【11月の展示】文芸の新しい体験を。小説家・佐々木新の参加型個展「漂流」
書いた人

【11月の展示】文芸の新しい体験を。小説家・佐々木新の参加型個展「漂流」

11月10日(土)〜11月25日(日)の期間、移動する匿名の手紙の図書館を作るプロジェクト「S LETTER PROJECT」(通称:SLP)と連動した、物語作家・佐々木新(ささきあらた)の小説個展を開催します。



「S LETTER PROJECT」とは

「SLP」は、月島のセレクトショップ「S」と物語作家・佐々木新が共同で設立した、移動する匿名の手紙の図書館。2018年9月の佐々木さんの個展から手紙の受付が始まり、随時募集されています。

内容や手紙の長さに制限はなく、家族や友人、恋人、恩師、かつて大切だった人、あるいは過去の自分自身、宛てる相手も自由。もちろん誰でも閲覧することができます。

「SLP」に手紙を郵送すると、佐々木さんの短編小説「漂流」に登場する主人公が、インスタグラム(@s_nostos_letter)で投稿している物語の中で、「手紙」という形で返信される仕組みになっています。手紙は半永久的に保管され、今後多様な土地を移動していきます。

【11月の展示】佐々木新の小説個展「漂流」:匿名の手紙を募集します 短編小説「漂流」は、佐々木さんの処女作「わたしとあなたの物語」、2作目「わたしたちと森の物語」の並行世界にあたります。各々の作品に通底する、現代人が抱える自我の揺れや欠損などをテーマに孕みながら、匿名の手紙の送り主として参加する方々と共に、小説という媒体を拡張して作り上げられる個展へと展開されてゆくのです。

【11月の展示】佐々木新の小説個展「漂流」:匿名の手紙を募集します 社会が多様化、複雑化する中で、絶えず私たちの自我はどこかに流されていき、他者との相互理解はますます難しくなっていくことでしょう。そうした状況下において、本展で行われる、虚構である小説中の「私」と現実として存在する手紙の送り主による相互間のコミュニケーションは、他者の秘めた想いへの気づきと、他者と自己との現代的な新しい関わりのヒントが含まれているかもしれません。

会期中に変化していく。何度でも楽しめる展示空間

期間中は手紙の展示や、小説作品の販売のほか、古書や雑貨なども交えて店内を「漂流」をテーマにレイアウト。さまざまなモノや言葉、感覚が結びつき、一つの空間としてその調和を楽しむことができます。

【11月の展示】佐々木新の小説個展「漂流」:匿名の手紙を募集します 新たに届く手紙が随時展示されていくため、会場はどんどん変化していきます。訪れるたび、感じることが変わっていく空間に身を置くことでみなさん自身の変わるもの・変わらないものも浮かび上がってくることでしょう。

【11月の展示】佐々木新の小説個展「漂流」:匿名の手紙を募集します 生身の自分が関わっていくことで小説(フィクション)の続きはどのように紡がれていくのか。そしてその小説がヴィジュアルとして現実空間にどのように表現され、私たちは読む以外の方法で物語をどう感じるのか。本展は、小説や手紙を通して文芸の新しい体験や楽しみ方を見つけていただく場となっています。

移り変わる空間と物語。遠方の方も、手紙やインスタグラムでご参加いただければ幸いです。

佐々木新 小説個展「漂流」


期間:
2018年11月10日(土)ー11月25日(日)

小説 | 佐々木新
ドローイング | 小宮山 洋
封筒折加工ディレクション | 山本 考志 (HOW TO WRAP_)

プロフィール:
佐々木新(ささきあらた)
物語作家。岩手県盛岡市生まれ。クリエティブスタジオ「HITSFAMILY」、ウェブマガジン「HITSPAPER」を主宰。2013年から散文を書き始める。2016年に小説「わたしとあなたの物語」、2017年に小説「わたしたちと森の物語」を小説個展とともに発表。2018 年より、月島S と共同で匿名の手紙の図書館「S LETTER PROJECT」(SLP) を立ち上げる。
http://aratasasaki.com

小宮山洋(こみやまよう)
プロダクトデザイナー。YKK AP 窓研究所立ち上げメンバー。多摩美術大学卒業後、建築事務所を経て、メーカーにてプロダクトデザイナーとして活動後、2011 年に東京・上海にてYOH KOMIYAMA DESIGN 設立。国内ではペット用自動給餌器「PETLY」や、蔦屋書店初のデジタルプロダクト「T Air」のデザインを担当。東京都美術館「TC&D」での作品展示。国外ではミラノサローネ「ventura projects」にてリサーチプロジェクト「mold」を発表。INTERNI「‘FEEDING’ New Ideas for The City」、paris のセレクトショップ「merci」での展示。MUJI AWARD GOLD PRIZE、Red Dot Design Award、Design for Asia Award、GOOD DESIGN AWARD など受賞多数。
http://yohkomiyama.com

山本考志/HOW TO WRAP_
現代に適した” 包み方” を考えるギフトのためのブランド。包むことの新しい価値観を創造し、新しい包装のかたちを提案している。竹尾見本帖 at Itoya 企画展 「紙で包む HOW TO WRAP_ の包みのカタチ」、工芸青花「『包』の境」展での作品展示など、折り紙作家としての活動も行う。
http://howtowrap.net

手紙の郵送先:
〒154-0017
東京都世田谷区世田谷4-2-12
nostos books 1F
「漂流」展係 宛
2018年11月18日必着(「漂流」会期中に展示予定)

手紙の返信先:
https://www.instagram.com/s_nostos_letter

会場:
nostos books
東京都世田谷区世田谷4-2-12
12:00~19:00 水曜定休
03-5799-7982
https://nostos.jp



この記事をシェアする

1990年4月22日午年、金沢出身。ギリ平成生まれのデジタルネイティブ、nostos booksを拠点にしながらカレーを作り続けるフリーランス編集者。実は理工学系。2019年2月退社。