デザイングラフィックやタイポグラフィなど、デザインにまつわる書籍をご紹介

本に興味を持ったなら。人気装丁家によるブックデザインを味わってみよう

山田
書いた人:
2016.4.4 デザイン
人気装丁家によるブックデザインを楽しんでみよう
山田です。

「本好き」と一口に言っても、好きなポイントはさまざま。それは、読む本のジャンルによっても変わるでしょう。

個人的には、装丁まで楽しめる本が好き。そもそも「装丁」とは本を構成する全てを決めることであり、表紙のデザイン、どんな紙を使うか、フォントはどうするか、スペースはどう取るか……などなど、内容の世界観を本という形に仕立てるのがブックデザイナー。なぜなら紙の厚みや感触、フォント、行間で印象が全く違うから。

本のおもしろさが伝わるのは、装丁家がちゃんと作者の気持ちを汲みとって形にしているから。そこで、名著の立役者であるブックデザイナーたちの仕事から、装丁の見どころをご紹介しましょう。



つい手に取りたくなる。和田誠のゆるイラスト

谷川俊太郎の詩集のイラストを見たことがある方は多いのではないでしょうか。このイラストを描いた装丁家が和田誠です。

和田誠和田誠 装幀の本」本文より。イラストレーターとしても活躍しており、「お楽しみはこれからだ」シリーズなど自著の映画エッセイでは、豊富なイラストで読者を楽しませてくれます。名スターたちをデフォルメしつつもしっかり特徴を捉えていますね。

和田誠 手描きのタイトルも味があり、本のジャンルにかかわらず「あ、和田誠が作った本だ」と手に取ってしまいます。本に親しみやすさをもたらすのも、装丁の力ということですね。

和田誠 東海林さだおシリーズ。リリー・フランキーのおでんくんに登場する、ガングロたまごちゃんにしか見えない。

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装幀の本

著者
和田誠
出版社
リブロポート
発行年
1993年
イラストレーター、グラフィックデザイナー、エッセイストなど多彩な顔を持つ和田誠の手がけた仕事の中から、装丁作品を集めた1冊。

言葉の力を更に引き出す。平野甲賀の描き文字フォント

もともとは晶文社のお抱えブックデザイナーだった平野甲賀。内容のジャンルを問わず、様々な本の装丁を手がけています。サイの出版社ロゴを見つけたら、まずは扉の裏ページにある装丁者クレジットをチェックしてみてください。ちなみに、このロゴ自体も彼のデザイン。

平野甲賀平野甲賀 装丁の本」では、これまでに手がけた装丁を一挙に見ることができます。

平野甲賀の装丁の特徴は、なんと言っても手描きの書体タイトル。「文字の力」という、66種類ものオリジナル手描きフォントを集めた本も出ているほど。言葉の力をさらに引き出すのは文字の力なんだな、と改めて思わされます!

平野甲賀
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本のタイトル

著者
平野甲賀
出版社
リブロポート
発行年
1985年
デザイナー・平野甲賀が手掛けた装丁作品の数々をフルカラーで年代別に収録。タイポグラフィのリファレンスとしても。
手描き文字を集めたこちらもオススメ。架空の本に合わせた幻のタイトルロゴも収録しています。

文字の力
平野甲賀の手掛けた代表的な装丁のうちから、選りすぐったの54点に、未発表「架空装丁」12点を加えた珠玉のレタリング作品集。
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本文を読む→見るへ。本の宇宙を創りだす杉浦康平

松岡正剛らとともに、伝説のインデペンデント出版社・工作舎の本をいくつも手がけた杉浦康平。「」や「エピステーメー」など、ニッチなカルチャー雑誌に代表されるように、一見捉え難い思想・カルチャーを見事に装丁のちからでまとめ上げています。

著作「日本のかたち・アジアのカタチ」に見られる、曼陀羅(まんだら)に影響を受けたデザインは、まるで本の宇宙に飛び込んだかのよう。

杉浦康平 杉浦康平の代表作といえば、何と言っても「全宇宙誌」。黒い紙が一層宇宙感を高める本文。7年もの歳月がかかってでも、作ってくれてありがとう。

杉浦康平 杉浦康平 本文の隅まで、図版も文字も自在に配置された本は生命の息吹をも感じさせます。何年経とうとも、本の中の情報が生きているという感じ。これらの著作の装丁をまとめた展示「脈動する本」では、豪華なことに図録も杉浦康平自身がアートディレクションを手がけています。

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脈動する本

著者
杉浦康平
出版社
武蔵野美術大学 美術館・図書館
発行年
2011年
武蔵野美術大学美術館で開催された企画展「杉浦康平・脈動する本:デザインの手法と哲学」の展覧作品を編纂した図録。
エディトリアルデザインに特化した作品集「疾風迅雷」も。「雑」誌のノイズを美しく纏い、もはや雑味のない装丁に惚れ惚れしてしまいます。ため息が止まらない。

「疾風迅雷―杉浦康平雑誌デザインの半世紀」展の作品を編纂した図録。多彩なデザインを手掛けてきた杉浦康平の「雑誌デザイン」を一望できる。
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手ざわりとしかけ、モノとしての本の魅力を伝える松田行正

杉浦康平と同じく、工作舎周辺の出版物を手がけた松田行正。この人は、紙の本の「モノ」としての性質をとてもよく理解しています。例えば、電子書籍は「読む」ためのものだから、小口も見返しも存在しませんが、紙の本ではこんなふうに装丁家の遊び心を表現できるという。

松田行正 松田行正和力 日本を象る」と「眼の冒険 デザインの道具箱」は小口にも画があり、横から見ても楽しい本。紙の本の表現の広さを改めて感じる、それが松田行正の装丁です。

残念ながら装丁作品集はまだ作られていないので、こちらの記事に手がけた本をまとめました。オブジェとしても飾っておきたくなる本ばかり。

松田行正が追い求めるブックデザインの可能性。本はオブジェになっていく
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松田行正が追い求めるブックデザインの可能性。本はオブジェになっていく
「モノとしての本」という表現にこだわってきたグラフィックデザイナー、松田行正。本の魅力をぎっしり詰め込んだブックデザインをご紹介します。

これぞ天衣無縫。ジャケットの画と字を縫いまとめる菊地信義

表紙ジャケットは画とシンプルなフォントで組まれたタイトル・著者名だけ。本文も、活字のみという至ってシンプルな装丁の文学書は、菊地信義によるものが多いです。澁澤龍彦、中上健次などの著作に施した仕事は、和田誠や平野甲賀のように装丁家の色は出さずに、黒子に徹するスタイル。その装丁の美しさに惹きつけられて読んでみたら、内容も素晴らしくて著者のファンになったという方もいるに違いないでしょう。

菊地信義 本から、ただならぬオーラが放たれている……!

菊地信義 菊地信義も「装幀の本」が出ています。ジャケットの画もタイトルも、まるでひとつなぎであるかのように縫い目のなくレイアウトした作品たちをとくとご覧あれ。

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装幀の本

著者
菊地信義
出版社
リブロポート
発行年
1989年
詩人・吉増剛造の詩集、著者自身の脳のCTスキャン画像をあしらった埴谷雄高の「高速者」など、文学畑を中心に装丁を手がける菊地信義の装丁作品集。



装丁のよい本を中心にセレクトしている古書店として、実はWEBストアにある工夫をしています。それは、商品ページの下のキーワード欄に装丁家を入れていること。ここをクリックすると、その装丁家が作った本や、関連の書籍を一覧で見ることができます。装丁家繋がりで本を探してみると、新しい発見があって楽しいですよ。
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山田
コンテンツ編集長として、ブログやイベントなどの企画・編集を行なっています。好きなジャンルは写真と音楽、カルチャー。特にアラーキーが大好きです。アレン・ギンズバーグの「HOWL」キャップを被っている古着女子を見つけたら、それはわたし。
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