔を静かに描き出している。
The Kinfolk Table 小さな集いのためのレシピ集
ポートランド発のライフスタイル誌「KINFOLK」の世界観をそのまま引き継ぎ、著者ネイサン・ウィリアムスが世界各地を旅して出会った家庭料理を紹介する日本語版レシピ集。朝の静かな食卓から、友人と囲む気取らないディナーまで、日々の暮らしの中にある“小さな集い”の時間を大切にするレシピが85品掲載されている。料理を作る人々へのインタビューや、生活の背景にある価値観にも触れられ、食がつくるコミュニティや関係性の豊かさが丁寧に伝わってくる。写真とデザインもKINFOLKらしい静けさと温もりに満ち、レシピ本でありながらライフスタイルを見つめ直すきっかけを与えてくれる一冊。
Via del Mare | Jannis Kounellis
1990年にアムステルダム市立美術館で開催された展覧会にあわせて刊行された、ヤニス・クネリスの図録。1960年代後半から70年代初頭の「アルテ・ポーヴェラ」を代表する作家として知られるクネリスが、鉄や石、木材、布など多様な素材を用いて生み出した作品群を、モノクロ図版を中心に紹介している。素材の重さや温度、配置によって空間そのものを変容させるクネリスの実践は、彫刻とインスタレーションの境界を横断しながら、物質と身体、歴史との関係性を強く意識させる。展覧会当時の視覚的記録を通して、その表現の核心に触れられる内容となっている。
Waterfall: The Spectacle of Now
台湾発のアートマガジン「Waterfall」第4号。かつての「世界の七不思議」を引き合いに、方向感覚を失いつつある現代人の姿を描きながら、日常的なオブジェを用いた現代アート作品などを通して「今」の世界を映し出す。多角的に現代社会の光景を切り取る一冊であり、読者に現代を考察する視点と思索を促している。
Raymond Pettibon | Phaidon Contemporary Artists Series
カリフォルニアを拠点に活動するアーティスト、レイモンド・ペティボンのドローイングを紹介する作品集。ソニック・ユースやブラック・フラッグのカバージャケットで知られるように、パンクやニューウェーブの精神を背景に独自の表現を切り拓いてきたペティボン。本書では、コミック的な構図に辛辣なユーモアと社会批評を織り交ぜた代表的ドローイングを多数収録する。デニス・クーパーとのインタビュー、MoMAキュレーターによるキャリア概説、特定シリーズの分析、本人が選んだテキスト、初期のインタビューや歌詞なども掲載され、多面的に作家像へ迫る内容。西洋絵画の系譜とアンダーグラウンド文化が交錯するペティボンの軌跡を巡る。
クリフォード・コフィン写真展
2000年に新宿・伊勢丹美術館で開催された、アメリカのファッションフォトグラファー、クリフォード・コフィンの展覧会図録。イギリス、フランス、アメリカの一流ファッション誌を彩ったヴィジュアルに加え、アンリ・マティスやクリスチャン・ディオールなど文学・美術・映画・演劇界の著名人を撮影したポートレートも掲載されている。大胆な構図やライティングによって戦後ファッション写真の新たな表現を切り拓いたコフィンの革新性が、多彩な図版を通して鮮やかに示され、時代の空気と創造の熱量を感じ取れる構成となっている。
Inagawa Cemetery 猪名川霊園 | デイヴィッド・チッパーフィールド、鈴木理策
写真家・鈴木理策が1年にわたり四季の移ろう猪名川霊園を撮影した建築写真集。新たに設計された礼拝堂と休憩棟は、2023年プリツカー賞を受賞した建築家デイヴィッド・チッパーフィールドによるもので、日本に足繁く通い施主と対話を重ね、宗教や文化の違いを越えて誰もが静かに祈れる空間として丁寧に形づくられた。霊園の緑や光と呼応する建築は、季節ごとに異なる表情を見せ、自然と建物が寄り添う時間の深さを静かに伝えている。80ページにわたる写真と図面、チッパーフィールド自身のエッセイを収録し、建築の思想と空間の美しさを重層的に感じ取れる内容となっている。
柚木沙弥郎との時間 | 柚木沙弥郎、木寺紀雄
染色家・柚木沙弥郎を、写真家・木寺紀雄が10年にわたり撮影したフォトブック。制作の現場で並ぶ型紙や染料のパレット、展覧会の舞台裏、旅先で得た着想の瞬間、そして茶目っ気あふれるポートレートまで、長年にわたる密やかな時間が242点の写真に凝縮されている。98歳となった現在も創作を続ける柚木の姿には、色彩への飽くなき探究と、日々の出来事を軽やかに受け取る感性がにじむ。約1万7千点のアーカイブから選び抜かれた写真群は、作品の源にある生活や人柄を温かく可視化し、柚木の創作世界に寄り添う深いまなざしを伝えている。
犬のための建築 Architecture For Dogs
グラフィックデザイナー・原研哉のディレクションにより企画された展覧会にあわせて刊行された作品集。ATELIER BOW・MVRDV・隈研吾・コンスタンティン・グルチッチら、世界で活躍する建築家・デザイナー13組が考案した“犬のための建築”を紹介する。設計図や組み立て方、コンセプトテキスト、完成写真を通して、犬という身近な存在のために空間や構造をどう発想できるのかを多角的に提示している点が特徴。小さな建築を前に見せる犬たちの自然な表情も収められ、遊び心と実験性が共存する内容。
堀部安嗣の建築 Form and Imagination
日本の建築家・堀部安嗣が1995年から2006年に手がけた25の作品を収録した初の作品集。デビュー作「南の家」をはじめ、「ある町医者の記念館」、「牛久のギャラリー」など、各プロジェクトの図版と解説を通して、素材への深い眼差しと造形への確かな感性が示されている。木・石・しっくいといった自然素材を活かした空間は、幾何学的なフォルムと温度感のあるディテールが調和し、時間の経過とともに風景に溶け込む静かな美しさを宿す。自ら撮影した写真やドローイングも収録され、堀部が追求する建築思想とその広がりを丁寧に伝えている。
Toiletpaper Magazine 12
現代アーティストのマウリツィオ・カテランと写真家ピエルパオロ・フェラーリによって創刊されたアート雑誌「TOILETPAPER Magazine」の第12号。テキストを排した誌面には、ユーモア、悪ふざけ、違和感、ポップカルチャーへの皮肉が入り混じる強烈なイメージが次々と展開し、視覚だけで読むアート作品のような存在となっている。広告写真やファッションフォトの語法を大胆に転用しながら、現代社会の欲望や不条理をビビッドに映し出す編集手法が際立ち、日常と非日常の境界を揺さぶる独特の世界観が鮮烈に展開されている。
Reflection | 井上佐由紀
写真家・井上佐由紀による写真集。よせてはかえす波打ち際で、真っ白なレオタードをまとった少女が舞う姿を捉えている。風になびく布や揺れる髪、まっすぐな眼差しが、決して同じ形を見せることのない景色の中に重なり合う。二度と訪れることのない瞬間を静かに切り取り、時間の儚さと存在の強さを同時に映し出す作品集となっている。
巨匠フランク・ロイド・ライト
近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライトの歩みと作品を俯瞰する資料集。コンクリートやスチール、ガラスなど20世紀初頭に登場した新素材を積極的に取り入れ、歴史的様式に依存しない独創的な空間を生み出したライトの建築思想を、多数のカラー写真とスケッチ、本人の言葉を交えて紹介している。「落水荘」をはじめ、自然との調和を重んじた“有機的建築”の代表作が年代順に収録され、設計意図や造形のダイナミズムを追体験できる構成。建築史に刻まれた革新の軌跡を、視覚的にも読み解ける内容となっている。
1960年代グラフィズム 印刷博物館 企画展
2002年に印刷博物館で開催された企画展「1960年代グラフィズム」の図録。高度経済成長と国際化の波の中、写真や印刷技術の革新を背景に大きな飛躍を遂げた1960年代の日本デザインを紹介する。「世界デザイン会議」に始まり、「日本宣伝美術会」の解散で幕を閉じるまでの変化の時代を、多数の作品図版と関係者の証言で振り返る。デザイン史の重要な転換点を記録した資料であり、装丁は粟津潔が手がけている。
ヴァチカン教皇庁図書館展 書物の誕生 写本から印刷へ
2002年に印刷博物館で開催された展覧会図録。ヴァチカン教皇庁図書館が所蔵する写本や初期印刷本を中心に、西洋における書物の誕生と発展をたどる内容となっている。中世ヨーロッパの装飾写本に見られる精緻な彩色や写字生の技、グーテンベルク以降に始まる活版印刷の革新まで、聖書を軸に文字・宗教・美術が交差する文化史的変遷を豊富なカラー図版で紹介。写本から印刷へと移行する時代の息遣いを視覚的に感じ取ることができ、書物の成立過程を多角的に読み解く一冊となっている。
デザイナー誕生 1950年代日本のグラフィック
2008年に印刷博物館で開催された展覧会の公式図録。河野鷹思、原弘、亀倉雄策、北園克衛ら、日本の戦後グラフィックデザインを牽引した作家たちの作品を収録する。戦後の復興期から高度経済成長へと移り変わる1950年代を背景に、新しい造形意識や印刷表現の実験が芽生えた時代の空気を映し出す。グラフィックデザインが「デザイナー」という職能として自立していく軌跡をたどり、日本デザイン史の原点を検証している。
アイデア No.249 写楽と現代グラフィックス
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.249(1995年3月号)は、巻頭特集「写楽と現代グラフィックス」を通して、写楽登場から200年を経た視覚文化の連続性を多角的にたどる内容となっている。瀬木慎一による写楽論、田中一光・佐藤晃一らによる江戸文化の再解釈、伝統木版と現代デザインの比較検証、さらに映画『写楽』のアートディレクションをめぐる浅葉克己へのインタビューなど、歴史と現代を横断する視点が豊かに提示されている。併録企画では、マーシャル・アリスマンの「エンジェル」シリーズ、オランダのデザイン・オフィス「クウェイデン/ポストマ」、平野甲賀の〈架空装丁〉、アラン・ヴェイユのカードアートなど、多彩なトピックを収録。
アイデア No.245 ’94 卒業制作グラフィックデザイン誌上展
グラフィックデザイン誌『アイデア』No.245(1994年7月号)は、全国の大学・専門学校から選りすぐった1994年の卒業制作を誌面上で紹介する特集を中心に、当時の若い世代による表現動向を広く俯瞰した号。多摩美術大学、東京芸術大学、武蔵野美術大学、金沢美術工芸大学ほか多数の学校から、ポスター、タイポグラフィ、写真、パッケージなど多岐にわたる作品を収録し、学生の自由な発想と造形実験の広がりを視覚的に示している。あわせて、テルアビブ国際ポスター展や“サラエボ、非常事態”ポスタープロジェクトなど時事性を帯びた企画を取り上げるほか、マーゴ・チェイス、エイミー・グイップ、ジェニファー・モーラといった個性豊かなデザイナーを紹介。
もじを描く | 平野甲賀
独自の描き文字で知られるデザイナー・平野甲賀が、自身の歩みや“文字”への思索を綴ったエッセイ集。手書き文字の線がどのように生まれ、形になり、読む人へ届いていくのか──その背景にある感覚や姿勢を、書き下ろしの文字とともに語っている。装丁や本づくりの現場で磨かれてきた感性、自由で奔放な発想、遊び心ある筆致が随所にのぞき、平野文字の奥に広がる世界観をやわらかく伝えている。著者自装。
HUMAN LAND 人間の土地 | 奈良原 一高
戦後日本を代表する写真家・奈良原一高が1956年の初個展で発表した「人間の土地」をまとめた復刊版写真集。第一部「緑なき島」では、最盛期に約5,000人が暮らした軍艦島の日常をとらえ、過酷な環境と密集した生活の中で営まれる家族の姿を力強いコントラストで描き出している。第二部「火の山の麓」では、桜島大噴火によって家屋や鳥居が埋没した黒神村を訪ね、自然災害に向き合いながら生きる人々の時間を静かに写す構成。隔絶された二つの土地に刻まれた近代日本の現実を、卓越した視覚表現で深く捉えた重要作であり、日本写真史におけるパーソナル・ドキュメントの原点を示している。
The Destruction of Lower Manhattan | Danny Lyon
アメリカの写真家ダニー・ライアンが、1960年代後半のロウアー・マンハッタンで進んだ大規模な取り壊しを記録した作品集。自身が暮らすロフト周辺で、19世紀建築が次々と立ち退き・解体されていく光景を目にした彼は、「消えゆく街並みを残す」という強い意志のもと、一軒ずつ丁寧に撮影を続けた。フルトン・ストリートやハドソン沿いの古いビル群、作業員の姿、瓦礫となる直前の建物など、都市の変容と記憶が重ねられた場面が静かな緊張感をもって写し取られている。のちにツインタワー建設へとつながる再開発の前夜を捉えたこれらの写真は、現在では失われた街区を唯一伝える記録となり、ニューヨークという都市の時間を深く考えさせる内容となっている。
古道具、その行き先 坂田和實の40年
2012年に渋谷区立松濤美術館で開催された展覧会「古道具、その行き先 坂田和實の40年」の公式図録。骨董界の第一人者として知られる坂田和實がこれまでに見出し、扱ってきた古道具の数々を通して、その独自の審美眼と哲学を探る。時代や用途を超えて選び抜かれた器や道具の佇まいから、「使われてきたもの」に宿る美と価値を見つめ直す一冊。坂田が築き上げた“古道具”という概念の核心を提示している。デザインは有山達也によるもの。
The Pioneering Work of Hermann Rosa: Purism in Concept, Form and Materials
彫刻家であり建築家でもあるハーマン・ローザの、彫刻と建築が交差する独自の実践を紹介する作品集。彼は重機を用いず自らの手でスタジオハウスを築き上げ、鉄筋コンクリートによる巨大な“歩行可能な彫刻”として空間を創出した。開かれた面の構成にはデ・ステイルやバウハウスの精神が響き、同時にベトン・ブリュット特有の素材感が力強く息づく。色彩や装飾を排し、形態と空間に徹底して向き合ったその思考を、新旧の写真やスケッチ、図面資料を通して多角的に検証する内容。戦後ドイツ建築の中でも特異な存在であるローザの仕事が、国際的文脈のなかで再評価されている。