フランス国立ケ・ブランリ美術館所蔵 マスク展
2015年に東京都庭園美術館で開催された展覧会の図録。フランス国立ケ・ブランリ美術館が所蔵するアフリカ、アジア、オセアニア、アメリカのマスクを紹介したもので、それぞれの地域の文化や信仰、自然観と結びついた多彩な仮面表現を伝えている。儀礼や祭祀、物語の演者としての役割を担うマスクの造形性と精神性を豊富な図版とともに示し、文化の多様性を読み解く。
Honey Hunters of Nepal | Eric Valli
フランスの写真家・映画監督エリック・ヴァリによる写真集。ヒマラヤの断崖をよじ登り、巨大なヒマラヤオオミツバチから蜜を採取する「ハニーハンター」たちの姿を記録したドキュメンタリー。命綱ひとつで崖に挑む採蜜の儀礼や、山岳民族の暮らしを迫力ある写真で捉え、過酷で神秘的な営みに迫っている。
Wespi de Meuron Romeo | Deutscher Architektur Verlag
スイスの建築家マルクス・ヴェスピ、ジェローム・ド・メウロン、ルカ・ロメオの3名による建築作品をまとめた資料集。拠点とするスイス・ティチーノ州カヴィアーノの伝統建築から着想を得ながら、土地の文脈に寄り添う住空間・仕事空間を生み出してきた彼らのプロジェクトとコンペ案を紹介する。カラー・モノクロ写真、図面、解説を通して、素材へのこだわりや時代に左右されない造形感覚を読み解くことができる一冊。
氷河日記、グレイシャーベイ | 石塚元太良
写真家・石塚元太良がアラスカの氷河地帯を旅しながら撮影したフォトエッセイ。氷河や氷山、海との境界域が見せる静謐で力強い風景を写し取り、そこに至る過程の思索や記録を織り交ぜている。単なる風景の記録ではなく、流動し続ける自然の生成と消失、人間の身体感覚や環境との関係性が浮かび上がる構成。極地の非日常的な光景を通して、自然と向き合う視点を深く考えさせる一冊。
ル・コルビュジエ 建築・家具・人間・旅の全記録
20世紀モダニズムを代表する建築家ル・コルビュジエの創作と人生を総覧する資料集。初期の木造建築から宗教建築まで、多様なプロジェクトを豊富な図版とともに紹介するほか、フランス、スイス、ドイツなど世界各地に残る建築51棟を巡る「旅」の記録も収録。年表、手稿、インタビューを通じて、人間としてのコルビュジエの思考と日常に触れられる構成となっている。建築作品、家具デザイン、旅の軌跡を立体的に見渡し、彼の理念とデザイン哲学を深く理解できる一冊。巻頭には磯崎新によるインタビューを収載。
ル・コルビュジエ展 | セゾン美術館 ほか
1996年から1997年にかけて開催された「ル・コルビュジエ展」の公式図録。建築のデッサンや写真に加え、家具のプロダクトデザイン、画家としてのペインティング作品まで、多彩な創作活動を網羅的に紹介。近代建築の巨匠としての姿だけでなく、多分野にわたる表現者としての側面も伝える内容となっている。
The Art of Getting Over: Graffiti at the Millennium | Stephen Powers
グラフィティの黎明期から現在の圧倒的な広がりに至るまでの影響を検証する。アメリカ出身のグラフィティ・アーティストであり、「Go Magazine」の編集長など多岐にわたる分野で活躍するスティーブン・パワーズによって執筆されており、グラフィティの一般的な歴史に加え、草創期のアーティストや現在活躍する作家たちへの詳細なインタビュー、過去30年間の最重要作品のフルカラー図版を収録。英語表記。
Ed Fella and Geoff McFetridge: Two Lines Align
アメリカのアーティスト/デザイナー、エド・フェラとジェフ・マクフェトリッジの展覧会に合わせて刊行されたカタログ。手描きの図案やタイポグラフィ、広告と個人制作のあいだを自在に行き来する2人の仕事を豊富な図版で紹介する。プレ・コンピューター時代の表現を貫くフェラと、パーソナルなイメージを起点に独自のスタイルを築いたマクフェトリッジの軌跡を、両者をめぐる論考とともに読み解く。
Abstract Reality | デニス・ホッパー
俳優・映画監督として知られるデニス・ホッパーの、もう一つの顔である写真表現に焦点を当てた作品集。京都や大阪、ヴェニス、ロンドンなど、世界各地の街角で37年にわたり撮影した落書きや張り紙、ペイント跡、オブジェなどを収録している。観光名所ではなく路上の断片に目を向け、それらを抽象画のように捉える視点が特徴。俳優となる以前から写真を自身の表現手段と考えていたホッパーの、直感的で鋭いまなざしを感じ取ることができる。
超発明 創造力への挑戦 | 真鍋博
イラストレーター・真鍋博が考案した129の“超発明”を、軽妙なイラストとともに紹介する一冊。「三次元鉛筆」「固型酸素」「人間郵送」「嗜好眼鏡」「虹のかけ橋」「古典的宇宙船」「複合頭脳」など、科学と空想のあいだを自由に往来する奇想が満載。実現不可能だからこそ、発想の枠を広げ、遊び心と想像力の面白さを実感させてくれる。
Paul Klee: Painting Music
スイスの画家パウル・クレーが、バウハウス期に育んだ「音楽と絵画」の関係に迫る作品集。優れたヴァイオリニストでもあった彼は、リズムや構造といった音楽的思考を抽象絵画へと応用し、独自の記号やシンボルを組み合わせながらイメージを“作曲”するように発展させていった。本書は、多数のカラー図版と日記の抜粋を通して、その方法論と創作の核心を読み解くもの。クレーが抽象表現へと向かう過程を多角的に示す、バウハウス期を理解する上でも重要な資料となっている。
HOUSE | 尾形一郎、尾形優
写真家・尾形一郎と建築家・尾形優が、20年かけて世界6か所の「家」を撮影した作品集。ナミビアの砂に飲み込まれつつある元鉱山町の住宅や、ギリシャの島に残る白い鳩小屋など、建築の造形とそこに刻まれた人の痕跡を静かに捉えている。砂漠、島、日本の遊郭跡など、異なる土地に残る家々を通して、住む者の記憶や欲望、時間の流れまでも浮かび上がらせる一冊。
10 Years of Dolce & Gabbana
イタリアを代表するブランド、ドルチェ&ガッバーナの創業10周年を記念して刊行された写真集。アーヴィング・ペン、ブルース・ウェーバー、スティーブン・マイゼルら一流フォトグラファーによる159点の写真を収録し、ブランド初期の世界観と美学を鮮やかに映し出す。デザイナーの友人や関係者によるコメントも添えられ、10年間の歩みを伝える一冊。
The Art of Vogue Photographic Covers | Harmony Books
1932年から1985年にかけて刊行された各国版『VOGUE』の表紙を収録した資料集。フランス、アメリカ、イギリスなど、国や時代による編集方針や美意識の違いが色濃く反映され、ファッション写真の変遷を俯瞰できる内容となっている。華やかなヴィジュアルは単なる雑誌の装いを超えて、アートとしての雑誌カバーの魅力を提示し、モード史やデザイン史を読み解く上でも重要な資料となっている。英語表記。
MACHOS | 吉田カツ
昭和から平成にかけて活躍したイラストレーター、吉田カツの作品集。1990年から1991年に制作された絵画を中心に収録しており、ポートレート、植物、滝、静物など、多彩なモチーフが登場する。力強い筆致と大胆な構図、そして吉田カツ独自の色彩感覚が際立つ作品が多数掲載されており、創作の厚みと幅を感じられる貴重な作品集。アートディレクターは浅葉克己。見開きに署名あり。
Where is Silas?
イギリスのファッションブランド「SILAS」の名の由来となった架空の人物、Silas Holms をめぐる世界観をまとめたアートブック。ファーガス・パーセル、ジェームズ・ジャーヴィス、ウィル・スウィーニーらロンドンのクリエイターが、写真、イラスト、3D作品、テキストなど多様な表現で参加している。ブランドの広告物やドール制作にも通じる、遊び心とストリート感覚に満ちたビジュアルを楽しめる一冊。解説冊子付属。
茂田井武美術館 記憶ノカケラ
童画家・茂田井武の画業を、時代順にたどる作品集。パリ滞在期の幻の画帳や絵物語、戦後の児童書や雑誌挿絵など、未発表作を含む約200点を4章構成で収録している。異国体験から育まれた独自の感性と、叙情的であたたかな作風の変遷を一望できる内容。幻想や郷愁、軽やかなユーモアがにじむ茂田井の世界を改めて味わえる、資料価値の高い一冊となっている。
川島小鳥写真集 明星
写真家・川島小鳥が30回以上にわたり訪れた台湾を舞台に撮影した作品集。南国の果物や街を行き交う人々、風景など、あらゆる被写体が鮮やかな輝きを放つように切り取られている。縦写真は縦に、横写真は横にそのまま綴じるというユニークな造本を採用し、リズム感のあるページ構成が特徴。旅の記憶と台湾の空気感が重なり合い、明るく瑞々しい世界を存分に伝える内容となっている。
菅井汲展
2000年に東京都現代美術館と兵庫県立近代美術館で開催された展覧会の図録。1952年に渡仏し、常に新たな絵画世界を展開し続けたことで国際的に高く評価された画家、菅井汲(すがい くみ)。本書では渡仏以前の作品から晩年にいたるまで、代表的な作品を中心に、油彩、立体、版画、資料を通して菅井の創造の全貌をたどる一冊。
波の絵・波の話 | 村上春樹、稲越功一
作家・村上春樹と写真家・稲越功一によるコラボレーション作品。パリ、オーストラリア、リオデジャネイロなど、稲越が世界各地で撮影した“波”の写真に、村上が短いテキストを寄せている。寄せては返す海のリズムと、言葉が生む余韻が重なり、静かで詩的な世界が広がる一冊。写真と言葉が響き合い、自然と人の感覚が交差する時間を味わえる。
原田裕規 ホーム・ポート | 広島市現代美術館
2024年から2025年にかけて広島市現代美術館で開催された特別展の図録。多様なメディアを用いて、社会の中で広く認知されている視覚文化を題材にしたプロジェクトで知られるアーティスト、原田裕規。本書は代表的な映像、インスタレーション、パフォーマンス作品から新展開の平面作品、初期の絵画などを展示風景とともに紹介。原田へのインタビューの記事のほか、論考のテキストも併せて収録。
ラルティーグ写真集 時のまなざし
20世紀初頭のフランスの写真家、ジャック=アンリ・ラルティーグの作品集。1995年から1996年にかけてBunkamura ザ・ミュージアム等で開催された生誕100周年記念展に際して発行されたもの。黎明期の飛行機や自動車レース、海水浴場でくつろぐ人々、流行のドレスをまとった貴婦人など、日常のひとコマを切り取った作品群を収録。
Comme des Garcons Six no.3
1988年から1991年にかけてコム・デ・ギャルソンが関係者向けに制作したビジュアルブック『Six』第3号。川久保玲のファッション哲学を、さまざまなアーティストの作品を通して視覚的に提示している。特集ではピエール・ブーシェによる作品のほか、アズディン・アライア、フランチェスコ・クレメンテ、ピーター・リンドバーグらが参加し、アートとファッションが交
Comme des Garcons Six no.6
1988年から1991年にかけてコム・デ・ギャルソンが関係者向けに制作したビジュアルブック『Six』第6号。川久保玲のファッション哲学を、さまざまなアーティストの作品を通じて視覚的に提示している。特集ではニコ・ピロスマニの作品に加え、サルバドール・ダリ、ブライアン・グリフィン、ディーノ・ブッツァーティ、ピーター・リンドバーグ、篠山紀信、ジョン・マーフィーらによる写真やアートを収録し、アートとファッションが交錯する時代を記録した貴重な誌面構成。アートディレクションは井上嗣也が手がけている。
Comme des Garcons Six no.8
1988年から1991年にかけてコム・デ・ギャルソンが関係者向けに制作したビジュアルブック『Six』第8号。川久保玲のファッション哲学を、さまざまなアーティストの作品を通して視覚的に提示している。デニス・ホッパーによるアンディ・ウォーホルのポートレートのほか、ピーター・リンドバーグ、ユルゲン・テラーらによるコム・デ・ギャルソンのルックを掲載。ファッションフォトと美術表現が交錯する誌面構成。アートディレクションは井上嗣也が手がけている。
北村道子作品集 Tribe
スタイリスト・衣裳デザイナーとして活動する北村道子の約20年の仕事をまとめた作品集。藤井保による写真とともに、衣裳やファッションの枠を超えた表現を紹介。民族性、共同体、歴史、日本人のアイデンティティといったテーマを背景に、生々しくも力強い造形が展開され、単なるスタイリングを超えた文化的・身体的な問いを投げかけている。時空を超えて響くようなイメージの連なりは、衣裳表現の可能性を再考させる貴重なドキュメントとなっている。装丁は葛西薫。
Wolfgang Tillmans | Julie Ault ほか
ドイツ出身の写真家ヴォルフガング・ティルマンスのアメリカ初回顧展にあわせて刊行された作品集。90年代のカルチャー誌での活動から、日常の細部をすくい取るスナップ、抽象的な光のイメージ、構造物をとらえたシリーズまで、長いキャリアの中から選ばれた代表的な図版を収めている。さらに、ポートレートの方法論、雑誌メディアとの関わり、展示におけるインスタレーションの工夫などを研究者が解説し、その思考と実践の広がりを読み解いている。
Das erste Bilderbuch: Alltaegliche Dinge fur Kleinkinder | Edward Steichen
アメリカの写真家エドワード・スタイケンが、幼い子どもが身近な物の名前を覚えられるように作った写真絵本。時計や三輪車、果物、花など、日常の物をシンプルに撮影した24点の写真で構成される。教育目的の本でありながら、構図や光の扱いにはスタイケンらしい芸術性が息づき、写真表現の新しい可能性を感じさせる一冊。解説テキストも添えられ、写真を使った児童書として特異な存在となっている。
POOL 増補改訂版 | 平野太呂
写真家・平野太呂による作品集『POOL』増補改訂版。舞台はアメリカ西海岸、使われなくなりスケーターたちの遊び場となったプールである。優美なカーブを見せるもの、草木に覆われ荒廃したもの、グラフィティに彩られたものなど、多様 […]
イヌイットの壁かけ | 岩崎昌子
岩崎昌子による、北極圏の先住民族イヌイットの壁掛けを紹介する一冊。厳しい自然の中で、イヌイットの女性たちが防寒着の端布を生かして手作りした作品を多数収録。動物や自然、日々の暮らしが色とりどりに表現され、素朴であたたかな造形の魅力が伝わってくる。針仕事を通して受け継がれてきた感性や、暮らしの記録としての側面も感じられる内容となっており、生活と表現が重なり合う豊かな世界を見せている。
David Casavant Archive
ニューヨークのスタイリスト、デイビッド・カサヴァントが10代から集めてきた服を軸に構成された写真集。ヘルムート・ラングやラフ・シモンズなど、1990〜2000年代の希少なコンセプチュアルなメンズウェアが中心で、コレクションの厚みと時代性が伝わる内容。このアーカイブは単なる収集ではなく、若い世代のカルチャーや姿勢へのカサヴァント独自の視点を写す場でもある。ザヴィエル・チャやライアン・トレカーティンら多様なアーティストとのコラボレーションも収録され、服を通して時代の空気や創造性を読み解くことができる一冊。
花の文化史 花の歴史をつくった人々 | 春山行夫
モダニズム詩人、春山行夫による花の資料集。古代から現代にいたるまでの植物にまつわる様々な伝説や神話、そして植物と人間との関わりを軸としたフォークロアなどを圧倒的なボリュームで収録した一冊。さらに園芸や造園、植物採集、探検家たちの歴史なども網羅し、あらゆる花に関する知識が盛り込まれた一冊。装丁は市川英夫、箭内早苗。
Marchenstuberl | Juergen Teller
ドイツ出身の写真家、ユルゲン・テラーによる作品集。テラーが自身と家族のルーツを見つめ直したシリーズ「メルヒェンシュテューバール」を中心に構成されている。テラーは両親の家の地下室にある、家族内で“おとぎ話の小部屋”として親しまれてきたウェットバーを撮影し、個人的な記憶や感情が交錯する空間を独自の視点で写し出した。そのほか、テラー自身やイヴ・サン=ローラン、ケイト・モスらのポートレイトなど、これまでの多彩な作品群からもセレクションが加えられており、テラーの表現の幅と軌跡を総覧できる内容となっている。
Wilder Mann 欧州の獣人 仮装する原始の名残 | シャルル・フレジェ
人類学的な視点から撮影するポートレートで知られるフランスの写真家、シャルル・フレジェの作品集。ヨーロッパ各地に古くから伝わる祭礼を取材し、仮面や角を付けたり、獣毛を着込んだり、鳴り物を提げたりと、奇妙かつ独創的な生き物に扮する人々のポートレートを撮影している。地域ごとに異なる形態を持ちながらも、自然信仰や共同体の記憶と深く結びついた儀礼的な姿は、現代の写真表現を通して新たな意味を帯びて立ち現れる。
Empire | Charles Freger
フランスの写真家、シャルル・フレジェによるポートレートシリーズ「Empire」をまとめた作品集。2004〜2008年にかけてヨーロッパ各地を巡り、共和国軍や王室警備隊など各国のエリート部隊に所属する人々を撮影したもの。行進や儀礼を担う彼らは、歴史を背負う華やかで厳格なユニフォームをまとい、その服飾文化は国家や地域のアイデンティティを象徴している。フレジェはこれらの隊員たちを現代的なポートレートとして撮影し、儀礼や権威の在り方を可視化している。
Campo di Marte | Nathalie du Pasquier
イタリアのポストモダンを代表するデザイン集団メンフィスのメンバーとして知られるナタリー・デュ・パスキエの作品集。1980年代から2020年までに制作した絵画を撮影し、切り抜いて再構築する手法によって生まれた作品群を収録。具象と抽象、平面と立体の境界を揺さぶる視覚的実験が展開され、40年にわたる創作の変遷と探求を映し出している。
高松次郎ミステリーズ
2014〜2015年に東京国立近代美術館で開催された展覧会の公式図録。コンセプチュアル・アートの先駆として知られる高松次郎の制作を、約50点のオブジェ、彫刻、絵画と、150点に及ぶドローイングによって多角的に検証する。高松が1960年代から90年代に展開した多様な表現を時期ごとに整理し、その背後に潜む思考の連続性を読み解く構成。見かけも素材も大きく異なる作品群を横断しながら、形の反復や知覚の揺らぎといった、高松が一貫して探究したテーマを浮かび上がらせる内容であり、国際的に再評価が進む制作の全体像に迫る一冊。
川勝正幸の本棚
編集者・ライターとして知られる故川勝正幸の膨大な書籍コレクションを記録した一冊。彼が生前に蒐集した約1200冊の本や雑誌を一覧形式で収めている。単なる書誌リストにとどまらず、川勝のカルチャーに対する鋭いアンテナや独自の趣味嗜好が浮かび上がり、当時の音楽、映画、アートなどサブカルチャーシーンの息づかいを伝えるアーカイブとしても価値が高い。本棚という形で彼の世界観を再現することで、ポップ文化への愛と知的好奇心、そして編集者としての感性を追体験できる構成となっている。コレクターやサブカルチャー愛好者にとって、時代の気分を体感できる貴重な資料である。
構築の人、ジャン・プルーヴェ | みすず書房
フランスの建築家・デザイナー、ジャン・プルーヴェを紹介する作品集。鋳鉄職人、エンジニア、芸術家という三つの資質を併せ持ち、「構築の人」と称された彼の歩みをたどる。家具や建築、工業製品に至るまで幅広い分野で生み出された造形を通じ、その思想と技術、独自のデザインアプローチを読み解く内容となっている。
The Rietveld Schroder House | ヘリット・リートフェルト
オランダの建築家ヘリット・リートフェルトが1924年に設計した住宅〈シュレーダー邸〉を紹介する写真資料集。外観や内装、作り付けの家具や収納ユニットまでを詳細に撮影し、建築の全体像を多角的に伝える。シュレーダー夫人へのインタビューや、設計思想や背景を解説するテキストも収録され、デ・ステイル運動を代表するこの住宅の魅力と歴史的意義を深く掘り下げている。英語表記。
タイ・カンボジア陶磁
ヨコタ南方民族美術館が所蔵する東南アジアの土器・陶磁器を精選してまとめた図録。タイのバンチェン遺跡から出土した紀元前の土器を中心に、壺、椀、装飾具、印章など147点をカラー図版で紹介する。さらに、日本の茶文化とも深く関わる宋胡録焼、そしてアンコール王朝に代表されるカンボジアのクメール陶磁なども収録。地域ごとの造形思想や技術の変遷をたどり、東南アジア陶磁の多彩な魅力を読み解く資料となっている。
ジャズ・カバー | ジュリウス・ウィードマン
1940年代から1990年代初頭までのジャズ・レコードを網羅したビジュアル資料集。アルバムカバーの図版とともに、演奏者やアルバム名、発売年、美術監督、写真家、イラストレーター、レーベルなど詳細なデータを収録している。さらにキング・ブリット、ジャイルス・ピーターソン、ライナー・トゥルービーら世界的DJによるトップ10リストやインタビューも掲載し、音楽・デザイン・カルチャーの視点からジャズの魅力を多角的に探っている。
Young Chet | William Claxton
アメリカの写真家ウィリアム・クラクストンによる作品集。ウエストコースト・ジャズを代表するトランペット奏者チェット・ベイカーの活動に密着し、演奏の合間やリハーサル、日常の一瞬をモノクロでとらえている。瑞々しい若き日の姿からは、彼の音楽と同じく繊細で抒情的な気配が漂い、当時のジャズシーンの空気感をも伝えている点が特徴。ステージ上の緊張感と、オフステージで見せる素顔を交錯させながら、ジャズの黄金期を象徴する音楽家の魅力を鮮やかに記録。写真を通して音楽と時代の息遣いを描き出している。