香りがもたらすゆるやかな時間。東京香堂が誘う香の世界
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香りがもたらすゆるやかな時間。東京香堂が誘う香の世界

なつきです。

ノストスではこれまでも本のある空間や生活がより心地よくなるような商品をご紹介してきました。それは単に読書を楽しんでもらいたいからというだけではなく、読書時間などを通じて自分の好きな空間を丁寧につくっていくことが、生活全体の豊かさにもつながると思うから。

そこでこの度新たに、香りの分野で商品の取扱いがスタートします。



香りは見えないアート。東京香堂が手掛ける香の世界

東京香堂は、日本と西洋の伝統技術を融合させたインテリア・アロマ・インセンスブランド。もともと寺院専門のお線香屋である「株式会社なかほり」から生まれた新ブランドで、日本古来の香りの文化を継承しながらも、現代のライフスタイルに沿うような商品を提案しています。


豊かな自然に囲まれたアトリエで、調香やサンプル製作が行われています。

目に見えないからこそ心に直接届き、様々な記憶や感情を呼び起こす「香り」。できるだけ天然の素材にこだわることで生まれた東京香堂の商品は、心に安らぎと自然の恵みからもたらされるエネルギーを与えてくれるのです。

東京香堂の千夏子さんにレクチャーしていただきました

自然環境の変化などから、良質な香木を産出することが大変困難な現在。わたしたちスタッフも、これまで香の文化に触れる機会はあまりありませんでした。そこで、東京香堂のペレス千夏子さんに勉強会を開いていただくことに。

まずは実際に香木を聞き比べてみます。

炭に火をつけて、灰に熱がいきわたるまで、少し時間をおきます。わくわく。
炭がじわじわ白くなっていく様子を見ているだけで落ち着く……。

炭も灰もあたたまったら、香木をひとさじ炭のそばへ。まずはこうすることで、直接炭にかけるよりも香木そのものの香りを楽しめるそう。

しばらくすると、ふわりと優しい香りが立ち上がってきました。記憶の奥をくすぐるような懐かさに加えて、これまで感じたことのない複雑な香りの層が、鼻から頭へ抜けていく感覚。その”懐かしさ”というのは、古臭さや純和風的という感覚とは全く異なるもので。

そして最後は炭を灰の中に埋めて、香木も炭へ近づけてみます。すると先程よりも、芳ばしさが先に立つような香りへと変化しました。炭と香木の距離を変化させることで、自分好みの香り方を探れるんだ。うわー、おもしろい。

この後も、香木の原産地や香の歴史を教えていただいたり、チップの形になる前の香木を触らせていただいたり、香りの文化がぐっと身近に感じられる一日となりました。

香木=植物。花を飾るように香を焚くということ

レクチャーしていただいた内容をもとにわたしの感想をまとめると……

白檀は、鼻からすっと抜けるような爽やかさとスパイシーさが入り混じり、なんだかざわざわとしていた気持ちがスッとリセットされるような感覚。扇子などに用いられているように火を付けていない状態でもかすかに香りがします。

沈香は白檀に比べるとやや重厚感があり、よりウッディーな印象です。また香りに慣れてくると、これまでの深みの中に甘さも感じられるようになっていきました。ちなみに沈香は鎮静効果に優れ、場を清めるとも言われているそう。

聞き比べ楽しい。なんだか自然と目を閉じて、リラックスモードに入ってしまう。

この日お話を聞く中で何度も気付かされたことは、自分がいかに香の文化を「特別なもの」、「敷居が高いもの」として、自身の生活から切り離して考えていたかということでした。

そのことに気がつくと、自宅で香木を焚くときにその空間を整えたり、ゆっくりと香りを楽しめるようにわざわざ時間をつくっていた自分が、部屋に植物を飾るときに自然とその空間をしつらえている自分と、とても重なって見えました。それは、特別なお菓子を食べるときに少し手間をかけて美味しいコーヒーを淹れたりすることにも似ているかも。

よく考えれば、香木に触れること=植物に触れること。部屋に気軽に花を飾り愛でる行為と、自然の恵みである香木から香りを楽しむことは、同じことなんですよね。

インド、東南アジアからもたらされた香りの美。クラシックシリーズ

今回ノストスで取扱が始まるのは、クラシックシリーズから3種類。

【香木を楽しむセット】

白檀、沈香という2種類の香木に、灰、香炭、ピンセット、さじが入ったセット。すでに香炉や耐熱性の器をお持ちであれば、すぐに2つの香木の香りを聞き比べながら楽しむことができます。

【香木を楽しむギフトセット】


「香木を楽しむセット」に、耐熱ガラスのVISION GLASSがセットになっています。滑らかで上質な質感の函に入っているので、贈り物にもぴったり。お部屋のインテリア的に、「和に寄りすぎているのはちょっと」という方でも、VISION GLASSのシンプルな器ならどんな空間にもすっと馴染んでくれるので取り入れやすいですよね。

【お香】


インド産白檀の中でも最高品質と言われているマイソール地方の白檀(老山白檀)を主体に、数種類の白檀を組み合わせて調合したお香。香木よりやや爽やかに、優しく香る印象です。今年の4月にノストスで個展「Moment Form」を開催してくださった、辻有希さんのお香立てがついています。
一日の出来事を思い返したり、目に見えないものやことに思いを馳せたり、ゆっくり本を読んだり。優しく煙が立ち上がり香りが漂う間だけでも、時間に追われ慌ただしく過ごす日常をひと休みする。そんなひと時をつくるきっかけにしていただけたら嬉しいです。

そしてまもなく、東京香堂とコラボレーションしたオリジナル商品の制作もスタートします!こちらもお楽しみに。

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ノストスブックス店長。前職では某テーマパークのお姉さんや、不動産会社の営業をしていました。小説とクラシックなものが好き。一緒に、好きだと思えるものを沢山見つけましょう。