写真集『潜水球 -Barnacle Island- 』。パトリック・ツァイが過ごした小豆島での1年間
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写真集『潜水球 -Barnacle Island- 』。パトリック・ツァイが過ごした小豆島での1年間

旅の様子を収めた『My Little Dick』や、震災後の日々を記録した『Talking Barnacles』で知られ、オリンピック直前の中国を撮影した写真集『Modern Times』は「TIME Magazine」で2012年ベスト写真集の一つに選ばれた写真家、パトリック・ツァイ。そんな彼の新作、『潜水球 -Barnacle Island-』をご紹介します。

写真集『潜水球 -Barnacle Island- 』。パトリック・ツァイが過ごした小豆島での1年間 表紙のイラストレーションは村上慧、そして表紙デザインを手がけたのは平野甲賀

2015年、パトリック・ツァイは突如東京での仕事を辞め、小豆島へ移住しました。引っ越して5日目、ツァイは浜辺で1匹のトイプードルと出会います。

怪我をして真冬の寒さに震えるその犬を、自宅へ連れて帰ることにしたツァイ。そうして1人と1匹の共同生活と、島の人々との交流が始まりました。

日々の中に転がっている、奇跡のような偶然が愛おしい。赤いニット帽と紺色のベストが、スクリーンに映っている「魔女の宅急便」のキキとそっくり。

だんだん距離を縮めていく、ツァイと島の人々。

不思議。ツァイが切り撮った風景にはどれも懐かしさを覚えると同時に、この島のあたたかな未来まで見えてくるよう。



島で暮らす、元気いっぱいの子供たち。のびのびしていいなぁ。

季節は流れて夏へ。小豆島では、豊かな自然が季節の移ろいを教えてくれるんですね。

犬と暮らしながら、島のことを一つ、また一つと知っていく日々。

目に映る新しい景色にワクワクしたりドキドキしたり。毎日がちょっとした冒険。

島の人たちの中に溶け込んで、だんだん島での暮らしに馴染んでいく犬の姿に、不思議とツァイ自身の姿が重なって見えてきます。

海外から日本へ活動の場を移し、さらに都会から自然豊かな離島へと移り住んだツァイ。同じ日本とはいえ、目に入ってきた風景は全く違うものだったでしょう。何気ない日々の中に転がる、小さな奇跡を拾い集めたようなフォトダイアリーです。

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ノストスブックス店長。前職では某テーマパークのお姉さんや、不動産会社の営業をしていました。小説とクラシックなものが好き。一緒に、好きだと思えるものを沢山見つけましょう。