作り手インタビュー:REEL 宗片晴果(2)
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作り手インタビュー:REEL 宗片晴果(2)

REELが使うのは、イタリアを代表する革の街・サンタクローチェにある老舗のタンナーが1枚ずつ手作業でなめしたバケッタレザー。革について、そして手入れするためのバームについてお話は続きます。
まずは作り手インタビュー:REEL 宗片晴果(1)へどうぞ。

REELの革について

ーREELで使われてる革について、教えていただけますか?

REELの商品にはイタリアの、ベジタブルタンニンなめしのものを使っています。4社から革を仕入れているのですが、かばんを作ったり、ベルトにしているのは厚い革で全然違うもの。どちらもタンニンなめしの革です。

定番の革は蝋引きの革をメインで使っていて。それ以外のカバン、ベルト、巾着とかはオイルレザーで厚みとコシのあるもので使っています。それは黒だけで仕入れています。

蝋引きのグレー。革の厚みを漉いてから縫製しています。
ーREELさんの色の展開がすごい好きで…どの色もしっくりくる、そんな風に思うこと今までなかったと感動しました。

ありがとうございます。ないんですよねぇ。日本に仕入れていない革でいいものって沢山あって。蝋引きされていないものをあえて蝋引きしたりという加工をしてもらっています。最初の半年くらいは黒だけで作っていたんです。黒だけの展示とかもやったりしていて。いまはブランドにあうものをピックアップして蝋引きしている形です。

経年変化をよりゆっくり楽しむ

蝋引きされていると蝋がある分、膜が張り地の色が出てくるのに時間がかかるので、経年変化がそこまで早くないっていう特徴があります。あと汚れもつきずらい。 私がつかっているのは、イタリアの革ですが、ブライドルレザーと同じ製法で作られています。

右は半年使ったもの。
右は1年半使ったもの。
スムースされている革を、敢えて全部揉んで柔らかくしてから作っています。あまりやりすぎると蝋が取れてしまうので、かるく。

日本では出来上がったレザーにオイルフィニッシュしたり、コーティングしたりっていうのが少ないですね。そこで、敢えて揉むっていうのをひと手間かけています。

お手入れをしながら香りを楽しむバーム

ーとってもいい香りですよね。革のメンテナンスをしながらも安心して使える感覚です。レザーバームの香りのイメージはどんな感じでしょう。

いい香りだと自分でも思ってます。ブックカバーや名刺ケースなど日常使うもので作っているので、そこまで強くなくてリラックスできるもの。調香師の友人がレザーと混ざるとちょうどいい香りになるようにしてくれています。

レザーの香りが好きな方もいると思うんですが、それにプラスするってなると、あまりしつこくない香りがいいかなと。私はウッド系がすごく好きなので、白檀ベースで10集類くらいをブレンドして作っています。

ー以前、香りとレザーの関係で乗馬のお話を伺ったのですが…

これについては本当にいろんな諸説あるんですけれどその昔、貴族の人たちが乗馬をするときに革小物の馬具やグローブの獣の臭いが強くて女性にあまり受け入れられなかったので強い革の香りを消すために、強い香りをつけることのために初めて香水で生まれたっていう話があって。「ああ、革と香りがつながるんだ…絶対つくらなきゃ」ってなって盛り上がりまして。

5年前くらいにオイルも調合してもらって…使い慣れている人だったらオイルでも使えるんですが、ムラになりやすいのでREELのバームは蜜蝋、ホホバオイルベースで天然のものを使って作ってもらってます。

ー新しいティッシュケースもかわいいですね。削ぎ落としていくデザインをされるなと思ってます。

そうですねえ、ロゴとかもなにもついていないほうがいいですね。金具が目立つのがあまり好きじゃなくて、金具もなるべく使わないようにしていて。なるべくステッチで作ってます。

ステッチもなるべく少なく、ただ少なすぎると誰でもできるんですよね。さじ加減をちょうどいいバランスで決めていっています。

ー最初の掛け軸のお話とつながってきましたね…!今日はありがとうございました。
編集後記
お財布やカードケースなど、「あ、好きだな」という直感で選んでくれたら嬉しいと言う宗片さん。アトリエにお邪魔するたびに聞くお話が面白くて、今回も制作のことを根掘り葉掘り聞かせてもらいました。アイディアを形に落とし込む芯のあるものづくり。どんどんと広がっていくこれからの展開が楽しみでしかたありません。ノストスのポップアップでは定番の商品から掛け軸や和綴じノートをご覧いただけます。



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好きなものには一直線。作り手の思いや物語がこもっているものに惹かれます。喫茶店と古道具とおいしいごはん。撮影・企画のあたりをうろうろしています。