「誰もいない闘技場にベルが鳴る」について
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「誰もいない闘技場にベルが鳴る」について

ノストスブックスでは新刊書籍も取り扱っております。本日はその中から詩人・後藤大祐さんの作品集「誰もいない闘技場にベルが鳴る」をご紹介。この詩集が店頭に並ぶまでのいきさつは、半年前までさかのぼります。

2015年の初夏のある日、知人を介して詩集の装丁をご依頼いただいたのが後藤さんとnostos booksの出会い。当店に足を運び、本のラインナップをご覧になった後藤さんから「ぜひこの本屋さんに頼みたい」と言っていただき、とても嬉しく思ったのを覚えています。

オーダーは「いままでの詩集装丁の世界に収まらない新しい表現のものを」というもの。さっそくゲラを読み、脳内に次々と浮かぶ映像に引っ張られるようにして、代表・中野と店長・石井のふたりのグラフィック制作がはじまります。

誰もいない闘技場にベルが鳴る 表紙デザイン案製作中の図。シュルレアリスム色の強いものから、ミニマムなもの、サイバーパンク調、火曜サスペンス劇場的なものまで。同じ言葉でも浮かぶ情景はさまざま。

誰もいない闘技場にベルが鳴る 特に印象的な単語やフレーズを書き出し、ラフを描き、レイヤーを重ねては捨て、書体を選定し、レイアウトを整え、候補を絞り、修正を重ねる。

とてもやりがいがあり、全力で楽しんだ仕事であると同時に、ことばが持つ強い力を改めて感じた仕事でもありました。普段はゆっくり穏やかに話す後藤さん。でも、作品の中で放つことばは硬質で素早く、リズム感をもって読者を引き込んでいきます。

現代詩の世界はまだまだ深く広く、多くを語る言葉は恥ずかしながらまだ用意できませんが、その面白さに触れることができました。打ち合わせ時に教えていただいた現代詩へ至る歴史の流れもとても興味深く、もっともっと掘り進みたいという欲求も。現代詩に難解なイメージをお持ちの方にも、現代口語で軽快に綴られる本作はおすすめです。この機会にぜひ、かばんのなかに詩集を忍ばせてみてはいかがでしょうか。

最後に、著者の後藤さんはじめ、土曜美術社出版販売の皆さまに感謝を込めて。
ありがとうございました。

今後も装丁のお仕事は積極的に取り組んでいきたいと思います。ご興味のある方はこちらまで。

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